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英伊独のお国柄 ジャガーMk2 アルファ・ロメオ1300 TI BMW 1800 サルーン比較 後編

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英伊独のお国柄 ジャガーMk2 アルファ・ロメオ1300 TI BMW 1800 サルーン比較 後編

抑制的なスタイリングのBMW 1800

ジャガーMk2 2.4とアルファ・ロメオ・ジュリア 1300 TIは、当時の英国とイタリアの自動車産業を鏡のように映し出している。お国柄が良く見えるが、それはBMWのノイエクラッセにも通じる。今回は、1963年に追加された1800にご登場願った。

【画像】ジャガーMk2 2.4 アルファ・ジュリア 1300 TI BMW 1800 現代の相当モデルも 全99枚

ボディやインテリアのデザインは、その典型だろう。アルファ・ロメオのように、BMWも1960年代初頭のトレンドを取り入れている。しかし、そのスタイリングはずっと抑制的だ。

随所のクロームメッキが華やかさを加えているものの、ボディは基本的に直線基調。質実剛健なドイツ的思考の現れといえる。

この四角い形状のおかげで、車内は3台のなかで1番広々。全幅が1710mmと広いだけに、Mk2より横方向にはゆとりがあり、四角いグラスエリアによって明るく開放的。頭上空間や前後の広さにも不足はない。

高身長の大人がゆったり長距離移動するなら、リアシート側が良いだろう。荷室も大きい。Mk2 2.4より300kgも軽いにもかかわらず、見事なパッケージングを実現させていることに唸らされる。作りもソリッドだ。

実用性だけでなく、居心地も良い。ジャガーのように贅沢な装飾はなくても、スタイリッシュで細部にまでこだわった造形が与えられている。ステアリングホイールだけでなく、ドアハンドルにも思わず触れたくなる。

アームレストの下側には、金属加工されたクロームメッキの装飾が付く。コスト削減一辺倒ではない、生産技術の高さを感じさせる。

スペック以上にパワフルで印象的な味わい

ボディにも、そんなコダワリが散りばめられている。テールライトのラインと調和された、燃料の給油口しかり。不意にボディサイドへ切られた処理とは異なり、鑑賞に耐えるディティールへ昇華してある。さすがバウハウスのあった国だ。

ステアリングホイールを握ると、ミュンヘンらしい能力を宿していることも見えてくる。見た目は四角いサルーンでも、思い切りテールを流して楽しめる。

操舵感や姿勢制御は、ジュリア 1300 TIのようにドライバーの気持ちを刺激するほどではない。それでも、1773ccの直列4気筒SOHCエンジンの実力を発揮させるのに、不足ないシャシーといえる。

2台のDOHCエンジンと比較すればエキゾチックといえないものの、このM10型は1962年のノイエクラッセ、1500で初導入されたもの。当時のBMWの最新ユニットだった。スペック以上にパワフルで、印象的な味わいを有する。

サウンドもアルファ・ロメオほど堪能できるものではないが、回転域を問わずたくましい。扱いやすく運転しやすい。

1800で少し残念なのがトランスミッション。記憶の中のBMWは、もう少し優れたシフトフィールを備えていたはずだから、恐らくブッシュ類の寿命なのだろう。E30型のBMW M3より、フォルクスワーゲン・ビートルに近かった。

シフトレバーの動きが曖昧でゲートを辿りにくく、ストロークも長い。レバーが傾きすぎて、2速ではシートに当たっていた。

当時の万能選手として感心のノイエクラッセ

ノイエクラッセのメーターは、BMWの定番といえるブラックの盤面にホワイトの文字という、モノトーンではない。デコラティブで、アメリカンな雰囲気すらある。1960年代のBMWは、まだ自らのブランドのアイデンティティの形成期にあった。

ジャガーMk2 2.4の優雅なスタイリングは、クラシックカーとしての現代の賛辞に大きな影響を与えている。美しく存在感の溢れる容姿に上級な内装が施され、同時期の1300 TIや1800を圧倒する風情がある。

BMW 1800とアルファ・ロメオ・ジュリア 1300 TIの見た目は若々しい。その印象のとおり、実際の走りも軽快でモダンさを漂わせる。

高速道路での長距離移動を得意としたジャガー。その能力と引き換えに、日常的な市街地での取り扱いには多少の犠牲があった。他方のBMWとアルファ・ロメオは、高速道路が苦手というわけでもなく、妥協は少ないといえる。

軽快に吹け上がるエンジンと、心地いいシフトフィールを備えた、105シリーズの1300 TIはスポーティで好ましい。しかし、当時の万能選手として最も感心させられたのはBMWだ。

同じくらい運転を楽しめつつ、洗練され、車内は広々。メカニズムはシンプルで、メンテナンスも難しくない。現代の3シリーズや5シリーズが、セグメントのベンチマーク的存在へ進化したことにも納得の、クラシック・サルーンといえるだろう。

協力:ヴィンテージ・モータース社、ウィリアム・クラッパートン氏、マイク・レッドメン氏

ジャガーMk2とアルファ・ロメオ1300 TI、BMW 1800のスペック

ジャガーMk2 2.4(1959~1967年/英国仕様)のスペック

英国価格:1342ポンド(1967年時)/2万ポンド(約330万円)以下(現在)
販売台数:2万5173台
全長:4597mm
全幅:1695mm
全高:1460mm
最高速度:154km/h
0-97km/h加速:17.3秒
燃費:6.4-9.9km/L
CO2排出量:−
車両重量:1406kg
パワートレイン:直列6気筒2483cc自然吸気DOHC
使用燃料:ガソリン
最高出力:121ps/5750rpm
最大トルク:19.8kg-m/2000rpm
ギアボックス:4速マニュアル

アルファ・ロメオ・ジュリア 1300 TI (1964~1972年/英国仕様)のスペック

英国価格:1321ポンド(1967年時)/2万5000ポンド(約412万円)以下(現在)
販売台数:約20万台
全長:4140mm
全幅:1560mm
全高:1430mm
最高速度:159km/h
0-97km/h加速:13.3秒
燃費:8.9-12.4km/L
CO2排出量:−
車両重量:980kg
パワートレイン:直列4気筒1290cc自然吸気DOHC
使用燃料:ガソリン
最高出力:86ps/6000rpm
最大トルク:10.6kg-m/4900rpm
ギアボックス:5速マニュアル

BMW 1800(1963~1972年/英国仕様)のスペック

英国価格:1498ポンド(1967年時)/2万ポンド(約330万円)以下(現在)
販売台数:13万4814台
全長:4546mm
全幅:1710mm
全高:1448mm
最高速度:161km/h
0-97km/h加速:13.7秒
燃費:8.9-12.4km/L
CO2排出量:−
車両重量:1098kg
パワートレイン:直列4気筒1773cc自然吸気SOHC
使用燃料:ガソリン
最高出力:91ps/5250rpm
最大トルク:14.6kg-m/3000rpm
ギアボックス:4速マニュアル

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