■ホンダで1番売れているクルマ
ホンダのコンパクトミニバン「フリード」。同社の屋台骨を支えるベストセラーモデルとなっていますが、その魅力はどこにあるのでしょうか。
2代目となる現行モデルは、2016年のデビューから5年が経過しているにもかかわらず、好調な販売となっています。
2021年4月のフリードの登録車月間販売台数は、9位の5426台となっており、ライバルのトヨタ「シエンタ」を上回るほか、同社のコンパクトカー「フィット」をも抜いて、ホンダの登録車としては一番売れているクルマです。
初代フリードは「モビリオ」の後継車として2008年5月に登場しました。
「This is サイコーに ちょうどいい Honda!」のキャッチフレーズとショーン・レノン氏が登場するCMが話題となりました。
モビリオがヨーロッパのトラム(路面電車)をイメージしたデザインだったのに対し、初代フリードは躍動感のあるアクティブなスタイリングで幅広い層に好評を得た結果、発売当初から好調な販売を記録。
その後、2016年9月に2代目となる現行モデルが発売され、2017年12月にコンプリートモデルとして「モデューロX」を追加。2019年10月には内外装デザインの刷新やSUVテイストを盛り込んだ「クロスター」というグレードが追加されました。
現在もミニバンジャンルで好調ですが、その要因はどこにあるのでしょうか。ホンダの販売店スタッフは次のように話しています。
「初代フリードのキャッチコピーにもあったように、やはり『ちょうどいい』ということに尽きるのではないでしょうか。
コンパクトなボディに広い室内、使い勝手のいいスライドドア、安全装備も充実し燃費も悪くないなど、大きな欠点がないことがお客さまにとっては選びやすいポイントとなっているようです」
※ ※ ※
SNS上でも「今でも最高にちょうどいいホンダ」や「大きすぎないので取り回しがしやすくちょうどいい」といったコメントが見られました。
フリードの車名の由来は「Freedom(自由)からの造語。従来の常識や定石にとらわれることなく、どこまでも自由な発想で追い求めたクルマ、また、Free(自由な)+do(行動する)という意味がありますが、コンパクトミニバンというジャンルを自由な新しい視点で捉えなおしたことが、人気の背景にあるといえるかもしれません。
■フィットよりフリード? その訳は?
これまで、ホンダのベストセラーカーといえば、まずはフィットの名前が挙がります。
しかし、発売して1年程度のフィットより、発売から5年が経過しているフリードのほうが販売台数が多いのには、昨今ならではの事情もあるようです。
前述の「ちょうどいい」という言葉で表されるように、フリードは、フィットの利便性を維持しながら、さらなる使い勝手の良さが与えられています。
実際に、5.2mというフリードの最小回転半径は、フィットの上級グレードと同水準である一方、全長はフィットに比べておよそ200mm程度の追加にとどまっており、全体的なサイズ感はフィットと大きく変わりません。
また、2列シート(5人乗り)、3列目シート(6-7人乗り)と用途に応じた選択肢の広さもユーザーが検討しやすいポイントといえます。
さらに、ミニバンという使い勝手面でもポイントがあるといい、フリードの3列目シートは左右に跳ね上げるタイプで、ライバルのシエンタは床下に収納する方式を採用しています。
シエンタの場合、3列目シートを収納するには2列目シートを折りたたむ必要があります。
そのため、3列目シートを利用する機会の多いユーザーは、そのまま跳ね上げるだけのフリードを選ぶケースが多いようです。
それ以外にも、2列目シートに独立式のキャプテンシートを選択できるのも、シエンタにはない魅力として評価されているようです。
フィットをしのぐほどの人気を見せるフリードについて、前出のホンダ販売店スタッフは「新型コロナ禍で休日の過ごし方も変化しており、アウトドアなど、アクティブなレジャーを楽しまれる人が増えていることがフリード人気の背景にあるのかもしれません」と説明しています。
※ ※ ※
フリードが好調な背景には、2列シーン/3列シート、SUVテイストのクロスターなど、ユーザーの細分化するニーズに対応していることが挙げられるのかもしれません。
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