フォーミュラEシーズン10の第2戦、第3戦はサウジアラビアのリヤド近郊、デルイーヤの市街地での連戦だ。2018年からこのデルイーヤで開催されており、各チームはデータも蓄積できているが、砂漠の砂の影響か路面は非常にスリッピーでタイムを出すのが難しい状況だ。
シーズン9のタイムより軒並み4~5秒ほど遅いタイムが物語るように、マシンやタイヤ、パワートレインに変更がないにも関わらず、各チームは苦労していた。
そうした中グループ予選のA組、B組が行dなわれ、上位4台がデュエルスに進出。A組ではニック・キャシディ(ジャガーTCS)、ジェイク・デニス(アンドレッティ/ポルシェ)、パスカル・ヴェアライン(TAGホイヤーポルシェ)、ミッチ・エバンス(ジャガー)の4台が通過。
「ERT」(旧NIO)セッテ・カマラB組ではジャン・エリック・ヴェルニュー(DSペンスキー)、セッテ・カマラ(ERT/旧NIO)、マキシミリアン・ギュンター(マセラティMSG)、ノーマン・ナトー(アンドレティ/ポルシェ)がデュエルスに進出したが、番狂せとなったのは旧NIOのERTチームのセッテ・カマラだ。
グループ予選終了間際の最終アタックは、マシンが接近するトレイン状態でのアタックとなったため、幸運と不運が混在するグループ予選となってしまった。その恩恵と思われたセッテ・カマラだが、このあとのデュエルスでもギュンターを破る速さを見せ、ERTの実力がレベルアップしていることがわかる。
デュエルス予選ではジャガーのエバンスとキャシディのチームメイト同士の戦いがあり、エバンスが勝ち上がった。この二人の直接対決はこれで2勝同士の完全イーブンの成績となった。そしてマセラティのギュンターをセッテ・カマラが破り、ヴェルニューはナトーとの戦いでファステストをマークして勝ち上がった。
セミ・ファイナルでは好調デニスをエバンスが破り、セッテ・カマラはヴェルニューに敗れて、快進撃もここで止まった。決勝は久しぶりにヴェルニューがポールポジションを獲得。ヴェルニューはシーズン4、5のシリーズチャンピオンで、シーズン1から参戦しているベテランだ。マシンがGen3に変わってからDSチームは少し精彩を欠いていたものの、このレースではポールを獲得し、実力を見せつける結果になった。
「ジャガー TCS」 ミッチ・エバンス「DSペンスキー」ジャン・エリック・ヴェルニュー(手前)決勝
ポールポジションはヴェルニュー、2位エバンス、3位デニス、4位セッテ・カマラ、5位ナトー、6位ヴェアラインという順で、ジャガー、ポルシェ、DSそしてERTのパワートレイン対決になった。注目の日産はオリバー・ローランドが14位、サッシャ・フェネストラズが15位と精彩を欠いている。
ナイトレースで始まったオープニングラップでは、セッテ・カマラが果敢に上位を目指し、2番手に浮上したかに見える飛び込みを見せるものの、ポジション通りの4番手でオープニングラップを終える。一方、日産のサッシャはマシントラブルが発生し、早くもピットに戻りリタイヤとなってしまった。
レース展開はトップ集団の3台、4台は早めにアタックモードを消化する作戦で、ポールのヴェルニューは4周目に最初のアタックモードを使い、その翌周にはエバンスも入り、7周目にはヴェルニューが2回目のアタックモードを使っている。そのため、順位は目まぐるしく変わるものの、それぞれがアタックモードを使った分だけポジションダウンを繰り返すので、上位4台がアタックモードを使い終わった時点ではスタートの順からは変更がない状態にもどるわけだ。
こうして37周で争われるレースも10周を終えた時点で上位3台はアタックモードの8分間を消化しているが、順位争いをしている間にトップに立ったデニスが逃げるタイミングを掴む。14周目2位争いのエバンスとヴェルニューが争っている隙にデニスは逃げ、さらに16周目になるとナトー、セッテ・カマラ、バード、キャシディも追いつき、混戦になっていく。
中盤、22周目にはデニスがトップを独走し、2位に3秒以上のリードを稼いでいる。しかも2位のベルニューのバッテリー残量は36%で、独走するデニスは38%あり、エネルギーマネージメントでも優位な状況を築いているのだ。
終盤、32周目、上位陣で唯一アタックモードを消化していなかったキャシディがエバンス、バードとの間に入りアタックモードを消化する。トップのデニスは3.7秒に広げ、ライバルらの視界から消えているほど先行している。ヴェルニュー、エバンス、キャシディ、バードは団子状態で2位争いをし、最終ラップにエバンスがヴェルニューに仕掛けるものの、オーバーランを喫し、惜しくも5位フィニッシュとなった。
結果、デニスの完勝、2位ヴェルニュー、3位キャシディ、4位バード、5位エバンス、6位ナトーという結果になった。予選から決勝の序盤までいい走りを見せていたセッテ・カマラは9位フィニッシュだった。また日産のローランドもいいところなく13位フィニッシュでポイント獲得とはならなかった。
「アンドレッティ/ポルシェ」ジェイク・デニスパワートレインで見るとポルシェ、DS、ジャガー、ニッサンであり、マクラーレンのバードはニッサンPTなだけに、ワークスチームである23号車、22号車には上位争いをしてもらいたい。開幕戦では前年に続きジャガーVSポルシェかとおもわれたが、ここにきてDSが復活し、マクラーレン/ニッサンにも期待が持てる状況となり、次戦の展開が楽しみになった。
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★第1戦 メキシコシティ
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