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【灼熱地獄】 真夏の車内はどこまで暑くなる? その危険度をチェック!!

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【灼熱地獄】 真夏の車内はどこまで暑くなる? その危険度をチェック!!

 8月に入っていよいよ夏本番! の前にすでに暑い、暑すぎる! 7月の平均気温は東日本で過去最高となり、西日本でも第2位タイ。埼玉県熊谷市では41.1℃を記録(日本の観測史上最高を更新)、全国の観測地点の約4分の1で最高気温が35度以上の猛暑日を記録……と、もはや災害と言っていいレベル。

 7月の終わりにはこの暑さもすこし和らいだものの、8月に入ってまたじんわり気温が上がりつつある。これからの時期、お子さんの夏休みやお盆休みなどで海や山にドライブに行く計画を立てている人も多いと思うが、気をつけなければならないのが車内での熱中症。熱中症は屋外だけで起きるものではない。クルマという密閉空間は、特に暑くなるので注意が必要なのだ。

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 JAF(日本自動車連盟)が行ったテスト結果と、編集部・林が毎年熊谷市と暑さを競っている群馬県館林市へ、36.4℃の猛暑日に行ってテストした結果を併せて、実際にクルマがどれほどまで暑くなるものなのか? をご覧いただこう。これを見たら、「ちょっとだけだし」なんて気は起きなくなるハズ。

※本稿は2017年のものです。


文:ベストカー編集部


写真:日本自動車連盟・西尾タクト


データ提供:日本自動車連盟


初出:『ベストカー』2017年8月26日号

「ちょっとなら」で、大変な事態に

 JAFが夏の閉めきった車内の熱中症指数(WBGT)による測定を行った結果によると、20℃まで冷やした車内でも、エアコンを停止してわずか15分で熱中症指数は危険レベルに達したという。

 「子供が寝ていて起こすのがかわいそうだし、ちょっとの時間だからクルマに残してお買い物」なんて、気持ちはわかるがもってのほかなのだ。

真夏の車内の温度 条件違いでどう変わる?

 気温35℃の環境に4時間、ボディカラー黒、ボディカラー白、サンシェード装着、窓開け(3cm)、エアコン作動といった、さまざまな条件のクルマを置いた場合、車内温度がどう変化するのか? というテストをJAFが行っているので、まずはその結果(下表)を紹介したい。

■色違いで約5℃の差が生じる

 一般的にボディカラーが黒っぽい車両のほうが、温度が高くなりやすいといわれている。テストでもそのとおりの傾向となっており、対策なし同士で比較した場合、黒いボディカラーの車両のほうが、各部の温度が白い車両よりも約5℃高い結果となった。




 ただ、もっと差が開くかと思った数値だが、思ったよりも小さかった。

■サンシェードは効果薄

 よく駐車場で目にするサンシェード。ダッシュボードやハンドルが熱くなるのを防いではくれるのだが、さて車内温度は? となると、車内最高温度は対策なしに比べてたったの2℃しか低くならず、温度抑制効果はほぼないと言える。これではとても車内にはいられない。

■空気を循環させても厳しい

 では空気を循環させるのはどうだろうか? 結果としては、開けないよりはマシといったレベルだった。

 約5℃低下はするが、ダッシュボードの温度が高いことの影響か、それとも入ってくる空気が外の熱風なので効果が低いのか、期待したほどの効果は出なかった。

■文明の利器(エアコン)は強いのだが……

 これは比べるまでもないだろう。これなしでは夏は生きていけないと言う人がいるのがよくわかる、圧倒的な力を見せつけた。

 しかし、確かに涼しくはなるのだが、ずっとエンジンをかけておかねばならず、誤作動でクルマが動いたり、燃料切れでエンジンが止まってしまう可能性もある。緊急災害時などは死活問題になってしまう。また排ガスを出しているため、環境負荷の面でも問題がある。

 個別にテストした結果では、温度抑制効果は低いという結果が出た。しかし、サンシェードと窓開けを組み合わせれば相乗効果が期待でき、皮算用ではあるがエアコンに頼らずとも、10℃くらいは低くなるかもしれない。

※以上、実施日:2012年8月22~23日、場所:彩湖・道満グリーンパーク駐車場(埼玉県戸田市)、天候:晴れ、気温:35℃、試験時間:午後12時から4時間

真夏の車では何が起きるのか?

 つづいて、編集部林が行った、群馬県館林市での実験の様子を紹介しよう。テスト車両は、白いカッティングシートがボンネットに貼ってあるオレンジのハスラーと、黒いボディのBMW 318iだ。

【TEST1】 最高気温35度で3時間 車内外の温度はどうなる?

