東京オートサロン2020ホンダブースには2台のシビック、ハッチバックとセダンが展示されていた。これらは1月23日より販売が開始されるマイナーチェンジモデルだ。そして、プレスカンファレンスにおいて、その横の舞台に乗せられた1台がアンベール。こちらはサプライズで登場したシビックタイプRだった。
会場において、これらの開発責任者に話を聞くことが出来たので、今回の改良のポイントなどをお伝えしたい。
フロントウインドーの霜取りにまさかの温水噴射!? 新型カローラには、それがあるのだよ。
◆ひと言で言えば、熟成のマイナーチェンジ
シビックハッチバックとセダンの開発責任者である本田技術研究所四輪R&Dセンター第10技術開発室技術企画ブロック主任研究員の松井 充さんは、今回のマイナーチェンジに関して、「ハッチバックはスポーティさに上質さを加えることをコンセプトに。セダンは上質感にスポーティさをもう少しプラスさせました」とその方向性を説明。「現行は多くのお客様に支持してもらえており、さらにその支持の幅を広げたいという位置づけで今回アップデートをかけました」という。
では具体的ポイントは何か。松井さんは、「ハッチバックは上質さを際立たせるために、トップロードサンルーフオプション設定。そして防音性能を上げました。適材適所に防音材を追加することでタイヤから来るロードノイズや風切音などを抑えています」という。また、グリルやバンパーも変更し、「外観はよりスポーティに、乗っている時はドライブコンフォート、乗り心地をよく感じさせているのです」と話す。
セダンは、「バンパー全体を支え横基調のデザインにすることでよりワイド&ローに見せスポーティさを高めています。またフォグランプベゼルの周りやリアにメッキのバーを追加することで上質さも向上させました」と述べる。
また、細部ではスイッチの角が「トゲトゲしいものがあったのでその角を落とすなど、市場の意見を反映しています」と松井さん。つまり今回のマイナーチェンジは熟成方向といえる。松井さんもその点は認めるところで、「いたずらにデザインを変えるのではなく、本質的なところをどんどん高めていこうというのがこのシビックシリーズのマイナーチェンジの大きな意図。乗ってもらうとしっかりとわかるところをアップデートして行こう。そういう大きなこだわりを持って開発しました」とコメントした。
◆スポーツカーの進化のために
このハッチバックをベースモデルとして開発されたのがタイプRだ。本田技術研究所オートモビルセンター第11技術開発室開発戦略ブロック主任研究員の柿沼秀樹さんは、「タイプRですからマイナーチェンジといえどもスポーツカーとしての進化を遂げないといけません。そこでしっかりとやりきれるところをやりきったというところがこのクルマのポイントです」と語る。ただし、今回はここまで。発売は夏ごろを予定しているため、詳細を明かすことが出来ないのだ。
そこで見える範囲での変更点を説明してもらおう。「ベースのハッチバックと同様にバンパーのデザインを変更し、ロー&ワイドでスポーツフィールを強調。見た目のスポーツ感を進化させました」。そのうえで、「スポーツカーとしてのダイナミクスを上げるために、エンジンの冷却性能をさらに進化させています」。じつはこれまでハッチバックとタイプRとのグリルデザインは共通だった。しかし新型では上の開口が大幅に広がり、「そこから空気をたくさん取り入れて、しっかりとエンジンを冷やし、よりタイプRの2リットルターボのパフォーマンスを発揮出来るようアップデートしています」という。
またブレーキも変更された。これまでフロントはブレンボ製ワンピースのディスクブレーキだったものを、「ツーピースのフローティングタイプに変更し、熱ダレ等によるブレーキフィール等を大幅に改良。ハードな連続走行でのタフネスさを大きく向上させました」と説明した。
◆ホンダのエンジニアの想いが詰まったタイプR
ここで気になるのはニュルブルクリンクタイムアタックだ。昨年ルノーメガーヌR.S.トロフィーRが量産FF車最速タイムを記録している。柿沼さんは、「他車がどうこうではなく、今回3年目のビッグマイナーチェンジとして、スポーツカーとしてのダイナミックスの進化をしっかり図ることが重要です。即ちタイプRでいえば、速さとクルマとしての基本性能をしっかりと高めています。その結果、当然速さにも繋がりますし、お客様がサーキットなどに行かなくても、明らかに進化したなと感じてもらえるように、速さから乗り心地まですべての領域でしっかりと手掛けています」と述べる。
かなりの手間暇をかけて作り込んだ様子のタイプRだが、「社内でも何でそこまでやるんだといわれます(笑)。しかし、自分たちがやりたいのだからやらせてくれと会社にいって開発しました。現行シビックのベースモデルとタイプRはしっかりと作りましたので、土台としてのポテンシャルの高さがあります。そこにプラス3年の時間をかけて我々開発者が、もっとこうしたい、もっと良くしたいという思いをマイナーチェンジ後のハッチバックをベースにさらに進化させたのです」。
最後に柿沼さんは、「クルマの開発は天井無しです。なのでやれるところまでやりたい、やりたくてしょうがないというその気持ちをとにかく形にしました。ホンダのエンジニアたちの想いが詰まったスポーツカーがこのタイプRなのです」と語った。
<文=内田俊一 写真=岡 拓/内田俊一>
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みんなのコメント
取り合えずタイプRの走りだけは本物だからね~w