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ファーストEVの選択肢としてボルボ「EX30」を薦めたい理由

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ファーストEVの選択肢としてボルボ「EX30」を薦めたい理由

 ボルボは、安全性能の高いステーションワゴンでファミリー層の人気を集め、行動範囲の広いSUVでその人気を不動のものにした。そのボルボが次に目指したのが、CO2排出量削減への取り組み。それも単純にクルマを走らせてゼロエミッション、というのではなく、クルマを生産する工場や生産材からのCO2排出を限りなくゼロにするという目標を揚げている。「EX30」はこうした背景から誕生した100%ピュアEVだ。

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CO2排出量を減らす工夫が随所に

 昨年の夏に日本で紹介され、サブスクリプションでも購入できるが、本格的なデリバリーは今春になってから始まった。グリルレスのフロントマスクは、デジタル表現になったトールハンマーヘッドライトで、ひと目でボルボとわかるデザインが特徴だ。ボディーサイズは全長4235mm、全幅1835mm、全高1550mm、ホイールベースは2650mm。最近発売されたレクサス「LBX」に近いサイズのコンパクト5ドアEVだ。



 生産に関してはCO2排出量の少なさが注目されている。CO2排出量の最大の要因はアルミとスチールというボディー外板。そこで「EX30」は使用されるアルミの約25%、全スチールの約17%、全プラスチックの約17%がリサイクル素材を使用しているという。室内は2タイプの内容から選ぶことができる。どちらも廃棄物からつくられた再生プラスチック、再生可能な繊維の亜麻やリサイクルポリエステルを約70%含むウール混紡素材、再生プラスチックを含む3Dニット素材が用いられている。シートはリサイクル素材やバイオ素材を使用している。

 素材の使用量を減らしながら、スペースの狭い室内で最大の効果を得られる取り組みをしたのがスピーカー。HarmanKardonのサウンドシステムは複数のスピーカーを一列にまとめてフロントガラスのすぐ下にレイアウトするというユニークな手法を採用している。これにより、配線や素材の量を減らし、ドアの収納スペースを大幅に増やすことにも成功している。

 インフォテインメントシステムもGoogle、Apple、Qualcomと連携し、12.3インチのセンターディスプレイに各種表示が出る。しかしタッチパネルは走行中に、ドライバーが目でスイッチの位置などを確認しなければならず、クルマの装備としては使い勝手に優れているとはいえない。Googleのハンズフリー支援やAppleCarPlayのワイヤレスのほうが、安全面を考えれば、便利な装備だろう。



加速中も含めて走行音はほとんどなし、他のEVと比べてもダントツの静音性

「EX30」を一般道で走らせてみると、1速固定式の変速機で、ドライブモードはDレンジ。コラム部の大きなダイヤルを動かしてシフトする。「EX30」で物理的に動かせるスイッチはこのシフトダイヤルのほかに、4WAYフラッシャーとドアウインドウとウインカーだけ。あとの操作は、センター画面に使用する項目を呼び出して行なう。ドアウインドウも前後のウインドウと開閉は2つのスイッチで前後が切り替えられるという方式。ドアミラーもスイッチで左右を呼び出し、それぞれ自動でミラーの角度を調節する方式だ。



 走り出して、ハンドルの操舵力が軽めなので、画面にハンドル操舵力の画面を出す。操舵力は「軽め」「普通」「重め」が選べる。試乗車は「普通」でセットされていたが、かなり軽めだったので「重め」に切り替えた。それでも直進時の切り込みやコーナーでの操舵力はやや軽めだ。操縦性は、床下の電池の重さも影響し、直進性はどっしり感がある。コーナーではやや軽めで、切り込みに対しての抵抗感もあった。ボディのロールは小さめだ。

 乗り心地は硬め。高速走行ではフラット感があり、ゼブラ模様の路面でも突き上げは少なかった。コンパクトクロスオーバーのカテゴリーの中では乗り心地のいいクルマと言っても言い過ぎではないレベルだ。ホイール/タイヤは20インチホイールに、245/40R20サイズのタイヤを装着。試乗車はグッドイヤー「エフィシエントグリップ」を履いていた。このタイヤも乗り心地向上に役立っていそうだ。

 パワーユニットだが、現時点でも「EX30」は総電力量69.0kWhの電池で75kWの1モーターを動かしている。駆動は後輪だ。出力は272PS、トルクは343Nmで、一充電走行距離は、公称560kmだ。車両重量は1790kgでコンパクトクロスオーバーとしては、軽めのほうなので、加速性能も0→1100km/hは5秒台とかなり俊速だ。しかも、加速中も含めて、走行音はほとんど室内に入ってこない。ヒューンという加速もないのだ。最近、試乗したEVの中でも最も音のしないEVだといえる。

室内はやや高めの着座だが、ガラスルーフの天井は高く、圧迫感はない。ハンドルは四角形に近く、握りも太い。後席は、着座は高めではなく、足元も床面はフラットだが膝まわりはやや狭め。前席からのコンソールの張り出しも大きめなので、後席中央は足の置き場が狭い。快適定員は2名。



 後席は4対6で背もたれが前倒するが、背はほぼフラットまで倒れるがシートベルトが背もたれを引き起こした時に挟まってしまうのは要改良。車体後部のラゲージスペースは狭くはない。床下のサブトランクも深さがあり、充電用ケーブルが収納できる。ラゲージスペースはフロントボンネット下にもフタ付きの収納ボックスが備わっている。収納スペースは多い。



最後に電費だが、街中を中心に約70km走行し、充電量は16%減った。充電は6Aから45Aまで容量を選べる。自宅の3kW、6Aの場合、80%から90%への充電は34時間と表示された。充電量も日常走行(90%)、長距離(100%)、カスタム(100%)と3段階を指定することができた。

 コンパクトで扱いやすい車体サイズ、ボルボ本来の先進安全技術、十分な一充電走行距離を合わせ持ち、車両本体価格は559万円(試乗車のオプションはホイール+9万円と前後ドライブレコーダー+8万9650円だけ)で装備は十分。この価格設定はかなり魅力的だ。

 販売は当初、サブスクリプションのみだったが、現在はディーラーでの販売も行なっている。初めてEVを購入するユーザーは一度、試乗することをおすすめしたい。

■関連情報
https://www.volvocars.com/jp/cars/ex30-electric/

文/石川真禧照  撮影/萩原文博

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みんなのコメント

8件
  • ********
    >自宅の3kW、6Aの場合、80%から90%への充電は34時間と表示された。

    EQAの記事でもおかしな数字を書いてたな。
    そもそも、200Vで3kWなら、15Aだろ。 6Aでちまちま充電してるなら、それは1.2kWだろうが。

    この筆者がおかしいのか?筆者の家の充電器がぶっ壊れてるのか?

  • ang********
    兄弟車のZeekr Xが日本に上陸するらしいけど
    それぞれどんな立ち位置になるんだろうね
    値段で攻勢かけないとZeekr売れないだろうし
    後ろ足で砂かけられたら日本のボルボ販売店黙ってないだろうし
    今から興味深いね
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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