現在位置: carview! > ニュース > ニューモデル > 【最新イタリア車紹介】本籍はサーキット也! フェラーリSF90XXが提示するトラックスポーツの新世界

ここから本文です

【最新イタリア車紹介】本籍はサーキット也! フェラーリSF90XXが提示するトラックスポーツの新世界

掲載 更新
【最新イタリア車紹介】本籍はサーキット也! フェラーリSF90XXが提示するトラックスポーツの新世界

特別プログラム「XX」を継承したサーキット用ロードカー

 マラネッロ=フェラーリのロードカーラインアップに新たなコンセプトを掲げた限定シリーズが誕生した。SF90XXスパイダー&ストラダーレは「XX」の名を冠した初のロードカーである。

フェラーリが公道走行可能な初の「XXモデル」となる「SF90 XX ストラダーレ」と「SF90 XX スパイダー」を発表

 フェラーリのカスタマーにとって「XX」というネーミングには特別な意味がある。それはXXプログラムを指しているからだ。XXプログラムとは、マラネッロの超VIPカスタマーを対象にしたスペシャルな取り組み。トラック(=サーキット)専用のXXマシンを販売し、ユーザーによるサーキット走行を通じて数々のドライビングデータを収集、その後の車両開発に活用するプログラムである。
 腕に覚えのあるユーザーのドライビング体験が、次世代「跳ね馬」ロードカーの参考データとして扱われるわけで、ユーザーにとってこれ以上の喜びはない。

 そもそも跳ね馬でピュアなドライビングファンを堪能できるというだけも至福の至り。しかもXXマシンはエンツォ・フェラーリやラ・フェラーリといった12気筒マシンをトラック専用に仕込んだこだわりの限定品(30台前後)。F1クリエンティやチャレンジ・シリーズと並ぶ、跳ね馬ファン憧れの頂点である。

 そんなXXマシンの性能をロードカーで表現してみよう。それが今回のコンセプトである。従来の限定モデルとどう異なるのか。たとえば488ピスタや812コンペティツィオーネといったモデルは、トラック志向が強いとはいうもののあくまでもロードカーの範疇だ。エンツォ・フェラーリやラ・フェラーリといった頂上シリーズもまたロードカーの最高峰でしかない。

 それに引き換えXXマシンといえば、スーパースポーツをベースとしたトラック専用仕立て。純粋なレーシングカーではないけれど、ジェントルマンドライバーが思う存分そのパフォーマンスを引き出せ、サーキットで楽しめるように設計されている。今回は、そのコンセプトを電動パワートレーンを採用し次世代の高性能を表現したSF90シリーズに適応。より多くの人に楽しんでもらえるようにと、限定生産ながらロードカーとして販売する、というプロジェクトだ。

 限定台数はストラダーレ(クーペ)799台(欧州価格77万ユーロ)、スパイダー599台(同84万ユーロ)で、すでに完売。なお、あくまでもロードカーなので、残念ながらXXプログラムには参加できない。とはいえ台数が多くなれば「遊びたい」オーナーが増えそうだ。XXプログラムより軽めのSF90XX専用プログラムがあってもいいと思う。

XXは攻撃的なオーラを全身から発散。刺激的なサウンドでもドライバーを魅了する

 新型モデル発表の舞台はフィオラノ・テストトラックの脇に立つASGT、コルセ・クリエンティの本拠地で、顧客のF1マシンやXXマシンが保管・整備される場所だ。またF1マシン以外のレーシングカーの開発拠点でもある。ル・マンで勝った499SPもここで磨かれた。

 実車を間近に観察する。ベースのSF90とはまるで違う、はっきりと攻撃的なオーラを放っている。リアに巨大な固定式ウイングを備えているのが最大の特徴。マラネッロ製ロードカーがこれほど大型のリアウイングを装備するのは1995年にデビューしたF50以来だ。それ以降は決して大袈裟なウィングに頼らずに必要十二分な空力性能を確保してきた。だがSF90XXは違う。大型ウイングでなければ得られない空力性能、とくにダウンフォースを得たかったのだろう。フロントの特徴的なボックス型Sダクトや、ベースモデルの面影などまるでないロングテール仕様のリア、巨大なディフューザーなど、エアロダイナミクスは徹底的に練り込まれ、250km/h時に最大530kgものダウンフォースを得る。

