現在位置: carview! > ニュース > 業界ニュース > ランボルギーニ ウルスをダートコースで試す! スーパーSUVの本領発揮となるか!?【Playback GENROQ 2020】

ここから本文です

ランボルギーニ ウルスをダートコースで試す! スーパーSUVの本領発揮となるか!?【Playback GENROQ 2020】

掲載 更新 2
ランボルギーニ ウルスをダートコースで試す! スーパーSUVの本領発揮となるか!?【Playback GENROQ 2020】

Lamborghini Urus

ランボルギーニ ウルス

メルセデス・ベンツのコンパクトなピュアEVモデル「EQA 250」国内初試乗。SUVとしても魅力大!

未墾の猛牛

スーパースポーツカーの性能を持つSUV、ウルス。最高出力650ps、最大トルク850Nmという超高性能は、はたしてSUVの本懐であるダートコースでも発揮されるのか? オフロードコースに持ち込んでその実力を確かめた。

「ワインディングで示した驚異の走行性能はステージをオフロードに替えても健在だ」

思えば、スタックの多い人生を送って来ました。いや真面目な話、世界中でスタックしてきた。いわゆる試乗会は問題ない。ハプニングは独自に行動している時に起きるものだ。昔、カメラマンと一緒にWRCを追いかけていた頃には、ケニアのぬかるみやスコットランドの林道で、あるいはフレンチ・アルプスの雪道で、にっちもさっちも行かなくなったことがいくらでもある。国内でもゲレンデにアウディ クワトロや911カレラ4を埋めたこともあった。そのほとんどは4WD車である。2WD車ではそもそも無理をしないからである。

4WDだからこそ、行けるのではないか、何とかもっと近づけるのではないかと欲を出してギリギリまで行ってしまって、挙句やっぱり無理だったということになる。使える道具が優秀であればあるほど、限界までそれを引き出してみたくなるのがクルマバカの性というか性癖なのである。もちろん、皆さんには薦めません。分別のある大人はそもそもそんなリスクを冒しません。私も単独行動は厳に慎むぐらいの頭はあったので、後で恥ずかしい話のネタにできるわけです。

釈迦に説法のような話であることを承知で言うが、今や世の中に数多あふれるSUVもその中身は千差万別である。FWDなのに形だけは4WDと同じというものから、雪道での発進時にまあ役に立つ程度の“ちょっとだけ4WD”、そしてメルセデスGクラスのように3ヵ所のデフロックを今なお個別に装備している本格派まで、すべてSUVと呼ぶから誤解が生まれるのだが、考えてみれば、現代のSUVに本格的な悪路走行性能がどれほど必要なのか。

「凸凹だらけの悪路を走破する場合に最終的に物を言うのはタイヤ径と地上高である」

そもそもその種の能力を求めている人はいるのか、という根本的な疑問が浮かぶ。しかしながら、それは日本に限った話である。世界中の道にはまって来た私に言わせてもらえば、信じられないような道、あるいは道とさえ呼べないような「跡」がまだまだ当たり前に存在する。分厚く砂が積もったナミビアの川床を丸一日走ったこともある。その時はディフェンダーだったが、このクルマでなければ、という悪路はいくらでもあるのだ。

豪快に砂塵を巻き上げてドリフトする映像をそのまま真似する人はよもやいないと思うが(あの手の映像は事前に入念にチェックしたコースを使う)、ランボルギーニ初のスーパーSUVであるウルスの場合もその特徴を理解した上で鞭を入れるべきなのは言うまでもない。オフロードと言っても同じく千差万別だが、凸凹だらけの悪路を走破する場合に最終的に物を言うのはタイヤ径と地上高である。たとえば新雪がタイヤ直径の半分ぐらいまで積もっていたらもう難しい。外気温や雪質にもよるが、スタッドレスを履いたSUVでも乗り越えられないだろう。

「オンロードでは頼もしいピレリPゼロだが泥が詰まれば、文字通り手も足も出ない」

しかもウルスの場合は、オンロードでは頼もしいピレリPゼロのもともと数少ない溝に泥が詰まってしまったら(実際にたちまち詰まってしまうのだが)、文字通り、手も足も出ない。650psのV8ツインターボだろうが、アダプティブエアサスペンションだろうが、まさしく宝の持ち腐れになってしまうのだ。また、資料によるとウルスの最低地上高は158mmという。自慢のタンブーロで「テラ(グラベル)」や「サッビア(砂)」などオフロードモードを選択すれば、最高248mmまで上げられるというが、エアロダイナミックなバンパーを打たないように注意しなければならない。ちなみにレンジローバーの地上高は標準位置で220mm、最高では約300mmである。

その代わりというわけではないが、オンロードでのパフォーマンスは飛び抜けている。ランボルギーニ待望のスーパーSUV「ウルス」は、トルセンセンターデフ(基本駆動力配分は前後40対60、フロントに最大70%/リヤ87%まで可変配分)を使用する4WDシステムやツインスクロールターボを2基Vバンクの中に収めた4.0リッターV8ツインターボエンジンなど、多くのコンポーネンツをポルシェやアウディなどグループ内の他ブランドと共用しながらも、エンジン出力はグループ内最強。カイエンターボやパナメーラターボなどを大きく上回る最高出力650psと最大トルク850Nmを発生する。