 まずチェックしたのは、クルマの車内やボディなど各部の温度。取材したのは、気象庁発表によると最高気温が36.4℃を記録した7月13日。正午から午後3時という、この日一番の暑さになると予想された時間にテストを行った。

 どちらも窓を閉めてテストを実施すると……。

 車内温度は上表のとおり、
318iの温度がぐんぐん上がり室内温度はなんと60.8℃まで上昇。あまりの灼熱ぶりにシートに座ろうものならヤケドを負う可能性もあるレベルだった! 約70℃のボンネットにも実際に触ってみたが、1秒以上は触れられないぐらいの熱さ。気密性と色の問題か、
軽自動車よりも高級車のほうが暑いという結果に。

 残念ながら1時間半を経過したところから雲が多くなり、日差しが遮られたことでクルマの温度が低下してしまったが、それでも室内温度はハスラーが44℃、
318iが52℃と、長時間車内にいることは厳しい温度のままだった。

【TEST2】 車内に人間が放置されたら熱中症指数はどうなる?

 太陽の下に1時間放置したハスラーの後部座席に実際に乗り込んでみて、身体にどのような変化があるのか確認してみた。

 車内の温度はこの時点で50.5℃、持ち込んだ熱中症指数測定器の数値は34~35℃(危険)を指している状態だったが、最初は余裕だろう……なんて思っていた。しかし、そんな希望的観測はものの1分で粉砕される。

 身体の毛穴という毛穴から汗が噴き出し、玉のようにしたたり落ちる。湿度も高いし無風なので、かいた汗も乾燥することはない。気化熱で冷却できないので、身体はどんどん汗を出して冷やそうとするのだ。

 同行してもらった金魚に弱音を吐いて、テスト開始からたったの5分で外に出たが、気温35℃の環境ですら涼しいと感じるほど身体は熱くなっていた。もし大人よりも体温調節機能の低い子供が同じ状況に置かれたとすると……ゾッとする結果だった。

【TEST3】 暑い車内に食べ物を放置するとどうなる?

 炎天下では70℃を超えることもある車内温度。そんな環境で、車内に置きっぱなしになった食べ物はどうなってしまうのだろうか? 暑さによる変化が起きそうなチョコ、生卵、コーラ(爆発してもOKなようにケースに収納)、計算機をチョイスして実験をしてみた。

 ハスラーのダッシュボード(実験時最高温度65℃)の上に設置し置き去りにしたが、今回は1時間半を経過した時点で曇ってしまったこともあり、考えていたよりも変化は少なかった。

 とはいえ、3時間のテスト終了後に確認すると、卵は高温で白身の周囲が固まり、黄身の中心部も凝固しはじめていた。またコーラは液温が45℃まで上昇し、炭酸がプクプクと泡立ちはじめる状態にまでなっていた。もう少し日差しが強ければ、内部で炭酸が膨張し、ペットボトルが破裂するところまでいったと推測される。

 チョコは比較的溶けにくいアーモンドを包んだものを選んだが、最初はコップのなかを転がっていたチョコも、テスト終了時には溶けて底にへばり付き取れなくなっていた。計算機は液晶が黒ずんだものの、テスト終了時は問題なく使用できる状態まで回復していた。

 今回は途中でコンディションが変わってしまったことで、最高(最悪)の状態を再現することはできなかった。しかし、真夏の炎天下にクルマを置いた場合、高温になった車内でスプレー缶が爆発してフロントガラスに突き刺さるといった事象も報告されているので、ライター、電池、炭酸飲料、スプレー缶などは車内に絶対に放置しないように注意してもらいたい。

【TEST4】 軽自動車と高級車 UVカットに違いはあるか

 近年のクルマは紫外線カット率の高いガラスを採用しており、日焼けの気になる人にも安心して乗れるようになってきた。しかし、軽自動車と高級車という価格差があった場合、その性能に差があるのか気になるところだ。

 放置テストを開始する前に、両車のフロントガラスとサイドガラスを簡易測定器を用いて測ったが、晴れた状態(UV指数10.1。紫外線の強さとしては5段階中4段階目の「やや強い」にあたる)であっても、どちらもUV指数は0.0という結果となった。

 本当なのか? という疑念もあり今回は紫外線にうるさいバナナにも登場願った。半分アルミホイルで包むことで紫外線をカット、アルミホイルありとなしで、どれほど皮が黒ずむかをチェックするのだ。

 結果は3時間放置してもほぼ変化なし。紫外線は車内に届いていないようだった。

 炎天下にクルマを停め、放置していた場合に考えられる危険性を感じていただけただろうか?

 途中にも書いたが、危険物の放置だけでなく、子供やお年寄りは健康な大人に比べて体温調節機能が低い。自分は大丈夫だから、放置しても大丈夫だろうとは思ってはいけないことを、肝に銘じてほしい。

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