アメリカで復活するアキュラ・インテグラ
ホンダがアメリカで「インテグラ」の復活を発表したことが四輪ファンの間で話題となっている。
「インテグラ」=「タイプR」を連想する走り好きな四輪ファンにとっては、スポーツカー復活というムードで捉えられているようだ。
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もっとも、アメリカで発表された「インテグラ」は、ホンダではなくプレミアムブランド「アキュラ」のニューモデルとして用意されることになっている。
現時点ではイメージイラストのみ公表されているが、そこから想像するに5ドアハッチバッククーペとでも言うべきスタイリッシュなモデルとなる模様だ。
パワートレインについては未公表で、タイプRのような刺激的なエンジンを積むとは限らないが、アキュラの発表によれば「プレミアムスポーツコンパクト」という立ち位置で、6速MT搭載モデルが用意されることも明かされている。
「インテグラ」を名乗る二輪・四輪の歴史
ところで「インテグラ」というのは、二輪と四輪の両方で使われたことのある珍しい例として挙げられることが多い。以下、その歴史を整理してみよう。
1982年6月29日 初めて車名にインテグラが用いられた「CBX400Fインテグラ」登場(二輪のサブネームとしての使用)
1982年8月20日 「CB750Fインテグラ」が登場
1982年9月28日 「CBX550Fインテグラ」が登場
1983年6月14日 「VT250Fインテグラ」発表
1983年6月21日 「MBX80インテグラ」発表
1984年1月12日 「VF400Fインテグラ」発表
1985年2月19日 四輪で初めてインテグラの名が用いられたニューモデル「クイント・インテグラ」誕生
1989年4月19日 四輪が「インテグラ」の単独名称に変更。VTECエンジン搭載
1993年5月20日 四輪の「インテグラ」がフルモデルチェンジ。1.8L化
1995年8月24日 インテグラに初めて「タイプR」が登場
2001年7月2日 インテグラ、インテグラ・タイプRがフルモデルチェンジ。2L化
2006年 インテグラ生産終了
2012年4月17日 二輪のニューモデル「インテグラ」として名称が復活
2014年1月14日 二輪「インテグラ」が700cc→750ccへと排気量アップ
2016年 二輪「インテグラ」生産終了(販売は2017年まで続けられた)。海外向けのみ残るが、その後、生産終了。X-ADVやフォルツァ750(海外向けモデル)が後継を担う。
2021年8月13日 アメリカで「アキュラ・インテグラ」の復活を発表
*日付は「メーカー発表日」を基準
1980年代、二輪のサブネームとして使われ始めた「インテグラ」は、フェアリング(カウル)装着モデルのサブネームという意味合いがあった。そのため、CBやVT、VFなど車種をまたいで使われたのだ。
その由来が、統合するという意味の英語「インテグレート」にあることを考えると、フェアリングをつけた状態を「インテグラ」と表現したのは腑に落ちる話だ。
カウルを装備したバイクの車名として使われ始めた「インテグラ」
そのまま二輪で使われるのかと思いきや、その直後に四輪にトレードされる。
そもそもは「クイント」という5ドアハッチバック車があった。
クイントはラテン語で5番という意味だから5ドア車の名前としては、まさに名は体を表すものだったが、フルモデルチェンジにおいて3ドアハッチバックなどバリエーションを増やすようになると都合が悪い……。
そこで最初は「クイント・インテグラ」として使われ、その次のモデルチェンジにて「インテグラ」という単独名称になっている。
このリトラクタブルヘッドライトのスタイリッシュなモデルは、アメリカでスタートしたアキュラ・ブランドの最初のモデルとして「アキュラ・インテグラ」として発売された。
北米ではアキュラのルーツという歴史的なモデルでもあったのだ。
日本ではインテグラ=タイプRのイメージが強い
一方、日本では「インテグラ」といえばタイプRというイメージが強い。
1989年デビューの「インテグラ」単独名称となったモデルは、はじめてカムをロー/ハイと切り替える機構を持ったVTECエンジンを搭載した。