「スーパースポーツ並みの性能をもちながら通常は荒々しさを感じさせない」

全開にすれば0-100km/h加速は3.6秒、最高速は305km/hというスーパースポーツカー並みのパフォーマンスを備えた新種のSUVである。それでいながら通常走行ではまったく荒々しさを感じさせない点が現代的、V8ツインターボエンジンにはシリンダー休止システムが組み込まれており、軽負荷の定速走行時には頻繁に4気筒モードに切り替わって燃費を向上させる。

ハンドリングと快適性に優れていることも既に伝えられている通りだ。5mを優に超える全長と2m余りの全幅、ホイールベースも3m余りで車検証の車重で2.3トンを軽く超える(カタログ値は2.2トン)巨体が常にフラットさを失わず、滑らかに走るのはアダプティプ・エアサスペンションにアダプティプ・スタビライザー、後輪操舵システムなどの最新メカニズムを完備している効果だろう。

ワインディングロードでも事実上ロールを感じさせず、右に左にスイスイと水平を保ったまま向きを変えるコーナリングは、まるで大きく車高の高いカートを操っているような不思議な感覚だ。

「いつかウルスに相応しいタイヤを履かせて、遮るもののない雪原を走ってみたい」

初のSUVモデルにしてこの洗練度、完成度は見事である。いやいや、チーターとLM002という先祖がいたでしょう、という人は勘違いしている。ランボルギーニ自身も関連性をアピールしているが、クライスラー製V8をミッドシップした“チーター”はあくまでプロトタイプであり、カウンタック由来のV12をフロントに積んだLM002(300台余りの生産台数ながら市販モデル)とはまったくの別物だ。

そのLM002も、舗装路でさえスムーズに走らせるのに手を焼く難物だった(実際に乗ったことがある人はもう少ないだろう)。必要な時だけ獰猛で、それ以外はまったく従順なウルスとは比べ物にならない。いつかウルスに相応しいタイヤを履かせて、遮るもののない雪原を走ってみたい。そういう舞台でこそスーパーSUVの真価を発揮してくれるはずだ。

REPORT/高平高輝(Koki TAKAHIRA)
PHOTO/小林邦寿(Kunihisa KOBAYASHI)

【SPECIFICATIONS】

ランボルギーニ ウルス

ボディサイズ:全長5112 全幅2016 全高1638mm
ホイールベース:3003mm
車両重量:2200kg
エンジン:V型8気筒DOHCツインターボ
ボア×ストローク:86×86mm
総排気量:3996cc
最高出力:478kW(650ps)/6000rpm
最大トルク:850Nm(86.7kgm)/2250-4500rpm
トランスミッション:8速AT
駆動方式:AWD
サスペンション形式:前後マルチリンク
ブレーキ:前後ベンチレーテッドディスク
タイヤサイズ(リム幅):前285/45ZR21(9.5J)後315/40ZR21(10.5J)
最高速度:305km/h
0-100km/h加速:3.6秒
環境性能(EU複合モード)
燃料消費率:12.7L/100km
CO2排出量:325g/km
車両本体価格:3068万1070円

※GENROQ 2020年 5月号の記事を再構成。記事内容及びデータはすべて発行当時のものです。

【キャンペーン】第2・4 金土日はお得に給油!車検月登録でガソリン・軽油5円/L引き!(要マイカー登録)

