クルマ好きを魅了する希少国産本格スポーツ
ビッグパワー&RWD&MTという組み合わせ。日産の新型「フェアレディZ」はそんな希少となったパッケージでファンを魅了しています。クルマ好きとしてこの新型モデルが気にならないはずがありません。鮮やかなセイランブルーの6速MT車を、あらゆるシチュエーションで試乗チェックしてみました。
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街乗りは意外とソフトな印象
街中で乗り出して驚いたのは乗り心地の良さ。低速域ではスポーツカーなシルエットからはビックリするほどソフトでマイルドな乗り味です。インテリアの各種デザインや目線の低さを忘れてしまえば、まるでサルーンに乗っているかのようです。そして約60km/h以下の低速域では、ステアリングも軽い力で操作でき、運転が難しいといった印象はありません。
街乗りの低回転域では遮音性の高さもあって車内はとても静かで、エンジン音の主張も少なめです。非常に快適な印象ですが、もう少し低速域からスポーツカーな雰囲気があった方がクルマ好きにとっては嬉しいかもとも思ってしまいます。
シンクロレブコントロールの完成度は高い
先代モデルで採用されたシンクロレブコントロールは、この新型モデルにも当然搭載されています。シフトダウン時にエンジン回転を自動で合わせてくれるため、ヒールアンドトゥができなくても、シームレスにシフトダウンが可能です。システムのオン/オフはシフトレバー近くの「S-MODE」スイッチを操作するだけ。
オンにするとシフトポジションの横に「S」の表示が点灯し、実際に起動させてみるとその自然さと正確さに驚かされます。何の気なしにシフトダウンしても、ダブルクラッチで一旦ニュートラル位置に持ってきても、サラっと回転を合わせてくれます。「すげぇ!」と思う反面、「ヤバいヤバい、このままこのモードを使い続けてたら自分の運転が怠惰になってしまう」と感じ、オフにしました。
トルクフルなエンジンで高速道路は楽々移動
街中を走り、いざ高速道路へ。合流の加速であえて2速で引っ張ってみると、フラットなトルクフィーリングで伸びやかに加速していきます。「あれ? 新型ってターボだよね? タービンいつから回った?」そんな感覚を抱くほど、ターボラグとは無縁の加速フィーリングを見せます。
そして、新型フェアレディZは運転支援システムが充実しているので、高速道路では楽々なクルーズが可能です。インテリジェントクルーズコントロールにより、渋滞さえしなければ6速MTでも快適なドライブを楽しめます。日産は長年プロパイロットを手がけているだけあって、制御も自然です。
メーターデザインはスポーツ、ノーマル、エンハンスの3つが用意されています。筆者の好みとしては普段はスポーツにしたいですが、運転支援システムを使用する高速道路ではノーマルもしくはエンハンスの表示が見やすい。運転支援システムに関する情報を分かりやすく表示してくれて、より高速道路での移動を快適なものにしてくれます。
メーターについてもう一点伝えておきたいこと。それはスポーツ表示の計器類が充実しているということ。水温、油温、油圧、デフオイル温度などがリニアに表示され、スポーツ走行で役立ってくれること間違いなし。ダッシュボードの3連メーターにはブースト計、タービン速度計、電圧計を配置。ブースト計は3連メーターのほか、スポーツ表示へ切り替えたメーター内でも表示が可能。スポーツ走行時にチェックしたい情報を目の前に集約することができるのです。
ターボのレスポンスが良くワインディングが気持ちいい
そして待ちに待ったワインディングに突入。徐々にペースを上げていくと、ふたたびフラットトルクに驚かされます。まさにどこからでも吹き上がるエンジンといった具合。ブースト計を確認すると1800rpmも回っていればキッチリとタービンは仕事を始めます。
ターボエンジンというよりかは、スーパーチャージャーエンジンに乗っているようなフィーリング。ブーストがタレることなく高回転域まで伸びていきます。これなら日本のほとんどのワインディングロードは3速ホールドで十分でしょう。エンジンももちろん良いのですが、それ以上にターボのレスポンスが物すごく良いと感じさせてくれました。
そしてクルマが小さく感じるのも印象的です。1590kgという車重のため、軽快感を強く感じるわけではないですが、重量物が可能な限り中心かつ低重心に集まっていて、ドシッした安定感がありつつも素早い身のこなしを実現してくれる感覚です。
ソフトに感じた足まわりもキッチリとタイヤに荷重をかけて曲げていくような感触で、フロントタイヤの接地感を確実に感じながらスタビリティ高くコーナーを駆け抜けていきます。どこからでも付いてくるブーストと荷重をかけやすくインフォメーションを得やすいソフトな足まわりの組み合わせは、サラっと流すワインディングも楽しさ満点です。
フェアレディZ NISMOの登場に期待大!
さまざまなシチュエーションで新型フェアレディZを試しましたが、ひと言で言えば「快速GTとスポーツカーの二面性を持つクルマ」という印象でした。先代からフルモデルチェンジ級のビッグマイナーチェンジのため熟成された乗り味で、高い完成度を感じます。しかし個人的にはもっとスポーツカーの雰囲気を低速域から味わわせてほしいといった印象。もっとV6らしい重低音を響かせてほしいし、低速域でもシャープなステアリングフィールを味わいたいとも思ってしまいます。
そんなわがままを思ってしまいましたが、「ここをこんな風にチューニングすれば……」と思える部分もあり、チューニングベースとしての可能性はかなり感じることができました。サスペンションの変更やスタビライザーの強化でステアリングフィールをシャープにして、マフラーを変更してよりV6らしいサウンドを……試乗中にそんな妄想してしまいました。
近年のモデルの中でここまで「イジりたい!」と感じたモデルは初めて。それはベースがしっかりとしているからこそ。ノーマルで計器類も充実しており、機械式LSDも装着されている(注:バージョンS/バージョンSTのみ標準装着。他グレードはオプション設定なし)のもベースとして優れていると感じるポイント。ここまでチューニング欲が高まると、NISMOの登場が待ち遠しいです。
●NISSAN FAIRLADY Z Version ST ニッサン フェアレディZ バージョンST ・車両価格(消費税込):646万2500円 ・全長:4380mm ・全幅:1845mm ・全高:1315mm ・ホイールベース:2550mm ・車両重量:1590kg ・エンジン形式:V型6気筒DOHCツインターボ ・排気量:2997cc ・エンジン配置:フロントミッドシップ ・駆動方式:後輪駆動 ・変速機:6速MT ・最高出力:405ps/6400rpm ・最大トルク:475Nm/1600-5600rpm ・燃料消費率(WLTCモード):9.5km/L ・燃料タンク容量:62L ・サスペンション:(前)ダブルウィッシュボーン式、(後)マルチリンク式 ・ブレーキ:(前)ベンチレーテッド・ディスク、(後)ベンチレーテッド・ディスク ・タイヤ:(前)255/40R19、(後)275/35R19
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みんなのコメント
その状況でこう言った記事はどうかと思う。