もくじ
ーはじめに
ー意匠と技術 ★★★★★★★☆☆☆
ー内装 ★★★★★★★★☆☆
ー走り ★★★★★★★☆☆☆
ー使い勝手 ★★★★★★★★☆☆
ー乗り味 ★★★★★★★★☆☆
ー購入と維持 ★★★★★★★★★☆
ースペック
ー結論 ★★★★★★★★☆☆
アウディSQ8 偽装無しテストを目撃 12月発表へ 写真9枚
はじめに
現代において、まっさらな状態から乗用車のフラッグシップモデルをデザインする際、どれほどの市場が車高の高いスタイリッシュなSUVを望んでいるのだろうか。 いまのニューモデルのリリース状況を見る限り、SUVを望まないひとの方が少ないのかもしれない。
今回のロードテストで検証するアウディQ8もそんな1台。アウディのトップモデルであり、クーペ風のスタイリングをまとったラグジュアリーSUVだ。どちらかといえばコンベンショナルなスタイリングを持つ、アウディQ7との類似性も感じざるを得ない。このラグジュアリーSUVという市場は成熟しつつあり、既に何台かの人気モデルも存在する中に、さらに新たに追加されたことになる。その強豪モデルと比較することで、面白い発見はあるだろうか。
長年に渡ってアウディのショールームの王者に君臨してきたのが、A8だったが、2006年にスーパースポーツカーのR8が登場して、その座を譲った。どちらも非常に面白みのあるクルマだ。そして第3番目となるアウディの「8」が登場することになった。リムジンでもスポーツカーでもなく、大きなSUV。新しいリーダーは、どれほどのカリスマ性を備えているのか、評価する機会となる。
アウディによれば、Q8のミッションは、大型のSUVが備える快適性や利便性、実用性の高さと、ラグジュアリー・クーペの持つエレガントさを融合させることだという。しかし、似通ったコンセプトを掲げたクルマをこれまで何台か試してきたものの、AUTOCARのテストに限ってみれば、充分な評価は得られていないことは熱心な読者ならご存知だろう。
大きなボディを持ち、利便性に優れ、車内空間にも余裕があるクルマをスタイリッシュにすると、アピアランスとしては良いかもしれない。しかし往々にして、車内空間は狭くなり利便性が犠牲になる反面、運転する楽しさが大きく付加されることは珍しい。
でも実際は、こういったクルマのオーナーは、ドライバビリティがどうとか、リアシートの空間がどうとか、さほど気にかけていないようでもある。実際、BMW X6シリーズの販売台数は通算で50万台に迫り、今後もモデルチェンジを繰り返していくだろう。果たしてBMWを持ってしても得ることができなかったものを、アウディは獲得することができたのだろうか。早速テストと行こう。
▶ 意匠と技術 ▶ 内装 ▶ 走り ▶ 使い勝手 ▶ 乗り味 ▶ 購入と維持 ▶ スペック ▶ 結論
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意匠と技術 ★★★★★★★☆☆☆
モデルに与えられた数字と異なり、アウディQ8はQ7(写真)よりひと回り小さく、全長で66mm短く、35mm低い。ミラーを含まない全幅はQ7よりも27mm広く、トレッドとホイールベースはQ7と同値となる。もしドライビング性能をQ7より活発なものにしたいと考えたのなら、ポルシェ・カイエンのように、MLBプラットフォームでもショートホイールベース版を選択しただろう。しかし、インゴルシュタットはそうしなかった。
エクステリアデザインは、Q8を堂々と目立たせることに成功している。特に正面から見た時の、強調されたラジエターグリルを構成する「シングルフレーム」の存在感が際立つ。アウディによれば、「Q」の付くモデル郡に与えられる、次世代のフロントマスクだと主張するが、売上に貢献するほど、エレガントな仕上がりだとは思えないのがわたしの感想。読者の印象はいかがだろう。
全体的なデザインのまとまりは目を引くし、明らかにアウディだとわかるもの。しかし、ラグジュアリーなQ8の魅力がひと目で伝わるだろうか。1980年台のアウディ・クワトロに通じるデザイン要素も感じられなくはないが、昨年登場したレンジ・ローバー・ヴェラールほど、目を奪われるような、魅了する力があるとは思えない。正直って、セグメントも異なるボルボXC40の方が、ビジュアル面では秀でているとすら思えてしまう。
アウディQ8で選択できるエンジンは、当面は286psを発生する3.0ℓディーゼルエンジンで、グレードは50 TDIとなる。このエンジンは、2019年中にQ7にも追加される予定となっている。電圧が48Vのマイルド・ハイブリッドシステムを採用し、スターター・ジェネレーターと大容量のバッテリーが組み合わされる。