こんな記事も読まれています

態度を改めないと「免許返納です」傍若無人な“若者運転”が危険すぎる「5つの理由」って!? 事故を起こすのも当然! 未成熟な「ヤバすぎる運転」とは
態度を改めないと「免許返納です」傍若無人な“若者運転”が危険すぎる「5つの理由」って!? 事故を起こすのも当然! 未成熟な「ヤバすぎる運転」とは
くるまのニュース
27年ぶりにあの懐かしいスターレットが戻ってくる!? ヤリスより小さいリッターカーは2026年登場か!?
27年ぶりにあの懐かしいスターレットが戻ってくる!? ヤリスより小さいリッターカーは2026年登場か!?
ベストカーWeb
BMW「S 1000 XR」【いま新車で買える! 冒険バイク図鑑】
BMW「S 1000 XR」【いま新車で買える! 冒険バイク図鑑】
webオートバイ
快適さと使いやすさの最適解! 日産NV200バネットがベースのキャンパー
快適さと使いやすさの最適解! 日産NV200バネットがベースのキャンパー
月刊自家用車WEB
[大型ミニバン]頂上対決!? レクサス[LM]vsトヨタ[ヴェルファイア]約800万円の価格差はどこ?
[大型ミニバン]頂上対決!? レクサス[LM]vsトヨタ[ヴェルファイア]約800万円の価格差はどこ?
ベストカーWeb
破格の約90万円!! ダイハツ・[コペン]は今こそ買い時でしょ!
破格の約90万円!! ダイハツ・[コペン]は今こそ買い時でしょ!
ベストカーWeb
[BEV]計画着々と進行中!? トヨタが福岡県に[BEV]電池工場を新設
[BEV]計画着々と進行中!? トヨタが福岡県に[BEV]電池工場を新設
ベストカーWeb
アストンマーティン・ヴァルキリーのデビュー戦とふたりのドライバーが決定。IMSAはデイトナを欠場へ
アストンマーティン・ヴァルキリーのデビュー戦とふたりのドライバーが決定。IMSAはデイトナを欠場へ
AUTOSPORT web
モリゾウがトヨタを激励。豊田スタジアム新コースでの“人力パワー”に観客から拍手/WRC写真日記
モリゾウがトヨタを激励。豊田スタジアム新コースでの“人力パワー”に観客から拍手/WRC写真日記
AUTOSPORT web
「エニカ(Anyca)」サービス終了…カーシェアはどこへ向かうのか?
「エニカ(Anyca)」サービス終了…カーシェアはどこへ向かうのか?
ベストカーWeb
オジエが豊田スタジアムステージの苦手意識を明かす「僕たちはいつも遅い」/ラリージャパン デイ1コメント
オジエが豊田スタジアムステージの苦手意識を明かす「僕たちはいつも遅い」/ラリージャパン デイ1コメント
AUTOSPORT web
オヤジむせび泣き案件!! ホンダの[デートカー]が帰ってくるぞ!! 新型[プレリュード]は究極のハイブリッドスポーツだ!!!!!!!!!
オヤジむせび泣き案件!! ホンダの[デートカー]が帰ってくるぞ!! 新型[プレリュード]は究極のハイブリッドスポーツだ!!!!!!!!!
ベストカーWeb
ラリージャパン2024が開幕。勝田貴元が新レイアウトのスタジアムステージで3番手発進/WRC日本
ラリージャパン2024が開幕。勝田貴元が新レイアウトのスタジアムステージで3番手発進/WRC日本
AUTOSPORT web
N-VANより安い200万円以下!? スズキ新型[エブリイ]は配達業を助ける!! 航続距離200kmのBEVに生まれ変わる
N-VANより安い200万円以下!? スズキ新型[エブリイ]は配達業を助ける!! 航続距離200kmのBEVに生まれ変わる
ベストカーWeb
実録・BYDの新型EV「シール」で1000キロ走破チャレンジ…RWDの走行距離はカタログ値の87.9%という好成績を達成しました!
実録・BYDの新型EV「シール」で1000キロ走破チャレンジ…RWDの走行距離はカタログ値の87.9%という好成績を達成しました!
Auto Messe Web
8年目の小さな「成功作」 アウディQ2へ試乗 ブランドらしい実力派 落ち着いた操縦性
8年目の小さな「成功作」 アウディQ2へ試乗 ブランドらしい実力派 落ち着いた操縦性
AUTOCAR JAPAN
RSCフルタイム引退のウインターボトム、2025年は古巣に復帰しウォーターズの耐久ペアに就任
RSCフルタイム引退のウインターボトム、2025年は古巣に復帰しウォーターズの耐久ペアに就任
AUTOSPORT web
ハコスカ!? マッスルカー!?「ちがいます」 “55歳”ミツオカ渾身の1台「M55」ついに発売 「SUVではないものを」
ハコスカ!? マッスルカー!?「ちがいます」 “55歳”ミツオカ渾身の1台「M55」ついに発売 「SUVではないものを」
乗りものニュース

みんなのコメント

2件
  • 頻繁に8気筒から4気筒にエンジン特性が変わるから、舗装路は良くてもグラベルなどの路面では、そのシリンダー休止システムが邪魔に感じるのでは?
    特に路面からの突き上げが乱発するような道ではパワーバランスが乱れるのではないだろうか?
    ドロ遊びが大好きないい歳したオッさんグループの中にも、ウルスが1台有って泥濘地やターマックを皆んなで乗り比べて感じた事だから。
  • タイヤはそのコースに合ったものを好きに選んでいいってカテゴリーがあったとしても、
    たぶんGRヤリスに負けるんじゃね?
    ウルスが勝てるコースったら砂漠だけか。
    パリダカならありかと思うが、たぶん初日でリタイアだな。
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

この記事に出てきたクルマ

新車価格(税込)

2868.3万円

新車見積りスタート

中古車本体価格

2760.06880.0万円

中古車を検索
ウルスの車買取相場を調べる

査定を依頼する

メーカー
モデル
年式
走行距離

おすすめのニュース

愛車管理はマイカーページで!

登録してお得なクーポンを獲得しよう

マイカー登録をする

おすすめのニュース

おすすめをもっと見る

この記事に出てきたクルマ

新車価格(税込)

2868.3万円

新車見積りスタート

中古車本体価格

2760.06880.0万円

中古車を検索

あなたにおすすめのサービス

メーカー
モデル
年式
走行距離

新車見積りサービス

店舗に行かずにお家でカンタン新車見積り。まずはネットで地域や希望車種を入力!

新車見積りサービス
都道府県
市区町村