2023年5月11日から14日にかけて、世界ラリー選手権(WRC)第5戦ラリー・ポルトガルが古都ポルト近郊のマトショニスを起点に開催される。ラリー・ポルトガルは今シーズン2回目のグラベル(未舗装路)ラリーとなる。ここまでトヨタが3勝とやや有利な展開となっているが、ドライバーズ選手権は大混戦、ここから7戦グラベルラリーが続くだけに、この後の展開を占う意味でも重要なイベントとなる。
昨年の王者ロバンペラ(トヨタ)の今季初優勝なるか
セバスチャン・オジェ(トヨタ)のラリー・モンテカルロ優勝で幕を開けた2023年シーズンは、ここまでトヨタが3勝、フォードが1勝とマニュファクチャラー部門ではトヨタがやや有利な展開となっているが、ドライバー部門は大混戦。
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前戦ラリー・クロアチアで優勝したエルフィン・エバンス(トヨタ)が、今回のポルトガルを欠場するオジェと同ポイントで首位に立っているが、昨年の王者カッレ・ロバンペラ(トヨタ)がわずか1ポイント差で3位につけているという状況。上位5名の差はわずか11ポイントしかない。
今週の第5戦ラリー・ポルトガルから始まるグラベル7連戦でシーズンの流れがどうなるか興味深い。
2023年 WRCドライバーズランキング(第4戦終了時)
1位 S.オジェ(トヨタ)69
1位 E.エバンス(トヨタ)69
3位 K.ロバンペラ(トヨタ) 68
4位 O.タナック(Mスポーツ フォード)65
5位 T.ヌーヴィル(ヒョンデ)58
6位 E.ラッピ(ヒョンデ)31
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8位 勝田貴元(トヨタ)18
2023年 WRCマニュファクチャラーズランキング(第4戦終了時)
1位 トヨタ 161
2位 ヒョンデ 132
3位 Mスポーツ フォード 108
クルマの総合性能を見る上で最適なラリー
ラリー・ポルトガルのステージは流れるようなコーナーが続くハイスピードなセクションと、荒れた路面を走行するテクニカルなセクションの両方があり、グラベルでのクルマのパフォーマンスを見る上で最適なラリーであると言われている。
ラリーのサービスパークはポルトガル北部の都市ポルトの郊外マトジニョスに置かれ、5月11日木曜日の夜にマトジニョスの南に位置する古都コインブラで行われるセレモニアルスタートで開幕。
競技は12日から始まり、デイ1はコインブラの周辺で3本のステージを各2回走行。その後、2本のステージを走行した後、マトジニョスの最終サービスに向かう。デイ1はミッドデイサービスが設定されず、アルガニルの「タイヤフィッティングゾーン」での簡便な整備作業のみで8本のステージを走り切らなければならない。
13日のデイ2は、サービスパークの東北エリアに広がるカブレイラ山脈で3本のステージを各2回走行。1日の最後にはロウサダで名物のスーパーSSが行われ、7本のステージの合計距離は148.68kmと3日間で最長の一日となる。
タイヤやサスペンションへのストレスも大きい
14日の最終日デイ3は、ビッグジャンプで有名な「ファフェ」を含む4本のステージを走行。最終ステージとなるファフェ2は、トップ5タイムを記録した選手とマニュファクチャラーにボーナスの選手権ポイントが付与される「パワーステージ」に指定されている。
ラリーは3日間で19本のSSを走行し、その合計距離は325.35km。リエゾン(移動区間)も含めた総走行距離は1644.92kmとなる。
ラリー・ポルトガルで問題となるのが、路面のコンディションが同じステージを1回目に走行する時と2回目に走行する時で大きく変わること。1回目の走行では砂に覆われて全体的にソフトだが、砂が掃ける2回目は深い轍が刻まれ、また石や岩盤が露出することでタイヤやサスペンションに大きなストレスがかかる。
グラベル路面は軟らかい砂や目の細かな砂利で覆われているため、スタート順の早いドライバーはその滑りやすい砂を掃き飛ばしながら走らなくてはならないため不利なコンディションでの走行となるが、ドライバー選手権をリードするエバンスがどんな走りを見せるかも注目となる。
勝田貴元がワークスとしてエントリー
昨年2022年のラリー・ポルトガルでは、選手権リーダーとして不利な先頭スタートで挑んだロバンペラが周囲の予想を覆す見事な勝利を飾った。荒れた展開のラリー2日目を2番手と絶好の位置で終えたロバンペラは、ラリー3日目に首位のチームメイト、エルフィン・エバンスとの差を瞬く間に削り取り、午後の3連続ベストでついに逆転。ラリー最終日も、エバンスとの差をキープしたまま、第2戦スウェーデン、第3戦クロアチアに続く3連勝のフィニッシュに飛び込んだ。
【参考】2022年WRC第4戦ラリー・ポルトガル 結果
1位:K.ロバンペラ(トヨタ GRヤリス ラリー1)3h44m19.2s
2位:E.エバンス(トヨタ GRヤリス ラリー1)+15.2s
3位:D.ソルド(ヒョンデ i20 N ラリー1)+2m17.3s
4位:勝田貴元(トヨタ GRヤリス ラリー1) +2m19.4s
5位:T.ヌーヴィル(ヒョンデ i20 N ラリー1)+2m37.8s
6位:O.タナック(ヒョンデ i20 N ラリー1)+4m45.7s
7位:P.ルーベ(フォード プーマ ラリー1)+5m52.1s
8位:C.ブリーン(フォード プーマ ラリー1)+7m03.4s
9位:A.フルモー (フォード プーマ ラリー1) +8m09.6s
10位:Y.ロッセル(シトロエン C3 ラリー2)+13m48.9s
今年のラリー・ポルトガルには、トヨタがカッレ・ロバンペラ、エルフィン・エバンス、勝田貴元の3台、ヒョンデがティエリー・ヌーヴィル、エサペッカ・ラッピ、ダニ・ソルドの3台、Mスポーツ フォードはオイット・タナック、ピエール・ルイ・ルーベの2台、計8台のWRカーがワークス参戦する。昨年のこのイベントで4位、今年はワークスとしてエントリーする勝田貴元に注目だ。
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