間もなく45 TDI用として、231psを発生するV6ディーゼル・ターボエンジンと、55 TFSI用に339psを発生するV6ガソリン・ターボエンジンも追加される予定だ。後者のガソリンエンジンは、同じくQ7にも搭載されるだろう。また、遠からずRS Q8として、より強力なガソリン・ターボエンジンも登場するはず。
英国仕向のクルマの場合、スポーツ仕様のアダプティブ・エアサスペンションと21インチ・アルミホイールが標準装備となる。四輪操舵システムはQ7と同様にオプションで選択が可能。今回のテスト車両には装備されていた。SQ7に搭載される、スポーティな電子制御のディファレンシャルギアやアクティブ・アンチロールバーは、少なくとも現状ではQ8では選択できない。
アウディのエンジニアは、車高が低く素性としてより俊敏なQ8の場合、硬さを調整できるアンチロールバーは必要なかったという。どのようなドライビングを味わわせてくれるのか、次項以降のテストで明らかになるはずだ。
▶ 意匠と技術 ▶ 内装 ▶ 走り ▶ 使い勝手 ▶ 乗り味 ▶ 購入と維持 ▶ スペック ▶ 結論
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内装 ★★★★★★★★☆☆
アウディのQ8が、SUVの「Q」シリーズのフラッグシップモデルであることを考えると、車内空間には他のモデルとは異なる、デザイン的な特徴や素材の特別感を期待するかもしれない。他の自動車ブランドの場合のように。しかしアウディは、以前われわれが試乗したA7スポーツバックとほとんど同じデザインを、Q8の車内に与えている。SUVのプロポーションに合わせて、各所が拡大されてはいるけれど。
ただし、マトリョーシカ人形のようなデザインはすなわち、他のモデルと同様に仕上げや質感、実用性でアウディらしい優れた内容を得ているということでもある。ヘアライン仕上げの金属製パネルやグロスブラック仕上げのつややかなパネルは、アウディの大型モデルでは共通した要素。どこか目が覚めるような緊張感もあるが、落ち着きのある、高級感に溢れたフラッグシップモデルに相応しい雰囲気を備えている。
ボディサイズ相応に大きなダッシュボードは、その中央部分をアウディMMIインフォテインメント・システム用の2面のモニターが占めている。主要モニターは10.2インチで、一回り小さい8.6インチのサブモニターがその下に配される。またアナログメーターに変わって、デジタル・インスツルメントとして、アウディ・バーチャルコクピットが標準装備となる。
クルマの各機能の操作系は、その殆どが2面のモニターに集約され、物理的なボタンやスイッチ類はわずかしか残っていない。その結果、ポルシェ・カイエンやメルセデス・ベンツGLEなどと比較して、アウディQ8のインテリアデザインは、ミニマルな印象がある。
実用性の面では、滑らかなクーペスタイルのルーフラインのおかげで、後部座席の広さが心配されるが、それは杞憂。実際は、背の高い大人でも不満のない、広々とした頭上空間が確保されている。しかし後部座席の膝周りは、ポルシェ・カイエンよりも長いホイールベースを備えているのにもかかわらず、なぜかカイエンほど広いわけではない。座面方向の長さを測ってみると、カイエンが790mmあるのに対し、Q8は750mmとなっていた。ちなみに、レンジローバー・スポーツは740mm。少なくともQ8はクラス相応の空間を得ているとはいえるだろう。
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走り ★★★★★★★☆☆☆
この大柄なQ8に組み合わされるのは、控えめなディーゼルエンジン。運動性能に気になる部分があったとしても、大型のSUVとして穏やかに走る洗練性を備えている限り、購入者は大きな不満を感じることはないのかもしれない。
今回のQ8に装備されていた、オプションの2重ガラス窓のおかげで、112km/hでの走行中の車内ノイズは、メルセデス・ベンツSクラスより僅かに騒がしい程度。22インチの大径ホイールを装備していたが、消音機能付きのタイヤが装備されていたから、その効果も多少はあるはず。ひときわ高い着座位置に贅沢な車内が組み合わさり、その仕上がりは豊かさに溢れたものだ。
