「追突してしまった僕が100パーセント悪い」
6月2日に鈴鹿サーキットで行われたスーパーGT第3戦の決勝レース後、千代勝正は40周目に日立Astemoシケインで起きた38号車KeePer CERUMO GR Supra(石浦宏明/大湯都史樹)への追突アクシデントを振り返り、自身を責めた。
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今季2024年より、ロニー・クインタレッリの新しいチームメイトとして23号車MOTUL AUTECH Zをドライブしている千代。開幕戦を5位で終え、前戦富士は2位表彰台を獲得しランキング3位で第3戦を迎えた同ペアだったが、富士と同じく3時間の時間制レースとなった今大会は44kgのサクセスウエイト(SW)の影響もあり、予選はQ2で千代が2番手タイムを記録するも合算タイムでは7番手となった。
迎えた決勝も序盤は7番手のまま。この状況を打開すべく23号車はレース中に2回必要なピットのうち、最初のピット作業時間を短くし第2スティントでのポジションアップを狙った。スタートを担当したクインタレッリからバトンを受け取った千代は、すぐに姉妹車の3号車Niterra MOTUL Zをかわして順位をひとつ上げることに成功する。しかし、それからまもなく冒頭のアクシデントが起きた。
「1回目の給油を少し短めにして、セカンドスティントでプッシュして順位を上げていこうという戦略でした。(1度目のピット作業を終えて)前に出てきた3号車は結構ウォームアップに苦しんでいたので、さくっと前に出ることができました」
「そうしたら前に8号車(ARTA MUGEN CIVIC TYPE R-GT)、38号車、24号車(リアライズコーポレーション ADVAN Z)がパックになっているところに一気に追いつたので、そのままの勢いであまり引っかからずに行きたいな、と思っていました」
「130Rでうまく(8号車ARTA)スリップに入ることができ、前の大湯選手(38号車KeePer)はおそらく8号車をブロックするかなと思って、イン側のラインで全員ブレーキするから(自分は)アウト側でブレーキングすれば外側から抜ける見込みで、少し遅らせてブレーキを掛けたのですけど38号車の前にGT300のマシンがいたみたいで……」
「僕は前がクリアだと思った状態でブレーキを開始していたのですが、(実際には)大湯選手が外側にいて、正直、僕の距離感というか判断ミスです。あそこまでパックになっているなかで、あんなに無理しなくてよかったなというところです」
23号車に追突されたKeePer CERUMO GR Supraはリヤを損傷。事故直後にホームストレート上にパーツを落とした後、リヤカウルがめくり上がった状態で1周するも直後にピットインし、フロアにもダメージがあったため、そのままガレージに収められてしまった。
■ポジションを落としてからは「ずっとプッシュ」
このアクシデントの後、レースコントロールは千代にドライブスルーペナルティを課した。また、千代も自身のドライビングの非を認め、レース後にすぐに38号車のピットへ謝罪に向かったという。
「GT300のマシンが前にいたようで、そのため全員のブレーキがちょっと早くなっていたのかもしれないですけど、真後ろからなので追突してしまった僕が100パーセント悪いです」
「38号車のチームやファンの皆さんに申し訳なく思っていますし、レースが終わってすぐに謝りに行きました」
「チーム(NISMO)にも申し訳ない気持ちです」
「『ポジションを挽回しなければならない』という気持ちが出すぎて、焦ってしまった。ロニーさんからバトンを受け継いで『なんとかしなきゃ』という気持ちがちょっと走りに出すぎてしまったな、と。そこは反省です」
アクシデントによる後退とドライブスルーペナルティによるポジションダウンに加え、MOTUL AUTECH Zは1度目のピットで給油時間を削ったため、60周目に入った2度目のピットインでの作業時間が伸びて入賞圏外の11番手へと落ちてしまう。そこからは前を走る19号車WedsSport ADVAN GR Supraを追いかけることとなった。
「(追突によるダメージは)幸い致命傷にはならず、本当に不幸中の幸いでなんとか最後までレースができたので、そこからはずっとプッシュして行きました」と終盤のスティントについて語った千代。
「セーフティカーが入ることを願いながら、とにかく全力で走り続けるしかありませんでした。19号車がちょうどポイント圏内でレースしていて、これをパスできて10位になり、1点はギリギリ取ることができました。そこは唯一の救いかな、と思います」
「本当は今回のレースで燃リス(燃料リストリクターの適用範囲:SW 51kg~)まで行きたかったのですけどそれは叶わなかったですし、結果はもう帰ってこないので次に向けてしっかり、休み明けにもう一度富士、鈴鹿と続くので、そこで大量点を取れるようにいろいろと準備をしていきたいです」
第3戦終了時点での獲得ポイントが23、ドライバーズランキング4位と戦前の順位からひとつ落とすこととなったMOTUL AUTECH Zの千代とクインタレッリ。タイトルを争う“王者”au TOM’S GR Supraが今回も最重量でありながら5位に入り、その差を14ポイントに拡げられたNISMO陣営としては、まずは2カ月後の第4戦富士でふたたび反撃の狼煙を上げたいところだろう。
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