 SF90はベースモデルですでに1000psを誇るスーパースポーツである。しかもPHEVだから少し重め。そんなマシンの実力をジェントルマンドライバーがすべて引き出せるように空力やシャシー制御、ブレーキを徹底的に鍛え上げた。それがこのXXの価値だ。スペックだけを見れば+30ps(エンジンで+17ps、モーターで+13ps)、軽量化も10kgに止まっており、「特別なモデル」としては物足りなく思うかもしれない。けれどもよく考えてほしい。そもそもSF90自体が「もうこれ以上いらない」というほどにパワーが引き上げられ、ギリギリまでダイエットを尽くしたモデルだったのだ。

 パワートレーンのシステム構成そのものは標準車と同じ。けれども細部に至るまで手を加えており、たとえば8速DCTの制御ロジックや吸気プレナムチューブ及びレゾネーターの配置はV8のエンジンサウンドをより楽しめるよう再設計されている。サウンドもまたXXモデルの楽しみのひとつだ。また、F1由来のパワーブーストはその効果だけでフィオラノのラップタイムを0.25秒縮めるという。ABSエヴォコントローラーは制動性能を別次元に引き上げた。
 というわけで、そこまでいわれると気になるのがSF90XXのフィオラノ・ラップタイムだ。タイム計測は今年の後半、メディア向けテストドライブ中に予定されているという。

 おそらく、このクルマの真の価値はいままで以上に「乗ってみなきゃわからない」。そもそも1000psのSF90ベースというだけで、スペックでの想像を超越する。フィオラノで試す日が楽しみでならない。

フェラーリSF90XX主要諸元

グレード=SF90XXストラダーレ
価格=7DCT 77万ユーロ(限定799台)
全長×全幅×全高=4850×2014×1225mm
ホイールベース=2650mm
乾燥重量=1560kg
エンジン=3990cc・V8DOHC32Vツインターボ
エンジン最高出力=586kW(797cv)/7900rpm
エンジン最大トルク=804Nm/6250rpm
モーター最高出力=171kW(233cv)
バッテリー容量=7.9kWh
EV航続距離=25km
サスペンション=前後ダブルウィッシュボーン
ブレーキ=前後ベンチレーテッドディスク
タイヤサイズ=フロント:255/35ZRF20/リア:315/30ZRF20
駆動方式=4WD
乗車定員=2名
0→100km/h加速=2.3秒
0→200km/h加速=6.5秒
最高速度=340km/h
※スペックは欧州仕様

