■どんなクルマ?
比べるならば、ランボ/アストンよりメルセデス?
どうなるの? V12エンジン フェラーリCEO V12自然吸気を継続の意向
われわれはフェラーリを、ランボルギーニやアストン マーティン、ポルシェなどと比較しがちだ。
しかし、GTC4ルッソは違う。
「ルッソ」とはラグジュアリーの意味だ。実際にGTC4ルッソと比べるとしたら、「ルッソ」と同じくらいに「ラグジュアリー」の意味合いをもつ「メルセデス・ベンツSクラス」なんかがいいのかもしれない。
Sクラスは素晴らしい。5名の乗員がくつろげる広く豪華なキャビンと、全員分の荷物が収まる荷室が備わっている。
そのSクラス(S350d)と比較すると、このフェラーリは全長で12.4cm、ホイールベースで4.5cm短い。全幅は広いが、車重は軽い。ただし、その差はたった35kgに過ぎないのも事実だ。
いうまでもなくこれは、5年前に登場したFFの改修版で、車重は40kg増加している。
まる1日試乗して衝撃的だったのは、このクルマが、フェラーリが伝統的にライバルたちと熾烈な争いを繰り広げてきたテリトリーから離れ、違う方向性から評価するに値するものだったということだ。
■どんな感じ?
走りよりも、うっとりするところ
そう、これはまさにラグジュアリーカーだ。ドアは2枚しかないが、アストンやポルシェの4ドアより後席はずっと広い。筆者の身長は190cmほどあるが、ガソリンが切れるまで乗り続けていても快適なのだ。
インテリアの質感は、FFよりアップしている。これまでのフェラーリにもゴージャスなルックスのキャビンは数多くあったが、見た目も風合いもここまで満足できるものはなかった。
デルファイ製の新型インフォテインメントシステムはタッチパネル式だが、敢えて画面に指紋を付けようとは思わないほどデキのいい物理スイッチも備えている。
フェラーリのスタッフが、使い方を説明してくれるのが常となっているが、使い方は直観的に理解できた。
グラフィックやエルゴノミクスはドイツのプレミアムブランドほどではないが、ナビ以外の表示がされなかったり、ステアリングホイールに頭を打ち付けたくなるくらい操作が難解だったりした日々が終わりを告げただけでも大幅な進歩だ。
試しにインストールされているApple CarPlayを使ってみたが、すぐに本来のシステムに戻したほど。フェラーリとしては、これは革命的だ。
とはいえ、どうしてV12サウンドや鋭いシフト、顔が歪むほどのコーナリングスピードといった、跳ね馬に付きものの話題が出てこないのかといぶかしむ読者もおいでだろう。
しなやかで緻密
もちろん、走りに関する話もじきにするが、個人的にまず興味があったのは、マラネロの最もラグジュアリーなモデルとして、震えるほど美しい1963年のモデルから名前を譲り受けるにふさわしいモデルなのかという点だった。
結論から申しあげると、十分すぎるほどに上出来だった。高速道路を流すようなペースでは、690psを絞り出す6.3ℓV12はほとんどサウンドをキャビンに届けることがないのも気にはならない。
ロードノイズや風切り音もみごとに遮断されている。ウインドウは二重ガラスを用いているのだ。
最高速度は344km/hと、実にラ フェラーリより5km/hほど低いだけだ。そのスピードに堪えうるサスペンションと低扁平タイヤを履いているにもかかわらず、乗り心地は硬すぎない。
しなやかかつ緻密で、ダンパーはみごとな仕事ぶりを見せてくれる。812スーパーファストよりも、名が体を表していると思えるクルマだ。
エンジンにも感心する。実によくできていると思うのは、つま先の動きひとつで、そのキャラクターを冷静と情熱の間で思うままに切り替えられることである。
もっとスポーティな、たとえばF12あたりならば、巡航時であっても、常になんらかのエンジン音を聞いていたいと思うだろう。GTC4ルッソは、普段は静かで、しかし望めば、その潜在能力を発揮してくれるタイプだ。
音質に関しては、これを超える市販車にはまず出逢えない。アストンのV12はおそらくもっとエキサイティングで、メルセデスのV8ツインターボはもっと力強さを感じさせるいっぽうで、GTC4ルッソのサウンドは、幾重にも折り重なり、それでいて鋭く、澄んだ硬質な歌声は、GTOやデイトナにも通じるのだ。
ただハンドリングは好きになれず
もちろんこのV12は、2トンになんなんとする、オイルと水に満たされたアルミとレザー、カーボンファイバーの器を、跳ね馬ならば当然と期待される途轍もないペースで走らせることもできる。
それだけに、ハンドリングもより好きになれるものだったら、と思わずにはいられない。
新たに4WSを装備したにもかかわらず、近年のフェラーリが共通して抱えるステアリングの欠点を払拭できていないのだ。
中立付近は不必要にアグレッシブで、さらに悪いことには、油圧アシストであるのに、ステアリングフィールが希薄なのである。
これに長いホイールベースと大きな全幅も加わって、ある程度スピードが出ていると、狙い通りのラインを取ることが難しい。
たとえ幹線道路であっても、カーブが多いとそんな有様だ。整った道でフェラーリを楽しむことすら妨げるような挙動は、うれしいものではない。
それはオーバーアシスト気味のブレーキにもいえることで、左ハンドル車ならば適切にスピードをコントロールできるのだが、今回の右ハンドル車ではその適度な利き具合を見つけるのに苦労した。
ちょっと踏み込むと急ブレーキ気味になってしまい、緊急ハザードランプを点滅させる羽目になるのだ。
■「買い」か?
「比類なし」
マラネロは、GTC4ルッソはライバルのいないクルマだと考えているようだが、AUTOCARはアストン マーティンDB11ならSクラスに劣らずラグジュアリーで、GTC4ルッソより安く、ペースは同等以上で、おそらく運転の楽しさは上だと考える。
ただし、実用性でDB11はGTC4ルッソに敵わない。室内の広さでは及ばず、四輪駆動も設定されていない。そうなると、フェラーリの主張は正しいのかもしれない。
さらに、このクラスの超高性能クーペで、ここまで豪華で、広さと使い勝手を備えたものはない。
たしかに不満も述べたが、このクルマのオーナー像を考えると、大きく足を引っぱるレベルではないこともたしか。
「比類なし」という言葉は正しかった。
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