もくじ
ー バッジとライト以外 丸見え
ー 価格367万円 航続距離330km
ー 今後も増えるIDファミリー
ー サイズはゴルフ並み、車内は中型車並み
バッジとライト以外 丸見え
フォルクスワーゲンの新型電気自動車「ID.3」が、またもやドイツ郊外で目撃された。今回はほとんど隠されていない姿で現れた。
同社で初めてEV専用に開発されたモデルとなるID.3は、これまで公式に公開された姿ではダズル迷彩柄のラッピングで覆われ、正式発表前に細部が明らかになることを防いでいた。しかし、今回目撃された車両は、バッジやライトの一部が黒いビニールで隠されているものの、全体のデザインがはっきりとわかる。
フォルクスワーゲンは先日、今年後半に生産が始まるID.3の充電やバッテリーに関する情報を明らかにした。
ID3に搭載されるリチウムイオン・バッテリーは、現在市場で販売されている他の量販EVに先駆け、最大125kWの急速充電に対応するという。今のところ、この急速充電に対応しているのは、アウディe-トロンやテスラ・モデルXなどのプレミアムEVだけである。
フォルクスワーゲンは、ID.3のバッテリーが8年または16万kmを経ても、「少なくとも70%」の性能を維持すると保証している。
フォルクスワーゲン・グループは電動化推進戦略の一環として、2025年までに3万6000カ所の充電ステーションを欧州に設置すると発表した。ID.3のオーナーはこれらの充電施設を使って夜間または就業中に愛車のバッテリーを充電しておける。
また、新たに発表されたウォールボックス型充電器は、最大11kWのAC充電が可能。従来の230Vコンセントにつなぐ充電器よりも早く充電できる。急速充電ステーションを利用すれば、ID.3は30分の充電で260kmの距離を走行できるようになる。
価格367万円 航続距離330km
ID.3の初回限定モデルとして発売される「ID.3 1st」が搭載する航続距離420kmのバッテリーは、3種類の容量が用意されるバッテリーの中で中間グレードに相当する。フォルクスワーゲンでは、このバッテリー容量を選ぶ顧客が最も多いと見込んでいるという。3万ユーロ(367万円)という価格が付けられたエントリー・レベルの仕様は航続距離330kmとなる。最も容量が大きなバッテリーの航続距離は550kmだ。これら3種類のバッテリー容量は、それぞれ45kWh、58kWh、77kWhだと思われる。
ルノー・ゾエのライバルとなるID.3は、フォルクスワーゲンによれば3万台限定となる1stエディションに、生産予定台数の半数を超える予約が既に入っているという。
欧州の29の地域に住む人であれば、1000ユーロ(12万2000円)の申込金を払ってID.3 1stを予約することができる。ID.3 1stのドイツ本国における販売価格は4万ユーロ(490万円)で、納車は2020年4月から始まる予定だ。
5月初旬、フォルクスワーゲンは1週間で1万5000件の予約を受け付けたと発表した。最も多いのはドイツで、次にノルウェー、そしてオランダ、英国が続くという。具体的な各国ごとの販売予定台数は明らかにされていない。
予約開始時にはフォルクスワーゲンのITサーバーに顧客からのアクセスが集中し、一時的に処理が重くなるという問題も起きたという。
今後も増えるIDファミリー
ゴルフと同等サイズのID.3は、今年9月のフランクフルト・モーターショーで正式発表される予定だ。その後、ID.3 1stを事前予約した顧客は実際に注文するトリムを3種類の中から選択することになる。通常生産モデルのID.3も、それから受注が始まる。
フォルクスワーゲンによれば、ID.3の「3」は、社内でコンパクトAセグメントを示す数字であると同時に、過去のビートル、ゴルフに続く、3番目の新たな時代の扉を開くという意味が込められているという。将来的にこれより大型と小型のモデルが登場する可能性も示唆する。
フォルクスワーゲンの販売部門を率いるユルゲン・シュタックマンは、ID.3の事前予約開始が「ビートルとゴルフに続く、ブランドの歴史における戦略的に非常に重要な3番目の時代の扉を開くことになります」と語り、「ID.3により、私たちは電気自動車を手の届くものとします」と付け加えた。
「(ID.3は)フォルクスワーゲンにとって画期的な出来事です。世界は現在、変革の過程にあります。フォルクスワーゲンはその一端を担うだけでなく、この変革を進展させていきます」
「われわれはパワートレイン戦略の集中化を追求しているところです。フォルクスワーゲンは首尾一貫してバッテリー電動システムを選択してきました。これは現在、CO2排出量の削減に最も効率が良く、野心的なCO2削減目標に適合します。Eモビリティはわれわれの主要テクノロジーになるでしょう」
IDシリーズのラインナップは今後、10まで増加すると見られている。これまでコンセプトとして発表されてきたSUVのID Crozz、セダンのID Vizzion、ミニバンおよび商用バンのID Buzz、高級SUVのID Roomzzという名称は、市販化される際には数字に置き換えられることだろう。さらにAUTOCARでは、同社がエントリー・レベルの「ピーブルズカー」も開発中であるという情報を得ている。
サイズはゴルフ並み、車内は中型車並み
最初に欧州で発売される限定モデルのID.3 1stは、4つのボディカラーから選べ、大径ホイールが全車標準装備される。3つのモデルで最も安価な「ID.3 1st」でも、ボイスコントロールやナビゲーション・システムといった「充実した装備」が与えられる。中間グレードの「ID.3 1st Plus」では、運転支援システムの「IQ. Light」、2トーンカラーのエクステリアとインテリアが追加される。そして最上級の「ID.3 1ST Max」には、大型パノラマ・ガラスルーフ、AR(拡張現実)テクノロジーを採用したヘッドアップ ディスプレイといった装備が含まれる。
フォルクスワーゲンによれば、ID.3 1stを事前予約した顧客には1年分の電気(最大2000kWh)が無料となるサービスが提供されるという。オーナーはフォルクスワーゲンの充電アプリ「We Charge」に対応した欧州の充電ステーションに加え、フォルクスワーゲンが資本参加しているIONITYの急速充電ネットワークを利用することができる。さらにフォルクスワーゲンはテスコと提携し、2020年までにテスコのスーパーマーケットに600台の急速充電設備を設置するという。
ID.3のサイズは全長4100mm×全幅1800mm×全高1530mm。7代目の現行型ゴルフと比べると、155mm長く、9mm幅広く、77mm背が高い。しかし、電動パワートレインを採用しているため、車内は外寸の差以上に広くなるだろう。フォルクスワーゲンの販売部門を率いるユルゲン・シュタックマンは、「外から見ると、ID.3の大きさはゴルフと変わりません。しかし車内に入ると、ミディアムサイズのクルマと同じくらい広々としています」と語っている。
ID.3の生産はドイツのツウィッカウにあるフォルクスワーゲンの工場で、今年の終わり頃から始まる予定だ。同社は2020年に10万台以上、その後は年平均11万台の販売を目指している。これは次の10年間に1000万台以上の電気自動車を世界で販売するというフォルクスワーゲンの目標の一環である。
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