北欧発のスタッドレスタイヤ、ノキアン・ハッカペリッタR3／R3 SUVは斜めにグリップする？

北欧フィンランドのタイヤメーカー、ノキアンが作ったスタッドレスタイヤがハッカペリッタR3／R3 SUV（以下R3、R3 SUV）である。R3は乗用車用、R3 SUVは文字通りSUV用のタイヤだが、その実力をたしかめた。

　ノキアンが所有するホワイトヘルと呼ばれる冬期試験場は、グリーンヘルの愛称を持つニュルブルクリンク北コースに敬意を表して名付けられた名称だ。20種類を超えるコースがあり、総延長100km超に達する広大なテストコースである。間違いなく世界最大の冬季試験場だ。直線700mの屋内コースもあり、常に同一のコンディションでテストが可能となる。

　そんな環境で作られたR3／R3 SUVだが、けして北欧向けのスタッドレスタイヤではない。近年北欧では、特に都市部に於いて雪がなく、郊外でも早めに雪が融けるという。そういった現実に即して、北欧でも冬用タイヤに求められる性能が変わりつつあるのだ。つまりドライ路面でのコントロール性や正確性は言うに及ばず、静粛性も高い冬用タイヤが求められているという。そこでノキアンが日本に投入したのがR3／R3 SUVである。

　2月、冬真っ只中のホワイトヘルは外気温計はマイナス20℃を指していた。筆者がR3およびR3 SUVを試したのは、平滑な路面のつるつるした氷盤路と、交通量の少ないざらざらした氷盤路、そして雪がしっかり踏み固められた圧雪路だ。昼なお薄暗いなかテスト走行を行ったが、氷盤も圧雪路も50～100km/hの範囲ではコントロールしやすく、なにより乗り心地がよかった。
　

　さらに北欧での高速雪上性能を求められてきたノキアン本来の魅力である斜め方向のグリップ、つまり限界域を超えて前後左右に滑り出してからも粘るグリップ特性は健在で高い安心感につながった。

グリップだけではなく乗り心地だけではなく燃費も

　これは一般道でも同じで、R3はやはり乗り心地がよかった。柔らかいコンパウンドが細かな凹凸を吸収しているのを感じる。一般道は交通量の多い幹線道路などで、乾燥した舗装路がところどころむき出しとなっていたが、平坦な直線路では気持ちよくスーっと転がっていく。低転がり抵抗タイヤほどの伸びはないものの、スタッドレスとしては先代のR2と比較して約5％向上したというから、燃費は期待できるのではないだろうか。

　続いて試乗したR3 SUVは多少ゴツゴツ感を感じたが、これはもしかするとこれはアラミド・サイドウォール・テクノロジーを採用しているからかもしれない。雪に隠れた突起物などでサイドウォールが切れないようになっているのも安心感向上につながる。

　北欧での新車には冬用タイヤが純正装着されることが多いが、ノキアンはメルセデス・ベンツやBMW、ランドローバーなど名だたるメーカーを網羅していることはその品質の裏付けにもなるだろう。