それによって一気にスポーツモデルとしての認知度が高まった。
さらに1993年にフルモデルチェンジした際に、VTECエンジンを1.6Lから1.8Lへとスープアップ。
1995年には、そのエンジンをファインチューンしたうえに、ボディ補強や大型リヤウイングなどを与えたタイプRを登場させた。
タイプRとしてはNSXに次ぐものだが、多くの人にとって「手が届く最初のタイプR」となりファンが飛びついたのだ。
2001年には2.0LのVTECエンジンを積んだインテグラへとフルモデルチェンジを果たす。
3ドアハッチバックのスポーティなスタイルは完全に走りメインのモデルとなった。エンジンの最高出力は220馬力、もはやコンパクトクラスではなく、立派なスポーツカーへと成長していた。
とはいえ、ハイブリッドが主役となりつつあった21世紀初頭、スポーツカー冬の時代にインテグラは生き残ることはできず、2006年に生産終了してしまう。
2012年に二輪で復活した「インテグラ」
そんな「インテグラ」の名が、突如復活したのは2012年。
実用的な大型二輪というコンセプトで生まれた700cc並列2気筒エンジンを搭載する「NCシリーズ」のバリエーションモデル(DCT専用のスクータータイプ)として登場したのだ。
フルカウルという点では1980年代前半のインテグラに通じるものもあったが、いわゆるタイプR的な世界観とはまったく異なる都会的でスマートなモデルだった。
二輪・四輪で車名を使い回す背景
このように名前が消えたり復活したりするのは商標登録の関係がある。
過去に使用した名前についてはモビリティ製品における商標をホンダが持っているのはもちろんのこと、各国での使用についての問題もクリアになっていることが明らかで、またイメージが極端に離れていなければ、二輪・四輪で使い回すのは理にかなっている。
そもそも、ホンダは二輪と四輪のいずれでも使えることを前提に商標登録しているという話もある。
国内向けの話でいえば、軽自動車で使っていた「トゥデイ」という名前を、後に原付スクーターで復活したというケースもあるが、名前の持つイメージと商品企画が合致していたこともあって、いずれもすんなりとなじんでいた印象がある。
同じく原付スクーターでいえば、水冷エンジンに可変トルク増幅排気システムを組み合わせたスポーツモデルの「ビート」という名前が、すぐ後に世界初のミッドシップ2シーターオープンモノコックボディの軽自動車に与えられたことも有名だ。
ちなみに、軽自動車のほうの「ビート」はギリギリまで違う名前と迷っていたというが、もう一つの候補は「デュオ」というものであって、こちらも響き的には原付スクーター「ディオ」を似ているのはおもしろい。
ほかにも、後輪を二輪とした三輪スクーター「ストリーム」の名前が後に5ナンバーサイズのコンパクトミニバンに与えられたり、250ccのネイキッドモデルに付けられた「ジェイド」という名前が全高の低い3列シートミニバンに使われている。
このように二輪と四輪の両方で兼用された名前というのは意外にたくさんあるわけだが、中でも二輪→四輪→二輪→四輪と交互に使われた例は「インテグラ」だけである。
それだけホンダというブランドと親和性に優れた名前ということだろう。
ただし「インテグラ」の4回を超えるのが、四輪→二輪→四輪→四輪→二輪として何度も転生を繰り返した「ジャズ」という名前だ。
最初は日本でいう初代シティの海外版、その次がアメリカンタイプの原付モデル、そしていすゞからのOEMモデルに付けられ、その後フィットの欧州版などの名前として使われつつ、カナダでは50ccスクーター(日本名:クレアスクーピー)の名前として使用されるなど、同時に二輪・四輪で存在していたことのある、じつは希少な名前なのである。
レポート●山本晋也 写真●ホンダ/八重洲出版 編集●上野茂岐
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みんなのコメント
スズキも使い回しの車名でバンディットやハスラーがありますね。
あと、スクーターのモードGTとセルボモードとか