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【ヒットの法則327】アルファ159スポーツワゴンは愉しさとイージーさを備えたオールマイティなモデル

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【ヒットの法則327】アルファ159スポーツワゴンは愉しさとイージーさを備えたオールマイティなモデル

2007年、アルファ159スポーツワゴンが日本に上陸。早速、Motor Magazine誌は、アルファ159スポーツワゴン 3.2 JTS Q4 Qトロニックに試乗している。最新の6速ATである「Qトロニック」とアルファ独自の4WDシステム「Q4システム」を搭載したモデルはどんな個性を発揮していたのか。今回はその試乗の模様を振り返ってみよう。(以下の試乗記は、Motor Magazine 2007年6月号より)

セレスピードはFFの2.2に、Qトロニックは4WDのQ4 3.2に採用
アルファ159に、待望のスポーツワゴンが加わった。本国イタリアでは昨年2006年2月にリリースされていたが、日本仕様はセレスピードとATが揃うのを待っての導入となった。アルファ159スポーツワゴンは、左ハンドルMTから始まったセダンとは異なり、最初から2ペダル、それも右ハンドルのみの構成となっている。進化したセレスピードはFFの2.2に、Qトロニックと呼ばれるATは4WDであるQ4の3.2に搭載される。

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アルファ159スポーツワゴンのスタイリングに「既視感」を抱く方は多いと思う。それは先代156同様の手法で作られているからだ。セダンと同寸としながら、Bピラー以降のルーフラインと、それを受け継ぐリアゲートに至るまで、クーペのようになだらかなラインとしていること。さらにリアゲートの上部がルーフに回り込んでいる点も先代譲りだ。

先代の成功はネーミング通り実用一点張りでなかった点にある。何しろワゴンでありながらも定員乗車時のラケッジ容量はセダン以下だったのだから。

しかし、さすがに今回はワゴンらしさを手にしてきた。それはゲートを開ければ一目瞭然。フロアは深くなり、広がった車幅により十分なスペースを確保している。通常で445Lという容量は、先代の360Lから大幅増なばかりか、セダンの405Lに対しても大きなアドバンテージを持つ。そして、6:4分割も可能なリアのシートバックをすべて倒せば最大で1235Lを可能にしている。

ただし、セキュリティの関係からかセダンのトランクと同様に、リアゲートはオーバーヘッドコンソールにあるスイッチかリモコン操作でしか開かない。

Q4システムにはFR風の味があり楽しい
今回、注目なのはQトロニックである。この6速ATはアイシンAW製で、ヨーロッパでは2.4JTDに先行して搭載されたもの。Qは「カルテット」の意だそうで、その名の通りノーマル/スポーツ/ウインターのAT機能と、シーケンシャルのMTモードを加えた四重奏を楽しめるようになっている。

意外だったのはMTモードのパターン。アップが奥でダウンが手前と、セレスピードの逆になっているのだ。慣れの問題だが、セレスピードがレーシングイメージ、Qトロニックは一般的という判断なのだろうか。ちなみにブレラとスパイダーのQトロニックにはセレスピード同様にパドルシフトが備わる。

キーをスロットに差し込み、スターターボタンを押すとV6サウンドが轟く。まずはノーマルのDレンジで走り出す。トータルギア比でMTより1~4速が低めに設定されていることもあってスタートダッシュは鋭い。加えて基本的に各ギアで引っ張るプログラミングのためスポーティに走れる。手前のボタンでスポーツモードをセレクトすれば、その度合いはさらに増す。

Qトロニックはアクセルの動きをよく読んでいて、シフトのホールド性が高いのも走りを楽しくさせてくれる。また、学習機能も持ち合わせているからドライバーの意に沿った走りを見せてくれるのだ。

そして、シフトをドライバー側の右に倒せばMTモードが堪能できる。シフトは節度感がやや薄いものの、ストロークが短く手首の動きだけで操作できるのがいい。先述した低めのギア比と相まって小気味いいシフトワークが楽しめるのだ。

V6サウンドの高まりとシンクロさせて走ると、そこにはアルファロメオのMTモードへのこだわりを感じる。100km/h巡航時の回転数は6/5/4速で2000/2500/3500rpm。1800rpmから最大トルクの90%を引き出すだけに6速でもツキはいいし、4速ではここから6500rpmまで一気呵成に吹け上がってくれる。

さらに、基本の前後トルク配分を43:57とFR寄りにしつらえられた4WDのQ4システムが楽しさに輪をかける。豪快に、かつ確実に路面を捉えながらのコーナリングはQ4ならではの醍醐味でもある。

今回はセダンの3.2 Q4と比較することもできたが、18インチタイヤを履くセダンが多少乗り心地を犠牲にしてもシャープな走りを展開するのに対して、17インチのスポーツワゴンはマイルドな乗り心地でリアが粘りながら追従してくる感じ。これは60kg大きいリアの荷重値も関係しているのだろうが、先代がそうだったようにワゴンとしての安定感を求めていると思われる。

ちなみにQトロニック車はVDCと連動したブレーキブースト「HBB」を備え、高い制動力を引き出すとともに、クリープ時の踏力低減といった対応を図っている。

スポーツワゴンのお勧めは今回試乗した3.2 Qトロニックのディスティンクティブだ。かつてのGTAを上回るパワーをQ4システムで引き出す、それもイージーさも持ち合わせた6速ATでと、先代にはなかった組み合わせを実現しているからだ。タイヤも17インチだし、ざっくりした感触のチベットレザーのインテリアもいい。こうしたオールマイティなスポーツワゴンが、セダンの20万円高で手に入るのはリーズナブルとしか言いようがない。(文:河原良雄/Motor Magazine 2007年6月号より)



アルファロメオ アルファ159スポーツワゴン 3.2 JTS Q4 Qトロニック 主要諸元
●全長×全幅×全高:4690×1830×1465mm
●ホイールベース:2705mm
●車両重量:1830kg
●エンジン:V6DOHC
●排気量:3195cc
●最高出力:260ps/6300rpm
●最大トルク:322Nm/4500rpm
●トランスミッション:6速AT
●駆動方式:4WD
●車両価格:592万円(2007年)

[ アルバム : アルファ159スポーツワゴン 3.2 JTS Q4 Qトロニック はオリジナルサイトでご覧ください ]

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