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【試乗記】BMW M社のEV5シリーズ 弩級の走りとE/Eアーキテクチャーの進化

掲載 更新 4
【試乗記】BMW M社のEV5シリーズ 弩級の走りとE/Eアーキテクチャーの進化

BMWの新型5シリーズに初の電気自動車i5がラインアップし、今回、そのi5のMモデルである「i5 M60 xDrive」に試乗してきたのでお伝えしよう。

新型の5シリーズはG60型となり、約7年ぶり8代目へとフルモデルチェンジを2023年7月に行なっている。そしてこのタイミングで5シリーズに初めてEVモデルを投入し、国内にはi5の標準モデルとi5のMモデルの2タイプを導入している。

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試乗したi5 M60xDriveはM社が製造するパフォーマンスモデルで、最もハイパフォーマンスなモデルがMハイパフォーマンスという名称で、サーキットやレースを視野に入れたモデル。そして公道でのパフォーマンスを重視しハイパフォーマンスをディチューンしたモデルがMパフォーマンスモデルで、公道最速モデルという位置付けであった。しかし、EVになってからはそうした名称は使わなくなり、M60、M70、といった数字だけの表記に変わってきている。

今回試乗したモデルはM60でMパフォーマンスモデルなのだが、現状i5のトップモデルで最もハイパフォーマンスに位置付けられているモデル。システムトータル442kW(601ps)/820Nmで、フロントモーターが192kW(262ps)/365Nm、リヤモーターが250kW(340ps)/430Nmという強烈なトルクを持つモーターを前後に搭載しているのだ。 国内の公道ではとても使い切れるトルクではなく、常にパフォーマンスの片鱗を瞬間的に楽しむという乗り方しかできないほどだ。0-100km/h加速は3.8秒というダッシュ力は滅多に体験しない加速力であることが想像できよう。

そして「Boost」と書かれたパドルシフトが左側にあり、こいつを握ると10秒間爆発的な加速をする仕掛けがあるのだ。フォーミュラEで使われる「アタックモード」を搭載しているイメージだ。ちなみに搭載するリチウムイオンバッテリーの総電力量は83.9kWhでWLTC455kmの後続距離となっている。

この新型5シリーズはクラスターアーキテクチャー(CLAR)プラットフォームを採用し、バッテリー搭載を前提にアンダーボディはほぼフラットな形状で、空力的にもメリットが大きい。全長5060mm、全幅1900mm、全高1505mm、ホイールベース2995mmで、全長は先代より97mmサイズアップするなど、かつての7シリーズと比肩する大きさになった。

しかし後輪操舵システムのintegrated active steeringを搭載しているため、狭い場所での駐車などで大きさを持て余すことはなかった。最小回転半径は5.8mでひとクラス小さいDセグメントサイズと同等レベルだ。その後輪操舵も住宅街などの路地を走行すると体感するものの、通常の走行では言われないと気づかないかもしれない。それほどナチュラルに制御されており、直進の安定性やコーナリングでの安定感など気づかないレベルで全体の底上げをしている高度な制御レベルだった。

EVゆえに、静粛性も高くまた乗り心地がしなやかで、滑らかでこの上なく上質な乗り味というのも特徴だ。サスペンションはアダプティブ・サスペンションで、さらにアクティブ・ロールコントロール機能を持つ電子制御スタビライザーを装備している。これらの可変式サスペンションによって、高級車に相応しい乗り心地を提供し、Mモデルらしい走りのパフォーマンスも両立させるものだった。

インテリアでは、やはりインフォテイメント系を集約するカーブドディスプレイに目がいく。今回のモデルチェンジでBMW OSが8.5へアップデートされ、インフォテイメント系、コンフォート系、そしてダイナミック性能やADAS関連もこのディスプレイで操作できるようにアップデートされた。

12.3 インチのインフォメーションディスプレイと14.9のコントロール・ディスプレイに映し出されるアイコンは、統一感のあるデザインでまとめられているため、まさにタブレットのような操作が可能になり、さらに液晶の綺麗さにも驚かされる。古いタブレットから最新タブレットに変えた時の感動と同じようなレベルでの驚きがあったのだ。ちなみに対戦ゲームもこのディスプレイ上でできるという。

そうした画面操作からの信号は制御するECUへと送られ、アクチュエーター等を介して動作していくが、どこまでECUがまとめられているのかは不明ではあるものの、すでに系統別にまとまっていると想像できる。各社、このE/Eアーキテクチャーの開発競争の真っ最中であり、BMWは中国のEVやテスラと同等レベルに引き上げられていると考えていいだろう。

そのため、ボタン類がほぼなくなり、操作の多くがこのディプレイを通じて行なう。一部ADASの起動やオーディオ系の操作はステアリングにスイッチを設置しているものの、ダッシュボードはすっきりとしている。

またセンターコンソールには従来と同様にロータリー式ダイヤルが残っているが、地図の拡大・縮小はタッチ画面よりこうした物理スイッチのほうが操作しやすい。

よく見れば、オーディオボリュームも物理ダイヤルが残してあり、咄嗟の操作や操作頻度の高いものは物理スイッチで残すという人間研究の現れだ。

エクステリア・デザインでは象徴的なキドニーグリルは大型化し、さらに暗い場所ではキドニーグリルを一周するアイコニック・グローを備え、現代的なツインヘッドライトと合わせて存在感が強くアピールされる。またCピラーには5シリーズを示す「5」の数字がエンボス加工されており、かっこいいのだ。

シルエット全体ではセダンらしいフォルムで、格式のある存在感と力強さを感じさせるプレスラインで構成され、そしてロングノーズだ。ボディサイズを大きくしたことも合わせて荘厳な存在に見えてくる。

このCLARプラットフォームを使ったEVのi5はガソリンモデルの5シリーズと同様、BMWであることが体に伝わり、EVだと希薄になる「らしさ」というインフォメーションもICE仕様と変わりがない。EVになってもBMWである嬉しさと駆けぬける歓びを感じる試乗テストだった。

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みんなのコメント

4件
  • kvg********
    リアバンパーの下部の左右の黒色部分が上の方に広がっているのは、
    どんな意味が?
    EVになっても、スポーティ=太いエキゾストパイプ 感が拭えないから、あんな処理だだというんだが、どう思う? 
    真っ直ぐ通したほうがリアビューはスッキリすると思うのだが。
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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