メルセデスAMGなら4ドアサルーン
text:Richard Lane(リチャード・レーン)
translation:Kenji Nakajima(中嶋健治)
クルマの成り立ちはシンプル。新しいAクラスをベースにしたホットハッチ、メルセデスAMG A35の、4ドアサルーン版だ。
今となってはSUVやハッチバック、独自の2シーター・スーパーカーまで手掛けるAMGだが、以前はAMGといえば高性能な4ドアサルーンだった。メルセデスAMG A35 サルーンには少し違う興奮がある。
W124型の300EをベースにしたAMGハンマーなどは、今となってはオークションで6桁ポンド(1400万円)以上の値が付いている。今でもアッファルターバッハで開発される最高のモデルといえば、V8エンジンを搭載した4ドアサルーンだ。
メルセデスAMG A35 サルーンの英国価格は3万5580ポンド(498万円)で、その他のモデルと比べれば安価。現行のC63と比較してもかなりお手頃な設定にはなっている。
A35には大排気量のV8エンジンや、AMG独自のユニットがフロントに押し込まれているわけではない。もしAMG製ユニットがご希望なら、5万2000ポンド(728万円)のCLA 45 Sを選ぶという方法がある。M139ユニットの最高出力は420ps。これまでの量産4気筒エンジンの中で最強だ。
今回のA35 サルーンに搭載されるエンジンは、ハッチバックのA35と同じもの。基本的にはA250に採用されているM260と呼ばれる2.0Lターボユニットから、306psを引き出している。特別感は薄いかもしれないが、価格を考えれば十分に強力い。
衝撃を受けるほど活発なエンジン
306psはメルセデス製の7速デュアルクラッチATを介して、4輪へと伝えられる。フロントのデフは通常のもの。リアには電子制御されるマルチディスク・クラッチが採用されている。
サルーンの方がハッチバックより全長は130mmほど長い。そのぶん車重も15kg増え、1570kgとなっている。ボディデザインはハッチバックよりエレガントさを感じさせるうえに、荷室容量より広い420Lを確保している。
A35サルーンには、ハッチバックと異なり目立ったウイングはない。大きなリアディフューザーが付いているが、試乗車のボディカラーは黒色だったからボディに馴染んで見える。AMGラインよりは迫力はあるけれど、AMGモデルのルックスとしては控え目な方。
それでも加速は容赦ない。控え目な排気量を過給するユニットながら、スロットルレスポンスは鋭い。現代のクルマらしく、最もアグレッシブなドライブモードを選択しないと306psを引き出しきれないが、2.0Lユニットは髪の毛が逆立つような鮮烈な加速力を生み出す。
モニターに描かれるレブカウンターの赤い針は鋭く回転し、エグゾーストからは豊かなノイズが放たれる。70mmほどのアクセルペダルのストロークで生まれる、2速か3速での3500rpm前後のパワー感は特に凄い。もしフォルクスワーゲン・ゴルフRに慣れている人なら、衝撃を受けるかもしれない。
反面、トランスミッションにはちょっとヤキモキする。低速域では充分よく変速してくれるが、レッドライン付近でのシフトアップは冴えない。ハード的には回転数を問わずクイックでスムーズに変速する能力を持っているはずなのだが。
フィーリング豊かなステアリングが強み
完璧なパッケージングの中にあるドラマチックさと一体感という点では、細かな部分も気になってくる。シフトパドルの操作感は悪くはない。それでもステアリングホイールには余りに多くのスイッチ類が配され、シリアスなドライバーズカーとして相応しいとは思えない。
ダイナミクス性能としては、A35のハッチバックと基本的に同じで、充分に評価できる。握りやすいステアリングホイールには、フロントタイヤから不足のない情報が伝わり、不安感がない。AMGの最大の強みでもあり、路面が濡れていても思い切って速く走らせることができる。
グリップ力は極めて高いが、ギリギリまで踏ん張って限界を迎えると、穏やかなアンダーステアに転じる。メルセデスAMG A35 サルーンの場合、リアタイヤに伝えられるトルクは最大でも50%。かつてのAMGハンマーとは異なる部分だといえる。
威勢のいいBMW M2コンペティションのように、ハンドリングを積極的に楽しむタイプではない。どちらかといえば、完成度の高い前輪駆動のホットハッチのように走る。AMGのエンブレムに釣り合うだけの加速はするが、操縦の楽しみに奥行きは感じにくい。
もうひとつ、固定式のサスペンションにも触れたい。スピードを問わず、素晴らしい姿勢制御を叶えてくれている。そのかわり、毎日の移動手段とするには滑らかさが足りない。通常、ハッチバックよりもサルーンには、ある程度のしなやかさを求めると思う。
オプションでAMGライドコントロールを選択し、アダプティブ・ダンパーを装備すれば、コンフォート・モードで乗り心地は改善できる。それでもA35 サルーンは、同等ライバルの水準の中ではかなり硬い方だ。
実用的で個性的で、驚異的に速い
筆者としては、A35 サルーンの真価を味わうには、マニュアル・トランスミッションが必要だと思う。控え目なルックスにハイパワーエンジンの組み合わせは、羊の皮をかぶった的なクルマではあるが、ハンドリングは強い一体感を得られるほど訴求力に溢れるものではない。
走行時の洗練性という面では、間もなく登場するアウディS3 サルーンが高い水準で準備してくるはず。そうなるとMAGとしての楽しさは一層重要になる。
3ペダルのMT車は、単に速いクルマとしてだけでなく、天候を問わない高性能マシンとしてもドライバーを惹きつけるはず。若い層にも受けるコンパクトAMGとして、マニュアルという選択肢は充分にアリだと思う。
だとしても、A35ハッチバックやそれに近いモデルを検討しているドライバーにとって、A35 サルーンは候補に加えたいクルマだ。AMGの濃度はそこまで濃くはないものの、実用的で個性的で、驚異的に速い。
メルセデスAMG A35 4マティック・サルーンのスペック
価格:3万5580ポンド(498万円)
全長:4549mm(標準Aクラス)
全幅:1796mm(標準Aクラス)
全高:1446mm(標準Aクラス)
最高速度:249km/h(リミッター)
0-100km/h加速:4.8秒
燃費:13.7-13.8km/L
CO2排出量:164-167g/km
乾燥重量:1570kg
パワートレイン:直列4気筒1991ccターボチャージャー
使用燃料:ガソリン
最高出力:306ps/5800rpm
最大トルク:40.7kg-m/3000-4000rpm
ギアボックス:7速デュアルクラッチ・オートマティック
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みんなのコメント
新型2シリーズグランクーペのデザインがどうしても好きになれません。
内装の質感も高いし個人的には結構好き〜