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【動画付き】ポルシェのDNAがしっかり注入されたEVスポーツセダン「Taycan Turbo S」

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【動画付き】ポルシェのDNAがしっかり注入されたEVスポーツセダン「Taycan Turbo S」

連載/石川真禧照のラグジュアリーカーワールド

 EV(電気自動車)というと、連続走行距離が短めで、車両もコミューター的なイメージが強かった。それを覆したのが米国のテスラだ。大型のボディーに大量の電池を積み、高性能だが高価格というEVの高級車を造り販売した。これが北米だけでなく、中国市場でも成功を収めたことで、欧州などの自動車メーカーも追従を決定、開発に着手した。当時「リーフ」を発売していた日産の幹部も、そういう選択肢もあったのか、と語っていたのをよく覚えている。

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 一方で、ドイツのスポーツカーメーカー・ポルシェは2018年には初の電動スポーツカーを「タイカン」と命名したことを公表した。2020年に日本で販売を開始した「タイカン」は以前から存在していた同社のファストバック5ドアセダンの「パナメーラ」よりやや小ぶりのリアゲート付きの5ドアセダンだ。



 グレードは3種類。「タイカン4S/ターボ/ターボS」。いずれもフル電動の4WDモデルだ。パワーユニットは、電気モーターを前後に2基備えている。出力はベースモデルの「4S」が電池容量79.2kWh、他の2グレードは93.4kWhを搭載している。車両価格は「4S」が1448万1000円、「ターボ」が2023万1000円、「ターボS」が2454万1000円(いずれも消費税込)という設定だ。

 今回は「4S」と「ターボS」に試乗したのでインプレッションをお届けしたい。まず、試乗車のスペックを見てわかったのが、ベースモデルの「4S」には「パフォーマンスバッテリープラス」がオプションとして搭載されていた。これは約100万円のオプションだが、電池容量が「ターボ」や「ターボS」と同じ93.4kWhにアップする。装備の違いはあるものの、上級グレードと同じパワーとトルクが約100万円で手に入るのだ。こういったチューニングが、EVだと簡単にできるという面白さがある。

 それにしても大容量電池を搭載したEVの動力性能はすさまじいものがある。先陣を切ったテスラが0→100km/hの加速を3秒台というフェラーリなど世界のスーパースポーツカーがようやく到達した領域をあっさりと手に入れてしまったのだ。

もちろん「タイカン」も0→100km/hの加速は2~3秒台。これが誰が運転しても、アクセルペダルを踏み込めば簡単に出せてしまうから凄い。ちなみに今回、手持ちのストップウォッチでも3秒台を計測した。その時の加速は本当に頭の中の血がサーッと後ろに引いて行くような感じだった。助手席の人が気を失いそうになる、というのも大げさな表現ではないかもしれない。こうなると、一般のドライバーは視界が車速についていくことができないかもしれない、それほどまでに強烈なのだ。

 93.4kWhの電池は、82%充電された状態で、走行可能距離は328kmと表示されていたので、フル充電なら400kmは走行可能かもしれない。カタログ上では「4S」はWLTPモードの航続距離は463kmとなっているので400kmというのは現実的な数値である。ただし、充電に関していうと、家庭用200Vだと24時間以上かかってフル充電というくらいに電力を消費することを想定しておきたい。

 EVとはいえ、ポルシェはポルシェ。ドアを開けて、運転席に座ると目の前に広がるメーターなどのデザインは「911」から受け継がれた雰囲気そのままだ。ただし、5連の丸型メーターは、アナログではなくデジタル式で、中央の大径メーターはエンジン回転計ではなく、電池の状態を表す充電メーターとなっている。



 インパネ中央やコンソール上部のスクリーンもすべてタッチ式で、助手席の前にもオプションで10.9インチのディスプレイを設置することが可能だ。このタッチディスプレイだが、個人的には操作するのに視線を移さなければならないことと、誤操作しやすいことが気になった。最終的には、ボイスコントロールになるような気がするので、その前段階なのかもしれない。

 いざ、運転してみると「911」や「718」などのスポーツカーのようにフロントフェンダーの峰が見える。約2mある車幅もつかみやすい。「タイカン」を走らせるには多くの走行モードやシャーシモード、アクセレーターなどを選択しなければならないのが、他のポルシェ車とは異なるところ。



 気になる走りだが、全体に下回りの重さを感じた。ハンドルは常に重めの操舵力。乗り心地もややソリッドな硬さだ。4ドアサルーンというより、スポーツカーを操っている気持ちにさせられる。EVを造ってもポルシェのアイデンティティーをきちんと受け継いでいる。

 室内は、後席はやや低めの着座位置で足元も狭くはない。目の前には前方のハイバックの背もたれがそびえ立っているが、圧迫感はなく、頭上も身長170cmまでならOK。荷室スペースもフロントボンネット下と後部の2か所に設けられているので、実用性も高い。とはいうものの、93.4kWhの電池容量だと、電気代もかなりかかる。



懐に余裕のあるエグゼクティブのサードカーとして、ガレージに置いておくという使い方もあるのかもしれない。

■関連情報
https://www.porsche.com/japan/jp/models/taycan/taycan-models/taycan/

文/石川真禧照 撮影/萩原文博 動画/吉田海夕

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