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消防車もオラオラが必要? お国柄が出る日米の消防車で決定的な違いとは

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消防車もオラオラが必要? お国柄が出る日米の消防車で決定的な違いとは

■ボディの大きさや色など…さまざまな部分で異なる日米の消防車

 かつては国内で見る機会はほとんどなかったアメリカの消防車ですが、最近では米軍基地の友好祭や防災車両の展示イベントなど、日本で目にする機会が増えてきました。米軍横須賀基地の消防車が基地の外に出て、消火活動を手伝う例もあります。

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 アメリカの消防車は日本の消防車に比べるととても派手で大きいというイメージですが、じつは決定的な違いがあります。具体的にはどこが違っているのでしょうか。

 アメリカにも小ぶりなサイズの消防車はありますが、やはり主流はビッグサイズの消防車です。

 日本の一般的な消防車は普通免許で運転可能な3.5t未満の最小クラスは全長5.2m(モリタCD-I型消防ポンプ自動車)で、全長6.5m前後のものが主流となりますが、アメリカの消防車はその1.5倍程度の大きさがあります。

 また、日本では消防車といえば朱色に近い赤と決まっていますが、アメリカでは赤色そのものからして深みのあるワインレッドのような色味が多いです。さらに、黄色やライムグリーンなど、赤以外の消防車も存在しています。

 大きさや色の違いに加えて、バンパーにも注目です。救助工作車などウインチを搭載している車両を除いて、日本の消防車はバンパーがほとんど出っ張っていないのであまり目立ちません。

 一方、アメリカではバンパー部分が荷台を兼ねる構造の消防車もあり、大きくかなり前にせり出すような形状になっています。

 また、この巨大なバンパーは、アメリカのパトカーに装備されている、逃走車両に体当たりしたり、捜査の障害となる違法駐車車両を押し出したりする「ブッシュバー」に近い働きをすることもあり、消火活動や救急救命活動、交通事故処理などの際、邪魔になる障害物をグイグイ押し退けて移動することもあるそうです。

 日本の消防車の場合は、いかに周囲に迷惑とならないよう消火活動をするかということを消防のポリシーとしているため、たとえ違法駐車車両であってもバンパーで押しのけることは絶対にしないでしょう。

 日本の「消防ポンプ自動車の安全基準艤装等」には、「乗員席及び消火活動する部分にあっては、鋭利な物体又は端部が露出していないこと。また、人が接触するおそれのある可動部分及び高温となる部分については、危害防止の措置が講じられていること」とあるので、アメリカの消防車のような飛び出したバンパーは危険物とみなされているようです。

 さらに、アメリカの消防車は「水槽付き」が一般的です。日本の消防車にも水槽付きの消防車は存在しますが、アメリカは水槽付きがほとんどだといいます。

 アメリカで水槽付きの消防車が主流となる理由について、国内の消防車トップメーカーであるモリタホールディングスの広報室に聞いてみました。

「アメリカは国土の広さもあって地域によっては消防水利まで距離があってすぐには使いづらい場合もあります。

 消火栓の整備状況を考慮して、初期消火を迅速に行うため水槽付きの消防車が一般的です。

 日本は市街地を中心に、消火栓を含む消防水利が比較的確保しやすい状態なので、水槽を装備していないことが多いのです」

 アメリカの消防車は、ベースとなるトラック自体が大きいことに加え、水槽付きのものが多いため、全般的にボディが大きくなっているといえそうです。

■日本の消防車のホースは左右に装備されているけどアメリカは?

 日本とアメリカの消防車の違いは、ほかにもあります。それはメーターやスイッチ類の多さです。アメリカの消防車は、ざっと数えただけでも30近いメーターやスイッチが並んでいます。

「消防士の重要な仕事は消火活動や救助活動ですが、同じくらい重要なことのひとつに、水圧を常にチェックしながら水量を管理するという仕事があります。

 これは日本もアメリカも同じなのですが、日本の消防車は操作系が左右に分かれており、モリタの消防車では『eモニター』というモニターで圧力や流量が瞬時にわかるようになっています。

 アメリカの消防車は操作系が一か所に集約されているため、メーターやスイッチ類が多いように見えます。

 また、日本はポンプから出る部分の圧力を確認するのが一般的ですが、アメリカの消防車はポンプから出たところのほかに、吐水口それぞれの圧力計がついています。圧力をチェックする部分が多いことから、メーターの数も多くなっています」(モリタホールディングス広報室)

 さらに、消防車を見ただけでわかる決定的な違いは、操作パネルやホースの配置です。日本の消防車は左右対称に両側についていますが、アメリカは片側だけです。

 日本は住宅密集地など狭い場所で消火活動をすることも多く、操作盤やホースが左右両側についていることで、消防車の位置に関わらずどちらからでもスムーズに消火活動ができるように配慮されています。

 ちなみに、日本とアメリカは側面にホースが配置されていますが、ヨーロッパの消防車は背面(後部)に吐水口がマウントされているのが一般的です。

 これも、ヨーロッパの狭い石畳の道路などで消火活動をする際、背面にホースがあれば左右どちらにもホースを伸ばしやすくするための合理的な配置といえます。

※ ※ ※

 車両に関することではありませんが、消防車で消防活動を行う消防士の身分が、日本とアメリカでは大きく異なっています。

 アメリカの消防士の85%が報酬を受けないボランティアで活動しており、消防士の総数は100万人近くに達しています。

 日本にも普段は別の職業を持ちながら消防団員として活動する制度がありますが、身分は特別職の地方公務員です。消防団員には市町村の条例に基づいて、報酬や出動手当が支給されます。

 さらにアメリカのボランティア消防士は給料が出ていないというだけで、訓練や装備はすべて職業消防士と同一で、消火活動以外にも救急救命の仕事、交通事故の処理、有害物質の拡散防止など、対応する緊急事態は広範囲に及んでいます。

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