3.0ℓのV6ディーゼルエンジンが存在感を高めてくるのは、回転数が3000rpmを超え始める頃から。ボディが大きいだけに、エンジンは遥か彼方に位置しているように感じる。Q8の長距離移動は燃費の面でも支えられており、われわれのテストで高速走行時のツーリングでは14.1km/ℓを記録している。ガソリンタンクの容量は75ℓだから、航続可能距離は1062kmにも達することになる。
電圧48Vのマイルド・ハイブリッドシステムも組み合わされ、48km/hから161km/hでの低負荷走行時には、エンジンは完全に停止。ブレーキング時には回生機能も働くが、コントロールは非常に優れており、ドライバーが意識することは殆どないと思う。
112km/hからのフルブレーキングでは、フロントに10ポッドの大きなキャリパーを備えているのにも関わらず、最新のポルシェ・カイエン・ターボには及んでいない。また同じスムーズなエンジンを積み、車重が軽量なA8とは異なって、Q8の動力性能の面での満足感は乏しい。
われわれの計測では、ガソリンが満タンの状態での車重は2285kg。このクラスでは、スポーティな味付けではないクルマも含めて、最も重量がかさんでいる。この重量に立ち向かうのは、286psの最大出力と61.1kg-mの最大トルク。0-96km/h加速の時間は6.9秒で、48km/hから112km/hの追い越しk速では6.7秒を要している。
この数字はレンジローバー・スポーツTDV6を打ち負かすには充分な速さではあるが、2015年にテストした、3.0ℓのTDIエンジンを搭載したQ7の方が、パワーでは劣るものの俊足だった。最新のホットハッチ並に速いSUVをお探しなら、より強力なガソリンエンジンを搭載したモデルか、プラグイン・ハイブリッドの登場を待った方が良いだろう。しかし、この50DTIエンジンでも充分クラス平均の運動性能は得られており、多くの人にとっては、不満を抱かないとは思う。
指摘する点といえば、1900rpm以下でトルクがやや不足していることと、8速ATのキックダウンの反応が鈍いところ。この部分は、改善されることを期待したい。
テストコース:乾燥
フロントタイヤとステアリングを握る手とのコミュニケーションが希薄で曖昧な点は、他のアウディのクルマと共通。ミルブック自動車試験場の丘陵ルートを活発に走らせても、印象に残るドライビングだとはいえなかった。
もちろん、アウディ自慢の四輪駆動、クワトロシステムのおかげで、きついコーナーから一気に加速しても不足のないトラクションが確保されている。ただし、ボディが沈みキャンバー角が急激に変化するような場面では、やや安定性に影響も及んでいた。
テスト車両に装備されていたオプションの四輪操舵システムは、特にタイトなコーナーでの機敏性を高めている。最もスポーティなドライブモードにしておけば、ボディーロールはしっかり抑制され、クルマの挙動も漸進的で充分に予測可能な範囲に収まっている。スタビリティ・コントロールシステムは、過度に荷重移動が生じた場合や、コーナーへの進入速度が早すぎた場合などで急に介入してくるが、それ以外の場面では特に邪魔に感じることはない。
T1セクションのハイライトともいえる、タイトコーナーでのボディコントロール性は秀逸だった。荷重移動は明確に感じられるものの、バランスを失うということはない。T2セクションのヘアピンでは、四輪操舵システムのおかげでクルマがひと回り小さくなったような感覚があった。T5の勾配が変化するコーナーでは、雑な印象はなかったものの、ESPの介入が生じている。
発進加速
アウディQ8 50 TDI Sライン
テスト条件:乾燥/気温22℃
0-402m発進加速:15.4秒(到達速度:147.0km/h)
0-1000m発進加速:28.2秒(到達速度:186.3km/h)
48km/h-112km/h加速/4速:6.9秒
レンジローバー・スポーツTDV6(2013年)
テスト条件:乾燥/気温13℃
0-402m発進加速:16.0秒(到達速度:125.6km/h)
0-1000m発進加速:29.4秒(到達速度:182.6km/h)
48km/h-112km/h加速/4速: 7 .9秒
制動距離
アウディQ8 50 TDI Sライン
テスト条件:湿潤/気温8℃
97-0km/h制動時間:2.81秒
レンジローバー・スポーツTDV6(2013年)
テスト条件:乾燥/気温13℃
▶ 意匠と技術 ▶ 内装 ▶ 走り ▶ 使い勝手 ▶ 乗り味 ▶ 購入と維持 ▶ スペック ▶ 結論
▶ はじめに ▶ 意匠と技術 ▶ 内装 ▶ 走り ▶ 乗り味 ▶ 購入と維持 ▶ スペック ▶ 結論
使い勝手 ★★★★★★★★☆☆
