もくじ
どんなクルマ?
ー 個性的なエクステリアデザイン
どんな感じ?
ー 見た目ほどスポーティではない走り
ー 市街地に最適化されたSUV
「買い」か?
ー わたしが選ぶならFスポーツ
スペック
ー レクサスUX 250hプレミアムプラス・パックのスペック
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どんなクルマ?
個性的なエクステリアデザイン
スウェーデンで最新レクサスUXの量産前モデルを味見させてもらったのは、およそ半年前。そして今、レクサスNXやRXの弟分ともいえるUXを英国の道で走らせる機会がやってきた。個性的なエクステリアデザインをまとったコンパクトSUVだと思う。中には見る角度や光の当たり方で、折り目が多く面構成が複雑だというひともいるが、わたしは、なかなか優れたスタイリングだと感じている。
レクサスは2020年度までに欧州の販売台数を10万台にまで増やしたいと計画しているが、今回のクルマもそれを助けることになるだろう。今回はFスポーツではなく、2万9900ポンド(433万円)からの価格の付いた、標準グレードの250hを試乗することになった。日本では既に今年のはじめにUX250hとFスポーツの試乗記をお届けしているが、英国の道を走るのは初めてとなる。
今回の試乗車には、標準の250hに4300ポンド(62万円)のプレミアムパック・プラスが装備されており、車両価格は3万4100ポンド(494万円)。かなりの金額となってしまうが、エクステリアでは、18インチのアルミホイールやプライバシーガラス、フロントとリアのパーキングセンサーなどが追加されている。また、UXのインテリアに施された目を引く追加オプションの数々が、少し辛口の評価を和らげてくれそうだ。
車内には上質なレザーシートにシートヒーター、ステアリングホイールヒーターも追加され、ビジュアルとして興味深い日本の折り紙からインスピレーションを受けたという、ダッシュボードのテクスチャも加わる。それらが組み合わされた仕上がりは、かなりイイ。増殖中のコンパクトSUVだが、レクサスUXはビジュアル面でも素材の質感でも、クラストップに位置づけられる内容だと思う。走りはどうだろうか。
どんな感じ?
見た目ほどスポーティではない走り
今回試乗した標準グレードのUX 250hと、およそ半年前にスウェーデンで試乗したFスポーツとの明確な違いは、アダプティブダンパーとスポーツサスペンションが備わるか否か。UX 250hの方は、走行中のボディの動き、プライマリーライドはソフトになり、市街地では充分納得できる乗り心地を得ている。
その反面、英国の条件が良いとはいえない国道や地方道では、ボディの落ち着きは得られていない。路面によっては起伏をスムーズにいなすことが難しく、クルマのノーズは上下動を繰り返し、磨き込まれたレベルではないのだ。生煮え状態のサスペンション設定のおかげで、路面の凹凸を拾いながら走り続けてしまうことになる。快適性と上質さを期待するようなクルマとして、疑問に感じてしまうことは確かだ。
加えて積極的にコーナーへ侵入しても、ダンパーの減衰力を変化させる機能が備わらないから、ボディロールも明確に感取されてしまう。少し速めに交差点へ侵入するときなどは、特に顕著。フロントタイヤのグリップも比較的すぐに限界を迎え、挙動は穏やかではあるものの、基本的にはアンダーステア傾向の味付けとなる。
ステアリングへ伝わってくる感触も希薄で、全体的にリニアで漸進的な性格ではあるが、決して運動性能で優れているクルマとはいえないだろう。エクステリアデザインは勢いを感じられるものながら、実際の中身とは異なっている。特に運動神経が良いわけでもないのに、スポーツブランドの派手なウェアをまとっているような若者、そんなイメージを持ってしまった。
市街地に最適化されたSUV
しかし、活発な走りが味わえるハンドリングを備えていないとしても、このコンパクトSUVに関しては、それほど大きな問題とはならなそうだ。恐らく、郊外のツイスティな道をキビキビと走ることを楽しむために、レクサスUXを購入するひとは殆どいないはず。レクサス自身も、それを理解しているのだろう。
レクサスのウェブサイトを見ると、UXは「Creative Urban Explorer」をコンセプトに誕生したクルマとある。このクリエイティブ・アーバン・エクスプローラーの、具体的な説明はないようだが、UXは優れた質感で快適に都市部を運転することができる。
市街地の低速域に限っていえば、Fスポーツより柔らかなサスペンションが、優れたプライマリーライドを示し、落ち着きのある穏やかな乗り心地を生んでいる。またCVTとハイブリッドの組み合わせによるパワートレインも、静止からスムーズにクルマを加速させ、低速域では充分に力強さを感じられるから、多くのひとにとって納得できる仕上がりだと思う。
もちろんアクセルを深く踏み込めば、CVTということもありエンジンの回転数はスルスル上がっていくが、車内で聞こえてくるノイズは上手に遮断されている。レクサスUXを運転するカギは、優しく穏やかな操作。クルマの性格へ上手に合わせれば、UXが自然と好きになってくるから不思議だ。
燃費も心配する必要はない。都市部での低速域などでは、短時間ながら電気だけでの走行も可能で、WLTP値の17.5~18.8km/ℓという燃費は実際に届く数字に思える。
「買い」か?
わたしが選ぶならFスポーツ
コンパクトSUVを探しているのなら、Fスポーツに装備されていたアダプティブダンパーとスポーツサスペンションがない、標準グレードのUXであっても、充分に検討候補に加えていい実力を備えている。落ち着きのある滑らかな性格は、混雑した市街地を運転するストレスを和らげてくれる。
優れた燃費から給油に行く回数が減り、ガソリン代を節約できる点も心強いし、英国の場合は社用車を私的に利用している場合などでBIKと呼ばれる税金が掛かるが、23%という税率も魅力的なものなはず。
ボルボXC40の方が完成度が高く、煮詰められたパッケージングを備えているし、アウディQ3の秀逸なインテリアは、プレミアムなクルマとしての訴求力で勝っている。それでも、コンパクトSUVというカテゴリーで、周囲とは一味違ったモデルを探している向きには、レクサスUXは充分お薦めできる内容を持っているといえる。わたしの場合、Fスポーツを指定するとは思うけれど。
レクサスUX 250hプレミアムプラス・パックのスペック
■価格 3万4100ポンド(494万円)
■全長×全幅×全高 4495×1840×1540mm
■最高速度 177km/h
0-100km/h加速 8.5秒
■燃費 17.5~18.8km/ℓ(WLTP)
■CO2排出量 97g/km
■乾燥重量 1620kg
■パワートレイン 直列4気筒1987cc+電気モーター
■使用燃料 ガソリン
■最高出力 181ps(システム総合)
■最大トルク 19.3kg-m/4400-5200rpm(ガソリンエンジン)
■ギアボックス CVT
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