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シェフラー試乗レポート 驚愕の連続!最新の48Vマイルドハイブリッド・システムに試乗

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シェフラー試乗レポート 驚愕の連続!最新の48Vマイルドハイブリッド・システムに試乗

シェフラーは東京モーターショーで、最新の48Vマイルドハイブリッド・システムを出展したが、これに先立つ10月13日に、これらの最新システムを搭載したクルマのメディア向け試乗会が行なわれた。<レポート:松本晴比古/Haruhiko Matsumoto>

シェフラーが本国から日本に持ち込んだのは、GTC(ガソリン・テクノロジーカー)2と、「高性能48Vコンセプトカー」、そしてアクティブロール制御を行なう電気機械式の可変スタビライザーを標準装備するBMW 7シリーズだった。いずれもドイツで登録された車両のためテストコースでの試乗となったが、48Vマイルドハイブリッドの最新テクノロジーを実感できた。

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■新たな技術トレンド、48Vマイルドハイブリッド

48Vマイルドハイブリッド・システムは、ヨーロッパの自動車メーカー、大手サプライヤーが推進しているハイブリッド・システムで、低電圧ハイブリッドとも呼ばれる。日本だけは駆動専用のモーターを使用するストロング・ハイブリッド(高電圧)が主流になっているが、48Vシステムは既存のプラットフォームを使用してより低コストで幅広い車種に展開できることや、12Vのマイルドハイブリッドより効率が高く、モーターアシスト力も大きいというメリットを追求したシステムだ。

つまり、幅広い車種で低コストと燃費低減効果を両立させるポテンシャルを持つシステムとして、48Vマイルドハイブリッド・システムは認識され、ヨーロッパ、中国でのクルマの電動化の柱のひとつと位置付けられている。そのため、大手サプライヤーは48Vマイルドハイブリッド・システムを開発し、自動車メーカーにアピールしている。

シェフラーもいち早く48Vマイルドハイブリッドを提唱し、WLTC燃費モードで15%の燃費(CO2)削減を達成することができるとしている。

この48Vマイルドハイブリッドは、現在のところはヨーロッパの高級車の採用にとどまっているが、2018年後半から続々採用が拡大する予定で、中国市場でも2019年頃から普及が始まると予想されている。

■GTC2のシステム

今回の試乗のまず最初はGTC2と呼ばれるフォード・フィエスタをベースにした48Vマイルドハイブリッド車だ。実は2年前には同じフィエスタをベースにしたGTCと呼ばれるプロトタイプの試乗会が行なわれているが、それを進化させたのが今回のGTC2だ。

2年前のGTCでは、48Vのスターター/ジェネレーターがクランクプーリーとベルト結合されたタイプで、最もシンプルなマイルドハイブリッド・システム(P0配置)であった。もちろんこの形式でも、駆動アシスト、減速時の回生は可能だ。

そして、GTC2はエンジンとランスミッションの間のスペースに、モーター/ジェネレーターと2個のクラッチを配置している。モーター/ジェネレーター(エレクトリック・マシンと呼ぶ)とクラッチ部を直列にレイアウトするとスペースを要するため、上下にレイアウトし、双方をベルト駆動とすることで、エンジンとトランスミッションの間の約50mmのスペースに納めることができる。このため、既存の横置きエンジンのFF車にも搭載ができることになる。

またエンジンとモーター、モーターとトランスミッションの間にそれぞれクラッチを配置することで、走行中のエンジン停止を簡単にでき、コースティング(無動力)走行を多用することが可能になり、これによって従来のGTCより実燃費を向上させることができるのだ。

なおGTC2はGTCと同様にマニュアル・トランスミッションが採用されているので、クラッチの作動はCBW(クラッチbyワイヤー)で、走行中は状況に応じて自動的にクラッチが作動するため、ドライバーはギヤチェンジだけに専念できる。こうしたMTと実走行でのコースティングを重視するのはいかにもヨーロッパ発のシステムだと感じる。

■試乗レポート

実際に走ってみると、クラッチbyワイヤーのため、かなり乱暴にクラッチを繋いでも滑らかに走行する。また、クラッチを踏まない状態でのギヤチェンジもできるが、やはりドライバーとしてはクラッチ付きのクルマなので無意識にクラッチ操作をしてしまうが、いずれにしても滑らかで自然なフィーリングだ。

48Vモーターの効果も十分に力強い。静かに発進するとモーターのみでスルスルと走り出す。また走行中にアクセルを強めに踏み込むとエンジン駆動にプラスしてモーターの駆動アシストが行なわれ、気持ち良い加速が味わえる。このモーターはバッテリーの電力がある限り20ps(フル充電状態から約15秒間)のアシストが加わるので、その効果は結構大きいのだ。

その一方で、巡航状態になりアクセルを緩めると、瞬時にコースティング状態になる。エンジンはストップし、2個のクラッチが自動的に切れて無動力での走行になる。当然これは燃費向上に直結するし、モード燃費だけではなく実走行での燃費向上にも効果を発揮できる。