Q8にはアウディ製では最新となる、デュアルモニター式のMMIインフォテインメント・システムが搭載されている。センターコンソールの上側には10.1インチのモニターが収まり、ナビゲーションやクルマのセッティング、通信などのQ8の主要な機能をコントロールする。下側の8.6インチモニターでは、エアコンやラジオ、シートヒーターなど快適機能の操作を主に行う。
この2つの画面は、タッチモニターではあるものの、操作のレスポンスという面では完全だとはいえない。確実に操作するには、モニターをタッチするというより、ラップトップ・コンピューターのトラックパッドをクリックするように、しっかりと押す必要がある。強めに画面を押すことに慣れてさえしまえば、ソフトウエア自体の動作は素晴らしい。
グラフィックの品質は上質で、フラッグシップモデルに相応しいもの。1150ポンド(16万円)のオプションとなる、バング・アンド・オルフセン製のサウンドシステムの音質にも感銘を受けるだろう。といっても、標準のステレオも、平均点以上は獲得できるだろうから、オプションを追加しなくても充分満足できるとは思う。
ラゲッジスペースの開口部は広いうえ、605ℓと不足のない容量が確保され、利便性は高い。またフロアとボディとの間に低い敷居があり、荷物も積みやすい。ラゲッジスペースのリアシートを倒さない通常の大きさは、狭いところで幅が1010mm、奥行きが1050mm、高さが390mmとなっている。
視界
ルーフラインが傾斜していても、車高が高いこともあり視界は良好。鮮明なリアビューカメラも標準装備される。
燈火類
マトリックスLEDヘッドライトが標準装備。明るさも照射距離も不満は全く感じない。
ステアリングとペダル
ドライビングポジションは快適だが、乗降性は背の高いSUVなり。ペダル類はやや右側にオフセットしているが、ステアリングコラムの調整幅は充分確保されている。
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乗り味 ★★★★★★★★☆☆
以外にもハイカラなサルーン、A7で今ひとつだった面が、Q8では高評価だったりする。この大柄なSUVの乗り心地は、大型のラグジュアリーモデルの期待にそぐわない高水準で、安定性も高い。22インチという大径ホイールを履いているにも関わらず、小さなクルマでは乱れがちな荒れた路面でも、細かな揺れは皆無。反面、Q7とQ8とで数字なりの差も感じられないけれど。
Q8の50TDIが搭載するパワートレインに有り余る力は感じなくても、アダプティブサスペンションの設定を常時コンフォートモードにしておく気にはなれなかった。コンフォートは落ち着いて快適に走行するスイートスポット的な設定ながら、大きく重いボディを処理しきれない場面も見られるのだ。
旧来的なSUVのハンドリングレベルに満足できるオーナーを除いて、Q8のオーナーの多くは、ダイナミックモードに最適解を見出すと思う。ポルシェ・カイエンやアルファ・ロメオ・ステルビオQVなどと異なり、確かにQ8はグリップ限界の中では、急激にノーズの向きを変えるという性格は持ち合わせていない。しかしダイナミックモードではサスペンションは締まり、低重心であることを味わうことは充分に可能。アウディはQ8にアクティブ・アンチロールバーを選択しなかったが、この身のこなしなら納得できるのではないだろうか。
シャシーは高いグリップ力とスタビリティを得ており、オプションとなる四輪操舵システムが、SUVとしては非凡な機敏性を支えている。電動パワーステアリングは例によってコミュニケーション能力が低いが、アンダーステアやステアリング操作のタイミングに怯えることなく、この巨体をコーナーへと突き進めていける。
フロントタイヤに荷重がかかった状態でアクセルペダルを緩めれば、Q8のノーズを内側に巻き込んでいくことも可能だが、普通に走行している範囲では、このような挙動を引き出すことは難しい。基本的にはどこか客観的な、アウディに共通した振る舞いだといえる。
コーナーの出口では、よりパワフルなQ8なら、きっと更に楽しめるに違いない。スポーティなサスペンションはクワトロのトルクベクタリング・システムをしっかりと受け止め、リアタイヤはエンジンのトルクを路面へと確実に伝える。ボディの落ち着いたデザインに相応しく、リアタイヤを乱すこともなく、礼儀正しく加速していく。Q8の操縦性は極めて優れているが、それ以上のドラマもないのだ。
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購入と維持 ★★★★★★★★★☆
