モータースポーツの世界で輝かしい成績を収めてきたプレミアムブランドは数多いが、なかでも独自の道を歩んできたのがドイツ・ブッフローエに本拠を置くアルピナである。創業初期はBMWのチューナーという立場で欧州ツーリングカー選手権をはじめとする数々のレースで勝利をもぎ取り、1983年には自動車メーカーとして登録されるまでに成長。以来、長年にわたってBMWと良好な関係を築きながら、数々の名車を世に送り出している。そんなアルピナの最新作が、BMW X7をベースとした最上級SUVの「XB7」だ。
アルピナ史上最もパワフルな“ビターボ”
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ラグジュアリーSUVにおいて欠かせないものといえば、何より他を圧倒する“余裕”を持つことだろう。この点でXB7に死角は見当たらない。フロントフード下に収まる4.4リットルV8ツインターボ、アルピナが“ビターボ”と呼ぶエンジンは、2個の大径タービンを備え、インタークーラーやサブ・ウォータークーラーを強化するなど、吸排気効率や冷却性能を大幅に向上。結果、XB7のビターボユニットは、同じクラスのライバルと目されるロールス・ロイス・カリナンやベントレー・ベンテイガV8を凌ぎ、アルピナ史上最もパワフルという621ps/800Nmの高出力を得ることに成功した。しかも出力とトルクの発生回転域はバイエルン製のベースエンジンよりも幅が広げられ、スポーツカーに匹敵するパワーを瞬時に引き出せる柔軟性をあわせ持つこととなった。ドライブトレインには独自の駆動力配分プログラムを設定した4WD機構とトランスミッションのスペシャリストであるZF製の8速スポーツ・オートマチック・ギアボックスを組み合わせ、さらにリヤアクスルには電子制御式LSDを備えるなど、駆動力を無駄なく路面に伝えるよう、入念に手が加えられている。
強大なパワーを受け止める足回りには、取り付け部やブッシュ類を強化したうえで独自のセッティングを施した4輪エアサスペンションが備わる。このエアサスは速度を増すごとに自動で車高を下げて安定性を高めるいっぽうで、オフロードでは車高を上げてグランドクリアランスを確保。つまりどんなシチュエーションでも最適な車体制御を行い、持てるパフォーマンスを最大限引き出してくれる。標準車の足元には前後21インチのダイナミックホイールにランフラットタイヤを装着、オプションとして軽量・高剛性で冷却性能にも優れるフィンタイプの23インチ鍛造クラシックホイールを用意する。前後ブレーキには強大なストッピングパワーを発揮する大径ディスクを奢るなど、制動性能の向上にも抜かりはない。こういったメカニカルな部分の洗練度を高めるのはアルピナの真骨頂。積み上げられた歴史に裏打ちされた仕立ては、SUVを真のラグジュアリーカーへと昇華させるものとなっている。
“ファーストクラス”で往く冒険の旅路
そんな類稀なる動力性能と極上のドライブフィールは、航空機のファーストクラスに匹敵する設えの上質なキャビンで堪能することができる。全長5m超の堂々とした体躯の室内には3列シートを設定し、2列目は3名掛けと独立2座の2種類から選択可能。サイズやスペースに十分なゆとりを持たせた各シートには、適度な張りを持ちつつ、乗員を包み込むような優しい掛け心地のメリノ・レザーを用いて高い快適性を実現した。機能的なレイアウトのコックピットに、赤味の強さが印象的な“ミルテ”ウッドパネルやセンターコンソールのシフトノブにクリスタルをあしらうなど、さりげない洒落心を覗かせるところにアルピナらしいアンダーステイトメントな世界観が見て取れる。また、上質な天然皮革を丁寧に鞣してしっとりとした風合いを持たせたラヴァリナ・レザーやアルカンターラによるルーフライニング、パイピング、ステッチ、エンボス加工など、アッパークラスの顧客のこだわりにもしっかりと応えられる多彩なカスタマイズ・プログラムを用意。X7に元々備わるタッチ・スクリーンやジェスチャーコントロールといった機能装備をはじめ、ドライビング・アシスト・プロフェッショナルなどの安全装備が充実しているのはいうまでもない。
このようにアルピナXB7はSUVとしての基本性能だけでなく、サルーンやスポーツカーにも匹敵する上質さとダイナミズムを高いレベルで融合させた仕上がりとなっている。それこそまさにXB7のテーマである“ファーストクラス・アドベンチャー”を具体化したもの。これまでのアルピナ車のように胸のすくようなエンジンフィールに身を委ねながらハンドリングやフットワークを堪能するもよし、いざとなればアウトドアフィールドでの頼もしさも享受できる。XB7は行動派の紳士を唸らせる最良のパートナーになることは間違いなく、アルピナの新たな名作として歴史に刻まれる一台となるはずだ。
(XB7スペック)
価格:2498万円
全長×全幅×全高:5,165×2,000×1,830mm
エンジン:V型8気筒ツインターボ 排気量:4,394cc
最高出力:621ps(457kW)
最大トルク:800Nm
駆動方式:4WD
威風堂々の存在感を放つフロントには空力性能を高めるアルピナ独自のエプロンを装着。
排気効率を高めたスポーツ・エグゾーストは、フラップの開閉でサウンドを切り替える
4.4リットルV8ビターボは最新のガソリン・パティキュレート・フィルターを用いてCO2排出量を低減。
室内には天然レザーをあしらい、独特な色合いのウッドパネルやステッチなどで上質さを演出する。
2列目は写真の独立2座タイプの他に3席仕様も選べる。リヤ・エンターテイメントも充実。
開放感が味わえる広々としたスカイラウンジ・パノラマ・ガラス・ルーフはオプション。
23インチは伝統のフィンタイプ・デザインで、軽量・高剛性を謳う鍛造ホイールとなる。
撮影協力:八芳園
【問い合わせ先】
ALPINA CALL:0120-866-250
文/桐畑恒治(AQ編集部)
自動車専門誌『CAR GRAPHIC』で編集記者として取材・執筆から進行管理のデスク業務を担当したのち、ライター・エディターとして独立。専門知識を軸に読み手の知的好奇心を刺激する記事の執筆を心がける。
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