GTC2はMT車だが、クラッチbyワイヤーにより誰が乗っても滑らかに走らせることができ、エレクトリック・マシン(モーター)による駆動アシストも思っているより効果が大きいこと、コースティングによる燃費低減効果も大きいことが理解できた。

このGTC2は2年前のGTCより遥かに洗練、熟成され、今すぐにでも市販できるレベルに仕上がっていると感じられた。

■日本初登場の高性能48Vコンセプトカー

日本初登場となるのが、この「高性能48Vコンセプトカー」だ。ベース車両はアウディTTクーペで、搭載されているエンジンは2.0Lの直噴ターボ。出力は210ps/350Nmを発生する。

このFFモデルのリヤアクスルに48Vの駆動ユニットを搭載したシステムで、この電動リヤアクスルにより電動4WDとして機能する。このリヤ駆動ユニットは20kW(27ps)/70Nmを発生し、さらに2速の減速ギヤを装備している。

さらにエンジン部にはベルト駆動式のモーター/ジェネレーターを装備。このフロントのモーター/ジェネレーターは、スターター、減速回生、駆動アシストを担当する。また出力は12kW(16ps)/45Nmとなっている。

つまりこのコンセプトカーは2組の48Vハイブリッドシステムを搭載していることになる。そのため加速時には、フロントのモーターとリヤ・アクスルのモーターによるダブルのアシストが加わる。

もちろん減速回生も2ヶ所で行なわれ、さらにリヤ・アクスルはモーターを使用した駆動トルクベクタリング、低負荷の巡航時にアクセルを緩めるとリヤのアクスルによるセーリング走行もできる。つまり、エンジンは停止し、リヤの駆動抵抗分をキャンセルすためにわずかな駆動トルクを発生させることで、事実上の無動力のコースティング走行になるということだ。

そのため実際に乗ってみると確かに「高性能48Vコンセプトカー」であることが実感できる。もともとパワフルなエンジンを搭載している上に、モーターの40psを超えるモーターアシストが加わり、その加速力はスポーツカーとしての魅力を高める。

また、この48Vハイブリッドはエコ、スポーツの2モードを持ち、エコでは極力モーターで走行し、その結果エンジンの使用が抑えられ、そしてアクセルを緩めるとセーリング走行が多用される。このようにスポーティで力強い走りと、エンジンを停止させEV走行やセーリング走行を重視した低燃費の走りを両立させた48Vハイブリッドというわけだ。

しかし、もっと驚きなのはリヤのモーターを使用したトルクベクタリングの効果で、アクセルを踏んで、あるいはアクセル・オフでの旋回性が驚くほど向上する。試乗した時は強い雨が降っていたが、ステアリング操作に対して横滑りも発生せずにグイッと曲がるフィーリングは、駆動トルクベクタリング効果の大きさを実感できた。

このように48Vマイルドハイブリッドがエコ運転だけではなく、ダイナミック性能を向上させることに使用できるという点は新鮮だった。

■エレクトロメカニカル・アクティブ・ロール制御(eARC)

3番目の試乗は、エレクトロメカニカル・アクティブ・ロール制御を行なう可変スタビライザーを装備したBMW 740iだ。この市販モデルは、シェフラーが開発した12Vの電気機械式アクティブ・ロール制御(eARC)を標準で搭載している。

モーターと機械的な減速を行なう遊星ギヤを組み合わせた「eARC」は、連続可変スタビライザーだが、前後に装備することで、運転状態に合わせてロール制御や乗り心地制御を行なう。

ちなみにこのシステムは12V仕様と48V仕様があり、アウディQ7、ポルシェ・パナメーラなどは48V仕様を装備しているが、今回試乗したBMW 740iは12V仕様だった。

走行状況に合わせ、前後のロールを制御し、結果的に4輪の接地荷重を最適にコントロールすることで、コーナーでのロールを抑えフラットな乗り心地にしたり、滑りやすい路面では4輪に最大の接地荷重がかかるようにスタビライザーをソフトに制御するように作動させる。

またこのシステムを採用しているため、サスペンションのスプリングは、一般的な設定よりソフトにすることができ、そのため乗り心地の向上にも役立つわけだ。

実際に乗ってみると、確かにソフトな乗り心地にも関わらず、大きくステアリングを切っても車体はフラットで、予想されるロールが発生しないことに驚かされる。当然ながら前後それぞれが独立制御され、アクセル・オン、アクセル・オフの状態でもロールだけでなくピッチ方向の動きも抑えられていることが感じられる。

今回は路面がフラットなテストコースを走行したが、路面の状態が多様な一般路では乗り心地の向上効果もかなり大きいだろうと推測できた。

もちろんスタビライザーには大きなねじり力が求められるが、最高で1200Nmまでの荷重に適合でき、モーターと減速ギヤにより瞬時に作動できるという。ただ、4輪の接地荷重を自在にコントロールするために、前後のスタビライザーが最適な作動をするようにするためには、アクティブ・サスペンションと同じようなレベルのコンピュータ・シミュレーションと実際の走行による気が遠くなるようなチューニングが行なわれているのだろうと感じられた。

このシステムは、現状ではコスト的に考えてプレミアムカー・クラス向けに限定されるが、その効果の大きさには驚きという他はなかった。

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