2022年10月の乗用車全体(軽自動車を含む)の販売台数は29万5,809台、前年比128.3%と、9月に続いて大幅に巻き返しました。今月も国産9ブランドすべてが前年を上回り、なかでもダイハツ(193.1%)、マツダ(158.2%)、トヨタ(137.7%)などが好調です。
軽自動車を除く10月の新車販売ランキングでは、前月同様にトヨタ車がヤリスを筆頭にシエンタ、カローラなど上位5台を独占、TOP10にも8台を送り込み、日産ノート、ホンダフリードがかろうじてTOP10圏内を維持しました。軽自動車(乗用車)は、1位ホンダN-BOX、2位ダイハツタントは変わらず、新型キャンバス効果のダイハツムーヴが3位にランクインしています。
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今回も自動車評論家の島崎七生人さんに詳しく解説をしてもらいましょう。
国産乗用車販売台数 2022年10月(軽自動車を除く)
順位 車名 ブランド名 台数 前年比
1 ヤリス トヨタ 14,142 133.5
2 シエンタ トヨタ 10,739 242.8
3 カローラ トヨタ 9,753 134.0
4 ライズ トヨタ 8,660 213.1
5 ルーミー トヨタ 8,144 116.4
6 ノート 日産 7,603 138.2
7 ヴォクシー トヨタ 7,201 273.4
8 ノア トヨタ 7,166 363.8
9 アクア トヨタ 7,007 91.7
10 フリード ホンダ 5,858 93.9
11 フィット ホンダ 4,688 86.8
12 アルファード トヨタ 4,664 101.7
13 セレナ 日産 4,446 111.8
14 ヴェゼル ホンダ 4,296 62.9
15 ソリオ スズキ 3,987 130.4
16 CX-5 マツダ 3,077 142.3
17 ステップワゴン ホンダ 3,075 98.4
18 パッソ トヨタ 2,608 137.8
19 プリウス トヨタ 2,593 79.2
20 クラウン トヨタ 2,556 223.0
21 インプレッサ SUBARU 2,432 114.4
22 ランドクルーザーW トヨタ 2,294 115.0
23 ロッキー ダイハツ 2,238 529.1
24 RAV4 トヨタ 2,180 83.9
25 MAZDA2 マツダ 2,110 170.3
26 スイフト スズキ 1,980 75.8
27 エクストレイル 日産 1,761 236.1
28 フォレスター SUBARU 1,745 171.2
29 CX-60 マツダ 1,738 22年9月発売
30 レヴォーグ SUBARU 1,715 145.2
31 ジムニーW スズキ 1,576 151.8
32 デリカD5 三菱 1,495 101.0
33 キックス 日産 1,465 79.9
34 ロードスター マツダ 1,207 223.1
35 CX-8 マツダ 1,180 97.0
36 CX-30 マツダ 1,125 157.3
37 クロスビー スズキ 1,115 213.6
38 トール ダイハツ 1,075 122.9
39 MAZDA3 マツダ 1,047 156.7
40 GR86 トヨタ 1,006
41 ハリアー トヨタ 876 25.1
42 シャトル ホンダ 873 94.2
43 C-HR トヨタ 797 78.0
44 ハイエースW トヨタ 777 134.0
45 シビック ホンダ 608 49.9
46 CX-3 マツダ 575 101.6
47 NX350H レクサス 573 21年11月発売
48 レガシィ SUBARU 557
49 CT200H レクサス 536 280.6
50 マーチ 日産 524 91.6
※ 上記の台数は車名別の合算値となり、一部教習車などを含みます。
※ 例:ブランド通称名 カローラはカローラシリーズ全車種と教習車を含んでいます。
※ 前年比欄について、前年の台数がない場合や、前年比の桁数が5桁を超える場合は空白で表示しています。
2ヵ月連続で全ブランドが前年超え
10月の軽自動車を含む乗用車全体の販売台数は、前年同月比では128.3%と、9月の126.4%をやや上回った。これは生産・販売への阻害要因による影響がより顕著だった昨年に対してのものであり、9ブランドで見るとダイハツ193.1%、マツダ158.2%、トヨタ137.7%、スバル134.3%をはじめ、全ブランドが前年比超えとなっている。
依然として半導体不足の影響は残る
スマートキーの納車時対応を伝えるトヨタのホームページ
ただし販売台数自体を見ると、9月の32万4,901台に対し10月は29万5,809台と30万台を切る数字に下げた。トヨタとレクサスを合算した日本国内の連結販売台数の例でいえば、今年4~9月の台数は86.9万台だったが、これは昨年同期の94.5万台に対し92%にとどまったものだった。アジア以外の日本、北米、中国の販売車種では半導体の影響が出やすいことが、こうした状況を招いているようだ。そのためトヨタでは10月頃から生産車両の一部で、通常は電子キーにブレード状の物理キーが組み込まれたキーフォブ(スマートキー)が2個標準装備となるところ、暫定的にキーフォブ1個+物理キー単体1本での提供とする措置をとり始めるなどしている。
トヨタの強さが復活、シエンタは2位に急浮上
そんなトヨタ車だが、10月もトップ10のうちで8車が占める安定的な強さをみせた。1位は変わらずヤリスだが、それ以外で注目なのは8月にフルモデルチェンジを受けたシエンタで、9月の6位から10月は2位に大きくランクを上げ、台数も1万台超えとした。ほかにも3位のカローラ、9位のアクアはマイナーチェンジを実施したばかりであり、4位のライズ、5位のルーミーの底力も目が離せない。
健闘したセレナ、新型でノア/ヴォクシーを追い上げるか?
