BMW M5と同じ自然吸気の4.9L V8
ポルシェ911 カブリオレやアストン マーティンDB7 ヴァンテージ・ヴォランテなどのライバルとして、2000年に登場したのがBMW Z8。クラシカルなスタイリングだけでなく、製造品質や動力性能は申し分なく、AUTOCARでも高評価を与えている。
【画像】美しいハンドメイド・ボディ BMW Z8 同時期のZ3 現行のZ4 M4とM8のオープンも 全94枚
しかし、価格はMTのポルシェより1万3000ポンドも高かった。結果として、悩ましい選択に迫られた人は多かった。直進加速は見事だったが、ハイエンドのBMWへ求められる、繊細さや上質さには欠けていた。
そんな事実から、Z8が完璧ではなかったと記憶している読者も少なくないだろう。とはいえ、弱点のないモデルなど存在しない。ポルシェ911がガレージに収まっていながら、15万ポンド(約2790万円)をつぎ込んでZ8を購入したとしても、納得はできる。
美しいスタイリングは、1950年代後半のBMW 507を彷彿とさせるもの。長いボンネットに収まったエンジンは、400psを発揮する自然吸気の4.9L V8。E39型BMW M5と同じユニットだった。希少なクラシックカーとして、魅力を高める事実といえる。
前後の重量バランスを改善するため、搭載位置はフロントアクスルの後ろ側。トランスミッションは、ゲトラグ社製の6速マニュアルで、後輪駆動のみの設定だ。
リミテッドスリップ・デフの設定はなかった。路面コンディションが優れない場面では、限界領域での挙動が予測しにくくなる可能性は高い。
殆どが職人による手作り 映画007にも登場
発表当時のZ8の価格は、8万4000ポンド。殆どが職人による手作りだったことは、特筆に値するだろう。それでいながら、ボディパネルのフィット感や内装の仕上げは、高水準なBMWの量産車へ並ぶほど高い。
英国へ輸入されたZ8は、約100台。左ハンドル車のみの提供だった。
シャシーはアルミニウム製のスペースフレームで、極めて強固。ボディもアルミ製だから、もし事故を起こしたら、簡単には修理できない。ソフトトップは電動で動くが、最後に手で固定する必要がある。
BMWのZ8は2003年に生産が終了するが、入れ替わるようにアルピナから独自仕様が発売された。これには、ステップトロニック付きの5速ATが搭載されていた。
インテリアは、ダッシュボード中央にメーター類が集約されたデザインが特長。前方視界を広く取るという考えによるレイアウトだった。見た目をシンプルにするため、主要な操作系が集約されてもいる。
内装の素材は最高級。プラスティック製部品も見られるが、その仕上げも美しい。
カリフォルニアの丘陵地帯を運転した自動車ジャーナリストの1人は、キャビンの主張が強すぎ、レトロ過ぎると感じていたものの、スタイリングは素晴らしいと絶賛した。ドライビングポジションは、完璧だったという。
ちなみに、1999年の映画007「ワールド・イズ・ノット・イナフ」には、ボンドカーとしてZ8が登場している。劇中では、モックアップだったが、のこぎりで切断されてしまうのだが。
新車時代のAUTOCARの評価は
アストン マーティンとポルシェを諦めて、Z8を選ぼうという気にさせる。だが、美しい姿だけではない。
一部の荒れた路面では、驚くほど強固なアルミニウム製モノコック構造が、印象的なまでに洗練された乗り心地を披露。コーナーの途中に凹凸があっても、ラインを乱すことはない。(2000年3月1日)
専門家の意見を聞いてみる
ポール・マイケルズ氏:ヘキサゴン・クラシックス社
「BMWのディーラーを45年ほど経営しているので、Z8のことは1999年以来良く知っています。ロールス・ロイスを製造し始めるまで、BMWにとって初となるハンドメイド・モデルでした。その品質は、本当に素晴らしいですよ」
「サスペンションは、通常のラジアルタイヤを前提に開発されましたが、発売時にランフラットへ変更されています。ラジアルタイヤへ組み替え、フロント・ストラットブレースとショートシフターを組むと、運転体験が見違えます」
「Z8の多くはシルバーに塗られたので、ジェット・ブラックは珍しいですね。弊社では、走行距離3万7600kmの車両を、19万9995ポンド(約3719万円)で販売中です」
購入時に気をつけたいポイント
ボディ
アルミニウム製ボディは、完璧である必要がある。今後の価値を考えれば、一切の事故を避けたいところ。トノカバーのプラスティック製部品の割れや、リアスクリーンとソフトトップの状態をしっかり観察する
エンジン
ホースやソケット類など、ゴムやプラスティック製部品の状態を確認する。バノスと呼ばれる可変バルブタイミング・システムは、不調を起こす場合がある。パワー不足や回転の乱れ、ガソリン消費量の増加などの症状が現れる。