こんな記事も読まれています

早期スタートに終盤遅延。雨対策で6時間超のウエットタイヤ戦をトヨタのベルが制覇/NASCAR第18戦
早期スタートに終盤遅延。雨対策で6時間超のウエットタイヤ戦をトヨタのベルが制覇/NASCAR第18戦
AUTOSPORT web
“直6”×MT設定あり! 新型「“コンパクト”クーペ」公開! 後輪駆動“継続採用”でめちゃ楽しそうな「M2」独で登場
“直6”×MT設定あり! 新型「“コンパクト”クーペ」公開! 後輪駆動“継続採用”でめちゃ楽しそうな「M2」独で登場
くるまのニュース
WRC最高峰デビューのセスク車が公開。母国ラトビアカラーのフォード・プーマ・ラリー1は初のノンハイブリッドに
WRC最高峰デビューのセスク車が公開。母国ラトビアカラーのフォード・プーマ・ラリー1は初のノンハイブリッドに
AUTOSPORT web
イース・コーポレーションが露チェルノフケーブルのデジタルケーブル2アイテムを販売開始
イース・コーポレーションが露チェルノフケーブルのデジタルケーブル2アイテムを販売開始
レスポンス
車名の由来は「セクシー」&「エレガント」! 日野「セレガ」の最新モデルが最新技術のるつぼだった
車名の由来は「セクシー」&「エレガント」! 日野「セレガ」の最新モデルが最新技術のるつぼだった
WEB CARTOP
厳選値引き実例 X氏の値引き特報
厳選値引き実例 X氏の値引き特報
グーネット
『バルセロナで速ければどこでも速い』はもう幻想? F1マシンの実力テストコースと言われた評価にドライバー疑問符
『バルセロナで速ければどこでも速い』はもう幻想? F1マシンの実力テストコースと言われた評価にドライバー疑問符
motorsport.com 日本版
40歳になっても大丈夫。フェラーリF1代表、来季加入のハミルトンに全幅の信頼「チャンピオン経験者のノウハウが、我々には重要」
40歳になっても大丈夫。フェラーリF1代表、来季加入のハミルトンに全幅の信頼「チャンピオン経験者のノウハウが、我々には重要」
motorsport.com 日本版
“鏡”タイプの「ルームミラー」は時代遅れ!? カメラで後方を映す「デジタルミラー」なぜ人気なのか? 理由と装着時の「注意点」とは
“鏡”タイプの「ルームミラー」は時代遅れ!? カメラで後方を映す「デジタルミラー」なぜ人気なのか? 理由と装着時の「注意点」とは
くるまのニュース
人気のホンダ「モンキー125」が大変身! 改造なしに名車「CB750F」風にカスタムできる!! 気になる各種パーツの出来栄えとは?
人気のホンダ「モンキー125」が大変身! 改造なしに名車「CB750F」風にカスタムできる!! 気になる各種パーツの出来栄えとは?
VAGUE
カーインテリアデザイナー団体JAIDとワールド、廃材ファッションショー「HORUMON NIGHT」を青山にて開催
カーインテリアデザイナー団体JAIDとワールド、廃材ファッションショー「HORUMON NIGHT」を青山にて開催
レスポンス
ホンダ、N-VAN e:は、仕事も趣味も”使える”盤石のEV性能 
ホンダ、N-VAN e:は、仕事も趣味も”使える”盤石のEV性能 
driver@web
レッドブルのお膝元でフェルスタッペンの連勝は続く? 角田裕毅所属のRBは復活なるか|F1オーストリアGP DAZN配信スケジュール
レッドブルのお膝元でフェルスタッペンの連勝は続く? 角田裕毅所属のRBは復活なるか|F1オーストリアGP DAZN配信スケジュール
motorsport.com 日本版
車検の更新、「2か月前」からに拡大 2025年4月から変更 国土交通省
車検の更新、「2か月前」からに拡大 2025年4月から変更 国土交通省
グーネット
[音響機材・チョイスの勘どころ]「単体サブウーファー」の細かなスペックの見極め方を解説!
[音響機材・チョイスの勘どころ]「単体サブウーファー」の細かなスペックの見極め方を解説!
レスポンス
【MotoGP】マルク・マルケス「今のMotoGPは長期キャリアが難しい」なお当人は来年13年目に突入
【MotoGP】マルク・マルケス「今のMotoGPは長期キャリアが難しい」なお当人は来年13年目に突入
motorsport.com 日本版
天候不良の中、ドライバーたちは何を訴えていた? スーパーフォーミュラ第3戦SUGO、レース当日の無線交信を振り返る
天候不良の中、ドライバーたちは何を訴えていた? スーパーフォーミュラ第3戦SUGO、レース当日の無線交信を振り返る
motorsport.com 日本版
ホンダの「V型10気筒エンジン」搭載スーパーカー!「“NSX”後継車」指名された本気の「超ロングノーズ」モデルに反響あり!
ホンダの「V型10気筒エンジン」搭載スーパーカー!「“NSX”後継車」指名された本気の「超ロングノーズ」モデルに反響あり!
くるまのニュース

みんなのコメント

この記事にはまだコメントがありません。
この記事に対するあなたの意見や感想を投稿しませんか?

この記事に出てきたクルマ

新車価格(税込)

421.0552.0万円

新車見積りスタート

中古車本体価格

128.0129.0万円

中古車を検索
90の車買取相場を調べる

査定を依頼する

メーカー
モデル
年式
走行距離

おすすめのニュース

愛車管理はマイカーページで!

登録してお得なクーポンを獲得しよう

マイカー登録をする

おすすめのニュース

おすすめをもっと見る

この記事に出てきたクルマ

新車価格(税込)

421.0552.0万円

新車見積りスタート

中古車本体価格

128.0129.0万円

中古車を検索

あなたにおすすめのサービス

メーカー
モデル
年式
走行距離(km)

新車見積りサービス

店舗に行かずにお家でカンタン新車見積り。まずはネットで地域や希望車種を入力!

新車見積りサービス
都道府県
市区町村