11月28日に発表された新型セレナ。旧型の好調を引き継げるか?
その一方で7位のヴォクシー(7,201台)、8位のノア(7,166台)は、ほんのわずかだけヴォクシーが台数で上回っているもののその差は小さく、今後、新型が発表となったライバル車の日産セレナの動向次第でどんな影響があるかは気になるところ。そのセレナは13位につけており、台数も4,446台とモデル末期ながら、日産ではノートに次いで健闘しているモデルとなっている。ちなみにトップ10内のトヨタ車以外の日産ノート、ホンダフリードの2車だが、8月、9月と2位だったノートが6位に順位を下げ台数も落としており、フリードも8位だった9月から10月は辛くも10位にとどまったものの、台数は7,763台から5,858台に落としている。
クラウンとCX-60がランクアップ、フィットも追い上げ開始
新型車ではクラウンが9月の36位から20位に順位を上げたほか、9月に発売されたばかりのマツダCX-60が29位にランクインしている。台数はクラウンが2,556台、CX-60が1,738台だが、これからどこまで伸ばせられるか成り行きを見守りたい。マイナーチェンジでリフレッシュを図ったフィットは、今月は先月の16位から11位まで順位を上げ、4,688台を記録している。同じホンダのシビックは45位/608台にとどまっており、タイプR効果がどれほど発揮されるかが注目だ。
ホンダ車ではステップワゴンが先月の21位から17位へと地味に(?)順位を上げているが、新型セレナ、ノア/ヴォクシーとの争いに果たして立ち向かえるかどうか少し気がかりだ。気がかりといえば9月は50位圏外で10月にランクインしたのはマツダ3、CX-3、そしてレクサスCT200Hの3車で、入れ替わりで10月に圏外となったのが、日産リーフと、アウトランダー、エクリプスクロスの三菱車2車だ。
軽乗用車販売台数 2022年10月
車名 ブランド名 台数 前年比
1 N-BOX ホンダ 16,369 220.0
2 タント ダイハツ 14,981 314.0
3 ムーヴ ダイハツ 9,128 273.6
4 スペーシア スズキ 9,103 144.1
5 ワゴンR スズキ 7,645 86.8
6 ミラ ダイハツ 7,208 159.5
7 ハスラー スズキ 6,557 121.1
8 ルークス 日産 6,267 72.1
9 アルト スズキ 6,104 156.9
10 タフト ダイハツ 3,931 79.8
11 ジムニー スズキ 3,220 161.5
12 デイズ 日産 3,016 59.9
13 N-WGN ホンダ 2,305 52.4
14 eK 三菱 2,039 81.2
15 サクラ 日産 1,880 22年6月発売
※ 車名についてはメーカーごとに同一車名のものを合算して集計しています(アルト、ワゴンR、ミラ、ムーヴ、eK、ピクシスなど)
タントが王者N-BOXを猛追!
軽自動車も各ブランドとも、おしなべて前年同月を上回る台数を確保している。5ヵ月連続前年同月比増(スズキ)、2ヵ月連続前年比増(ダイハツ、ホンダ)といったところだ。
そうした中で10月のランキングと販売台数を見ると、ダイハツタントが注目だ。ランキング上は2位と9月とは変わらないが、台数を見ると9月が9,878台だったのに対して10月は1万4,981台へと大躍進させているのである。不動の1位のホンダN-BOXとは実に1,388台まで差を縮め、まさにマイナーチェンジの効果絶大で、今後の追い上げが注目だ。
キャンバス効果でダイハツムーヴも3位に浮上
ダイハツではもう1台、3位につけるムーヴも“キャンバス効果”を発揮させ、前年比273.6%の9,128台を達成。順位も9月は5位だったが10月はスズキスペーシア(9,103台)のひとつ上に立った形だ。なおスペーシアは4ナンバーのスペーシアベースを登場させており、こちらの10月の台数1,317台と堅調……と思うも、同じくN-BOXの4ナンバー版のN-VANは2,348台と奮った数字を確保しているのが現状だ。台数だけでいうと、スペーシアベース分が本体のスペーシアと合算できれば……といった思いもなくはない。
日産サクラは供給追いつかず
そのほかスズキアルトは前年比156.9%ながら9位・6,104台。日本カー・オブ・ザ・イヤーの10ベストカーにも選出されたクルマだけに、もうひと弾みほしいところ。注目のEV、日産サクラは9月の11位・4,247台に対し10月は15位・1,880台の結果となっているが、人気が高すぎて供給が追いついていないとの話を聞く。
※記事の内容は2022年11月時点の情報で制作しています。
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もう11月のデータ出てるよ