「アウディはeモビリティとカーボンニュートラルな生産に戦略的な重点を置いて、正しい方向に歩みを進めています」(アウディAG マルクス・ドゥスマン取締役会会長)
アウディAG マルクス・ドゥスマン取締役会会長アウディグループは2022年上半期の業績を発表し、継続的な半導体危機と、中国における新型コロナウイルス感染症関連のロックダウンにより、アウディは主力車種に対する高い需要に応えられなかったとしている。しかしながら、このような状況にもかかわらずアウディグループの売上高は前年同期比2%増となる299億ユーロ(約4兆470億円)に達し、営業利益は過去最高の49億ユーロ(約6640億円)を記録。営業利益率は前年を大きく上回る16.5%となり、戦略的目標の9~11%の範囲を超えている。大きな利益を生んだ要因として、良好な価格ポジション、ランボルギーニおよびベントレーの堅調な業績、原材料ヘッジ取引のプラス影響などが考えられる。アウディグループは、2022年度における販売台数、売上高、利益の予測を現状通りに維持していると発表している。
このたびの発表に際して、アウディAGのマルクス・ドゥスマン取締役会会長はこのように述べている。
「2022年上半期の財務実績は、アウディグループが、いかに力強く、高い収益力を備えているのかを示しています。厳しい経済的および地政学的環境にもかかわらず、売上高と利益を大幅に増やすことができました。同時に、世界の現在の状況は、経済と社会が化石燃料から一刻も早く決別する必要があることを明確に示しています。再生可能エネルギーの拡大とeモビリティへの移行は、そのための重要なステップです。このような理由により、アウディはeモビリティとカーボンニュートラルな生産に戦略的な重点を置いて、正しい方向に歩みを進めています」
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電気自動車とラグジュアリーブランドの販売台数が大幅に増加
写真左からドゥカティ・モーター・ホールディングS.p.A.のクラウディオ・ドメニカリCEO、アウトモビリ・ランボルギーニS.p.A.のステファン・ヴィンケルマンCEO、ベントレー・モーターズLtd.のエイドリアン・ホールマークCEO、アウディAGのマルクス・ドゥスマン取締役会会長厳しい供給状況のなか、アウディグループは2022年1月~6月に79万7587台(2021年は98万6567台)の車両を販売した。アウディの販売台数は、2021年上半期の記録的な販売台数に対して20%減となる78万5099台(2021年は98万1681台)となった。継続的な半導体危機と中国における新型コロナウイルス感染症関連のロックダウンにもかかわらず、需要は引き続き堅調だった。
ドゥカティは3万3265台(2021年は3万4515台)のモーターサイクルを販売。前年同期と比較して3.6%の減少は、半導体不足による影響を反映している。ランボルギーニは、前年同期比4.9%増となる5090台(2021年は4852台)を販売し、アウディグループの最新メンバーである英国のベントレーは7398台(2021年は7199台)※の車両を販売した。
※ベントレーの結果はアウディグループ前年度業績に含まれていない。
アウディは引き続き電動化戦略を推進
アウディは、前年同期比52.7%増となる5万33台(2021年は3万2775台)の電気自動車を販売した。Audi e-tronは引き続き好調な販売を維持しており、最も高い成長を記録したのはAudi Q4 e-tronだった。これにより、アウディグループの販売台数に占める電気自動車の割合は6.3%に増加した。
アウディQ4 e-tronアウディAGでセールスおよびマーケティングを担当するヒルデガルト・ヴォートマン取締役は、次のように述べている。
「Audi charging hub(アウディ チャージング ハブ)の展開の成功により、アウディは都市部における迅速かつ簡単な電気自動車の充電方法の解決策を示しました。ニュルンベルクの実証実験施設の立ち上げに関するお客様からのフィードバックは非常に好意的で、2022年内にはザルツブルクや他の場所にもAudi charging hubが設置される予定です」
2023年以降には、都市部における充電需要の増加に対応するため、ドイツの大都市に3つの拠点が新たに設置される。さらに2024年半ばまでに、ドイツの都市にさらに多くのサイトを開設することが計画されている。電動化戦略のもうひとつの重要なトピックは、中国・長春拠点に建設される、電気自動車モデルのスマートファクトリーの起工式が6月末に行われたこと。この工場は2024年末に完成する予定で、PPE(プレミアム プラットフォーム エレクトリック)をベースとするモデルが、持続可能かつデジタル接続された方法により、中国市場向けに生産される。150ヘクタールの工場の年間生産能力は15万台以上に達する見込みだ。
売上高が増加