アウディは兄弟モデルのQ7とQ8 50TDI Sラインとの間に約6000ポンド(84万円)の価格差を設けているが、3年後、5万8000km走行後の残存価値の差も5%程度はあると見込まれている。そのため、月払いのリース契約では、その価格差は極わずかとなるだろう。
最も近いライバルモデルとなるBMW X6やレンジローバー・ヴェラールの方が価格設定は高いが、アウディQ8よりも中古車市場での価格が上となるのは、われわれの専門家の見解ではヴェラールのみと考えられている。欧州では一般的なカンパニーカー制度などで、税金面で有利となる排気量の小さいディーゼルエンジンを希望する場合は、もうしばらく待つ必要がある。しかし、ポルシェ・カイエンやボルボXC90などでラインナップするプラグイン・ハイブリッドモデルの方が更に有利ではある。
われわれのテストでの平均燃費は、動力性能を計測した走りを含めて10.2km/ℓだったから、現実的な無給油での走行可能距離は750km以上と考えられる。
Q8の残存価値はライバルよりもかなり有利と見込まれている。特に4年間の推移を見ると、BMW X6との差は大きい。
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スペック
レイアウト
Q8は、フォルクスワーゲングループのMLBエボ・プラットフォームを用いた、6番目のラグジュアリーSUVとなる。英国ではフロントにV6エンジンを搭載し、トルクベクタリング・システムとセンターデフを採用した四輪駆動が全グレード共通となる。また、スポーツ・エアサスペンションが標準装備。電圧48Vのマイルドハイブリッドシステムを搭載するが、アクティブ・アンチロールバーは備わらない。アウディによれば、全高が低く重心も低いため、採用は見送ったとのこと。
エンジン
駆動方式:縦置きフロントエンジン/四輪駆動
形式:V型6気筒2967cc ツインターボ+48Vマイルドハイブリッド
燃料:軽油
ブロック/ヘッド:アルミニウム/アルミニウム
ボア×ストローク:φ83.0×91.4mm
圧縮比:16.0:1
バルブ配置:4バルブ
最高出力:286ps/3500rpm
最大トルク:61.1kg-m/2250rpm
許容回転数:4800rpm
馬力荷重比:128.8ps/トン
トルク荷重比:27.6kg-m/トン
エンジン比出力:96.3ps/ℓ
シャシー/ボディ
構造:スチール/アルミニウムモノコック
車両重量:2220kg/2285kg(実測)
抗力係数:0.34
ホイール:(前)10.0Jx20/(後)10.0Jx20
タイヤサイズ:(前)285/40 ZR20/(後)285/40 ZR20
タイヤ銘柄:コンチネンタル・コンチスポーツ・コンタクト6
スペアタイヤ:パンク修理キット
変速機
形式:8速オートマティック
ギア比/1000rpm時車速〈km/h〉
(1)5.00/5.8 (2)3.20/9.0 (3)2.14/13.4 (4)1.72/16.7 (5)1.31/21.9 (6)1.00/28.8 (7)0.82/34.9 (8)0.64/44.9
最終減速比:3.204 :1
燃料消費率
AUTOCAR実測値:消費率
総平均:10.2km/ℓ
ツーリング:14.2km/ℓ
動力性能計測時:4.9km/ℓ
メーカー公表値:消費率
市街地:13.7km/ℓ
郊外:15.4km/ℓ
混合:14.6km/ℓ
燃料タンク容量:75ℓ
現実的な航続距離:764km
CO2排出量:178g/km
サスペンション
前:マルチリンク(5リンク)/エアスプリング/アダプティブダンパー/アンチロールバー
後:マルチリンク(5リンク)/エアスプリング/アダプティブダンパー/アンチロールバー
ステアリング
形式:ラック&ピニオン(電動アシスト)
ロック・トゥ・ロック:2.4回転
最小回転直径:12.3m
ブレーキ
前:φ375mmベンチレーテッド・ディスク
後:φ350mmベンチレーテッド・ディスク
静粛性
アイドリング:44dB
4速最高回転時:69dB
48km/h走行時:57dB
80km/h走行時:62dB
113km/h走行時:67dB
安全装備
ABS/EBD/ESC/HBA
Euro N CAP:★★★★★
発進加速
実測車速mph(km/h)秒
30(48) 2.5
40(64) 3.6
50(80) 5.2
60(97) 6.9
70(113) 9.1
80(129) 11.9
90(145) 14.9
100(161) 19.1
110(177) 24.7
