まるで新車を作り上げるかのような本格作業に脱帽
日本を代表するオープンカーであるマツダの「ロードスター」。現行型の評価の高さはご存じの通りだが、その初代モデルである「ユーノス・ロードスター(以下、NAロードスター)」は今でもファンが多く、颯爽と走る姿を街でよく見かける。
しかし、初代の販売開始は1989年と約30年が経過して補修部品の生産終了などがあり、オーナーがコンディションを維持することはかなり難しくなってきている。そのような状況下、マツダは永く大切にマツダ車を乗り続けられる環境作りを目指し、初代のNAロードスターのレストアサービスのWEB申込受付を12月13日より開始した。
NAロードスターのレストアサービスとは、オリジナルに近い状態にクルマをリフレッシュさせるため、オーナーは事前にロードスターアンバサダーや担当者と面接を実施。個別の要望やクルマの状態にあったサービスも受けられるという魅力たっぷりのサービスだ。
もちろん純正パーツも再供給される。オリジナルと同様のバックウインドウを解放できるビニール生地のソフトトップや、当時の新車装着タイヤであるブリヂストン製SF325(185/60R14)、NARDI製ウッドステアリング/シフトノブの4点をはじめ、復刻した約150点の部品を2018年1月より販売開始する。そのほかの生産終了部品についても、引き続き検討を進めていく方向とのこと。今回は明らかになった具体的なレストア工程を紹介しよう。
レストアサービスは、WEBで申し込みしてから納車するまで全7ステップの行程を経るため、所要期間は約2カ月ほどかかる。まずは申し込みフォームの内容をもとに、書類審査とクルマの状態などの詳細について個別にヒアリングが行われる。次に車両確認だが、確認場所については最寄りのマツダグループ販売店と調整してもらえるので、非常に便利だ。マツダレストアチームメンバー立会いのもと、錆や修理、カスタマイズの状況をくまなくチェックする。
作業可能と判断された車両は、まずマツダ広島本社かマツダR&Dセンター横浜のどちらかに入庫。フロントボディやキャビンなどの車体検査を行い、最終確認をパスすると正式に契約完了となる。車両が広島本社に入庫してすぐに受け入れ検査を実施。重量、アライメントなどを確認し、そのまま継続して使える部品の状態もしっかりと診断していく。
車両確認後はひとつひとつ丁寧に手作業で車両をバラしていく。また塗装工程では外板の古い塗膜を剥離し、新しく塗装を施す。塗装はマツダのショーカーも手掛ける職人が塗り上げ、かつての輝きを取り戻してくれる。そして組み立て作業と最終検査。新品の純正部品や、修理された部品を取り付け、最後に製品図面や規格と照合する。外観スキ検査、機能部品検査、アライメント調整水漏れ検査など厳しいチェックを行い、新しく生まれ変わったロードスターは、ようやくユーザーのもとへ帰ることができる。
納車も広島か横浜のどちらかを選べ、引き渡しの際は納車式を行うとともに、レストアフォトブックとテュフラインランドジャパンの世界初のクラシックカーガレージ認証査証が贈呈される。フォトブックは、検査記録や作業途中の様子、愛車のレストアビフォーアフター写真が収められており、世界にたった1つのマイカーアルバムだ。
さらに、希望者には作業状況を見学できるサービスもあり、工場内見学用のバスで作業員に案内してもらえる。愛車がきれいに蘇っていく姿は、感慨深いものがあるに違いない。なお、対象となる車両は、型式がNA6の車両でグレードは標準車、スペシャルパッケージ、Vスペシャル、Jリミテッド、ボディカラーは純正の全7色が対象となる。
また、受付可能車両は、ナンバー付きの無事故車で、フレームに修復歴やサイドシルやボディに錆が発生している場合、また車体パネル交換を要する車両は受付不可なので注意が必要。カスタマイズパーツを装着した車両も場合によっては受付できないとのことなので、心配な人は事前に確認するといいだろう。
長年大切にしてきた相棒を、生き生きとした姿に蘇らせる、安心かつ高品質なレストアサービス。今後も対象となるモデルや部品は増えていくとのことで、さらなるサービス向上に期待したい。
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