2022年上半期、アウディグループは298億6900万ユーロ(2021年は292億1200万ユーロ)の売上高を計上した。販売台数が減少したにもかかわらず、アウディグループは売上高を2%増加させている。この成長はおもに、ラグジュアリーブランドのベントレーが、2022年1月1日からグループに統合されたことによるもの。グループは、魅力的なモデルラインナップの高い需要により、その優れた価格ポジションをさらに改善することに成功した。2022年上半期、EUタクソノミーに準拠した売上高は、アウディグループの総売上高の12.3%に増加した。このようにアウディは、すべての企業および製品の意思決定プロセスにおいて、Vorsprung 2030戦略に基づくESG持続可能性基準の重要性を強調している。
戦略的目標を大幅に上回る営業利益を達成
2022年上半期、アウディグループは前年同期比58.5%増となる、過去最高の49億3300万ユーロ(2021年は31億1300万ユーロ)の営業利益を計上。営業利益率は16.5%(2021年は10.7%)に上昇した。この営業利益には、ランボルギーニ、ベントレー、ドゥカティの各ブランドの良好な価格ポジションと力強い業績に加え、合計4億ユーロの原材料ヘッジ取引によるプラスの効果が含まれている。第1四半期の大きなプラス効果(12億ユーロ)と比較すると、影響は大幅に縮小している。
アウディAG ユルゲン・リッテルスベルガー財務・法務担当取締役アウディAGで財務および法務を担当するユルゲン・リッテルスベルガー取締役は、次のように述べている。
「2022年上半期の営業利益と営業利益率の大幅な増加は、戦略的に定義された9~11%の目標範囲をはるかに上回るものです。これは、アウディが世界的に不安定な状況に適切に対処して、体系的にチャンスを掴んだことを示しています」
ランボルギーニ、ベントレー、ドゥカティの力強い業績
ランボルギーニは2022年上半期に、前年同期比30.6%増となる13億3200万ユーロ(2021年は10億2000万ユーロ)の売上高を達成した。営業利益は69.3%増の4億2500万ユーロ(2021年:は2億5100万ユーロ)、営業利益率は31.9%(2021年は24.6%)だった。
ベントレーは17億700万ユーロ(2021年は13億2400万ユーロ)の売上高を達成し、営業利益は過去最高の3億9800万ユーロ(2021年は1億7800万ユーロ)を記録。営業利益率は23.3%(2021年は13.4%)だった※。
※ベントレーの結果はアウディグループ前年度業績に含まれていない。
ドゥカティは販売台数が減少したが、力強い価格ポジションにより減少分を相殺することにより、売上高は前年同期比5.4%増の5億4200万ユーロ(2021年は5億1400万ユーロ)、営業利益は6800万ユーロ(2021年は5900万ユーロ)、営業利益率は12.6%(2021年は11.5%)だった。
営業外収益およびネットキャッシュフロー
2022年上半期の営業外収益は7億5400万ユーロ(2021年は7億6200万ユーロ)だった。この結果には、中国の事業からの4億3100万ユーロ(2021年は5億6500万ユーロ)の利益が含まれている。利益は前年同期から減少したわけだが、この減少には、新型コロナウイルス感染症関連により第2四半期に中国で実施されたロックダウンの影響が反映されている。税引後利益は、前年比29.6%増となる43億9000万ユーロ(2021年は33億8600万ユーロ)となった。
2022年上半期のネットキャッシュフローは、非常に高い数値を示していた前年同期から正常化され、25億9300万ユーロ(2021年は55億1200万ユーロ)となった。これは、とくに中国での新型コロナウイルス感染症関連によるロックダウン、および半導体不足によるロジスティクスとサプライチェーンの混乱によって引き起こされた在庫の増加によるものだ。さらに、中国・長春を拠点とするAudi FAW NEV Companyの新しい生産拠点への投資や、フォルクスワーゲングループ内における株式の譲渡により、ネットキャッシュフローが減少した。
様々な困難にもかかわらず、販売台数、売上高、営業利益率の予測を維持
アウディグループの予測には、ウクライナでの戦争、継続的な半導体危機、上半期における中国での新型コロナウイルス感染症関連によるロックダウンといった、現在予測可能な短期的影響が含まれている。しかし、地政学的状況および天然ガスの供給不足が世界経済におよぼす影響を含め、その他の影響を確実に予測することは困難だ。
アウディグループは、2022年通年で180万~190万台の車両の販売と、620億~650億ユーロの売上高を見込んでいる。営業利益率は、9~11%の範囲、ネットキャッシュフローは45~55億ユーロの範囲になるとの予想だ。設備投資比率は4~5%を見込んでいる。今後は未来のテクノロジーに対する先行投資が増加するため、研究開発費の割合は、6~7%の範囲をわずかに上回ると予想している。
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みんなのコメント
レースでも結果出してきただけあって完成度も高い
裕福な国では上のグレーがかなり出てるよね
EVに至ってはGTなんて秀逸の完成度だなと