120(193) 31.4
130(209) –
140(225) –
150(241) –
160(257) –
中間加速〈秒〉
中間加速mph(km/h)2速3速4速5速6速7速8速
20-40(32-64) 2.2 3.5 4.9 – – – –
30-50(48-80) – 2.6 3.3 5.5 – – –
40-60(64-97) – 4.3 3.2 4.4 7.7 – –
50-70(80-113) – – 3.6 4.3 6.4 10.1 –
60-80(97-129) – – 4.6 4.5 6.1 8.8 –
70-90(113-145) – – – 5.2 6.4 8.6 16.5
80-100(129-161) – – – 7.2 7.0 9.1 –
90-110(145-177) – – – – 8.4 10.0 –
100-120(161-193) – – – – – – –
110-130(177-209) – – – – – – –
120-140(193-225) – – – – – – –
130-150(209-241) – – – – – – –
140-160(225-257) – – – – – – –
各ギアの最高速
1速 45.0km/h 4800rpm
2速 69.2km/h 4800rpm
3速 103.0km/h 4800rpm
4速 128.7km/h 4800pm
5速 168.9km/h 4800rpm
6速 222.0km/h 4800rpm
7速 244.6km/h 4351rpm
8速 244.6km/h 3383rpm(メーカー値)
▶ はじめに ▶ 意匠と技術 ▶ 内装 ▶ 走り ▶ 乗り味 ▶ 購入と維持 ▶ スペック ▶ 結論
▶ はじめに ▶ 意匠と技術 ▶ 内装 ▶ 走り ▶ 乗り味 ▶ 購入と維持 ▶ スペック ▶ 結論
結論 ★★★★★★★★☆☆
完成度も高く魅力的なクーペスタイルのSUVながら、注文も残る
プラットフォームを共有するフォルクスワーゲン・グループのSUVは、優れたモデルもあれば、そうとはいえないものもある。そんな中で、Q8 50TDIはわれわれのロードテストで、星の数は幾つか足りないが、充分な評価を残すことができたと思う。
中には、アウディのモデルに付けられる数字的な意味付けが強すぎるクルマだと感じるテスターもいたが、SUVクーペとしては、最も優れた完成度を得ているといえるだろう。傾斜したルーフラインは実用性を犠牲にすることも少なくないが、Q8の場合は広々とした空間を確保し、洗練されたインテリアを備え、充分なパワートレインと相まって、長距離クルーザーとして極めて高く評価できる。このモデルセグメントの場合、実用性を無視したようなクルマすら存在しているのだ。
反面、ドライバーに対する訴求力という面では、Q8に更にもう一手を欲してしまうことも、否定できない。シャシーの俊敏性と乗り心地を考えると、パワーは不足気味だしキャラクターも薄い。またクワトロ・システムのソフトウエアにも、もっと遊び心があって良いだろう。Q8が特別なクルマになれるか否か、少し見守っていきたいと思う。
担当テスターのアドバイス
サイモン・デイビス今回、21インチと22インチのアルミホイールを履いたQ8をそれぞれ試したが、乗り心地の違いは無視できるレベル。もし予算に余裕があるのなら、22インチを選んでもいいだろう。
リチャード・レーンランボルギーニ・ウルスにはデザイン上の制約もあるから、パワートレイン次第ではQ8が安価なランボルギーニ・キラーになることも可能。よりパワフルなバージョンの登場で注目度は増すだろう。
オプション追加のアドバイス
Sラインを選択するかいしないかで、2万ポンド(280万円)の差が生じる。2500ポンド(35万円)のエクステンド・レザーパッケージに1750ポンド(24万円)の22インチ・アルミホイール、1950ポンド(27万円)の四輪駆動システム、750ポンド(10万円)の360度カメラは選んでおきたいオプションだ。
改善してほしいポイント
・何よりパワーがもっと欲しい。シャシーは更に数十km/hは受け入れることができる余力がある。
・低速域でのトランスミッションのレスポンスを改善して欲しい。現状では不満の方が立ってしまう。
・ステアリング・ラックをよりコミュニケーションの濃いものにしてほしい。現状のQ8の運転感覚は、リモート感覚が強いように感じる。
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