RBはF1第22戦ラスベガスGPに4つのアップデートパーツを持ち込んだ。
国際自動車連盟(FIA)の発表によれば、ひとつ目はエンジンカバーで、ふたつ目がリヤサスペンション。3つ目がリアコーナーで、4つ目がミラーだという。サスペンション以外の3つは、ストレート区間が多いラスベガス・ストリップ・サーキット用に空気抵抗を抑えた仕様で、これはRBが独自に開発・製造したものだ。
角田裕毅が予選7番手「大満足。アップグレードへの理解が改善につながった」努力が報われたとチームも喜ぶ/F1第22戦
これらの空力パーツに対して、ふたつ目のリヤサスペンションは、レッドブルから購入したものだ。サスペンションはチームが独自に設計しなければならないコンポーネントに含まれていないため、姉妹チームであるレッドブルが製造したサスペンションを使用することができる。
RBの全身だったアルファタウリやトロロッソ時代も、ファエンツァをベースにするこのチームはこれまでもレッドブルのサスペンション部品を使用してきた。だが、それらは1年以上前の仕様に限定されていた。それが2022年に規制が改定され、同じシーズンに他チームが最新仕様を使用することが許された。昨年のシンガポールGPでは、2023年のレッドブル製リヤサスペンションを採用し、シーズン終盤に躍進を遂げた。
ただし、角田裕毅はこのラスベガスGPで過度な期待を寄せていない。
「このリヤサスペンションはもともと、来年に入れる予定だったのを、前倒しで投入したもの。去年は空力も含めてリヤを大きく変えたのに対して、今年は空力は昨年ほど大きく変えていないので、その効果はどうなるのか、まだわかりません」
レーシングディレクターのアラン・パーメインもこう語る。
「このリヤサスペンションは2025年に向けたもの。来年のシーズン序盤に導入してもよかったが、今シーズンから導入するという意欲的な決断をチームが下し、ファエンツァのスタッフの懸命な努力によって、今回実現した」
リヤサスペンション自体はレッドブル製だが、サスペンションアームをカバーするシュラウドは空力パーツとみなされているため、独自に開発・製造しなければならない。
さらにこの新しいリヤサスペンションの性能を発揮できるよう、ファクトリーと現場のエンジニアが連携して最適なセットアップを施したことも忘れてはならない。車両パフォーマンス部門責任者のギヨーム・デゾトーは次のように明かす。
「サーキットにいるエンジニアリンググループとファクトリーにいるエンジニアリンググループがクルマの挙動をあらゆる側面から分析し、ストレートスピードを損なうことなく、コーナーリング時のクルマのバランスを向上させるという素晴らしい仕事を行ってくれた」
そのマシンを駆った角田は予選Q1から常にトップ10内につけるスピードを披露。Q1を10番手で通過すると、Q2も9番手で突破。そして、Q3ではランド・ノリス(マクラーレン)に1000分の21秒差に迫るタイムを叩き出し、予選7番手を獲得した。
「今回の予選の勝因はFP1から走るたびにセットアップを改善できたことだと思います。ただ、今日のFP3ではそのセットアップにうまく対応しきれず、満足のいく走りができなかったので、この予選結果は予想していませんでした」
予選後、イギリスのスカイ・スポーツのインタビューにも呼ばれ、かつてのホンダ・ドライバーでもあるジェンソン・バトンから祝福された角田。その後、RBのホスピタリティハウスに帰ると、エンジニアたちから祝福を受けていた。
デゾトーは言う。
「ユウキの予選7番手は、我々エンジニアたちの努力の成果であり、チームの士気を高める最高の結果だ」
この勢いを土曜日の決勝レースでも続けてほしい。
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