状態の良いエンジンは、僅か500rpmから6速で加速できる。そのまま、7000rpmまで引っ張れるはずだ。
トランスミッション
シフトレバーは重め。クイックな変速をお望みなら、ショートシフターを組むと良いだろう。クラッチペダルは軽い。クラッチは滑りがないか確かめたい。早い場合は、5万km程度で交換が必要になる。
サスペンションとブレーキ、タイヤ
フロントのサスペンション・ストラットの状態を確かめる。硬いランフラットタイヤを履いていると、強い衝撃で変形してしまう場合がある。アライメントが狂うことも。
ブレーキフルードは、2年に1度の交換が必須。タイヤの状態と、ホイールの腐食やガリキズも観察したい。
インテリアと電気系統
DSCにEBD、ABS、CBCといった警告灯が、走行中に消えているか確認する。内装はレザーの破れ、ダッシュボードの傷みなどを確認する。グローブボックスの蓋の開閉具合や、カーペットの不自然なシミなども要チェック。
知っておくべきこと
BMWはZ8の発売時に、50年間は維持できるように部品を供給すると約束した。ところが、既に一部の部品は入手が極めて難しい。そのかわり、OEMのサプライヤーからクラッチキットやウォーターポンプなどが提供されている。
英国にはBMWのオーナーズクラブが存在し、Z8の情報も共有されている。修理や整備を受けてくれるガレージも、英国には複数存在する。だが今後の価値を考えれば、定評のあるBMW専門店や、古くからの正規ディーラーを頼りたい。
英国ではいくら払うべき?
13万ポンド(約2418万円)~15万9999ポンド(約2975万円)
走行距離が6万km以上のZ8が、英国では売られている価格帯。それでも丁寧に扱われ、整備記録なども整っているようだ。
16万ポンド(約2976万円)~17万9999ポンド(約3347万円)
走行距離が6万kmを切るようなZ8を、英国では探せる。
18万ポンド(約3348万円)以上
新車に近いZ8をお探しなら、この価格帯から。
英国で掘り出し物を発見
BMW Z8 登録:2000年 走行距離:11万1000km 価格:12万9000ポンド(約2399万円)
4オーナーのZ8。売りに出されてから数か月経過するが、売り手は数名からの申し込みを断ったらしい。現在の英国で売られているZ8の中で最安値だが、理由は走行距離。しかし整備は行き届いていて、調子は良いようだ。25年間、走れる状態が保たれてきた。
申込み最短3時間後に最大20社から
愛車の査定結果をWebでお知らせ!
申込み最短3時間後に最大20社から
愛車の査定結果をWebでお知らせ!
愛車管理はマイカーページで!
登録してお得なクーポンを獲得しよう
「バスが発進しようとしたので、急いで前に詰めたら、鳴らされました。運転手は懲戒処分ですよね?」質問に回答殺到!?「常識外れ」「もう運転やめてくれ」の声も…法律では誰が悪いのか
6速MTあり! 全長4.5m級“ちょうどいいサイズ”の「新型スポーツカー」が凄い! 480馬力“直6ツインターボ”×FRのみってサイコー! 新型「BMW M2」どんなモデル?
11月1日から装着義務化されたバックカメラは一度味わったらもう手放せない! 1000円台から買える後付けカメラって大丈夫!?
“約214万円”からのトヨタ「新型SUV」正式発表! 「RAV4」サイズの快適モデル!? 25年3月に「bZ3X」発売、衝撃価格で中国に投入
ホンダの「高級ミニバン、復活」に反響多数!? 2年ぶりの登場で話題に! 再投入の理由は? 発売から約1年 「オデッセイ」の現状いかに
新型「クラウンパトカー」発見にSNS騒然!? 発売から2年 そもそもパトカーとして“使える”のか?
「バスが発進しようとしたので、急いで前に詰めたら、鳴らされました。運転手は懲戒処分ですよね?」質問に回答殺到!?「常識外れ」「もう運転やめてくれ」の声も…法律では誰が悪いのか
「右車線ずっと走って何が悪いんですか?」質問に回答殺到!?「捕まるよ」「違反です」の声も…投稿者は「後ろから煽るほうが悪い!」と主張 法律ではどちらが正しいのか
【ハイブリッドは本当に自社開発】次期「CX-5」に公式の新情報3つ。予想より発売が遅れる可能性も
すべての国産車が高くなるワケじゃない!? 名車になり損ねた国産スポーツ三菱GTO
申込み最短3時間後に最大20社から
愛車の査定結果をWebでお知らせ!
申込み最短3時間後に最大20社から
愛車の査定結果をWebでお知らせ!
店舗に行かずにお家でカンタン新車見積り。まずはネットで地域や希望車種を入力!
みんなのコメント
Z8のボディを採用したアルピナがありATの設定があった。このクルマの性格上ATのアルピナの方が正解だと思う。
Z8はロードスターでMTでMエンジンは優雅さに欠ける。