エレクシティ・タウン、バステクで展示
10月18日、東京都江東区にある海の森水上競技場で、『第10回バステクin首都圏』が開催された。バス・商用車の専門誌を出している、ぽると出版が主催する体験型イベントで、大阪府で行われるバステクフォーラムともども、毎年開催しているという。
会場には最新の電気バスやディーゼルエンジン観光バス、安全性能や運転環境の向上のための各種機器を搭載した車両など、合わせて16台が展示され、乗客として試乗できる車両もあった。
さらに電気バスの運行を支える充電設備、バスの安全・快適・ 経済性向上に貢献する各種機器・用品・システムなども展示されていた。
その中に、7月に日本導入が発表されたヒョンデの電気バス『エレクシティ・タウン』もあったので取材してきた。
日本導入の発表会では、カタログと同じグリーンに塗られた車両の写真が紹介されたが、展示されていたのは白いボディだった。サイドやリアを含めて見ることができたので、窓まわりを黒で塗り分け、ブルーのアクセントラインを周囲に配したグラフィックがわかりやすかった。
とりわけ目に留まったのはサイドの窓の下のラインで、特徴的なフロントマスクとのつながりを出すとともに、動きを与えるためかウェーブを描いており、ルーフに合わせた上端のラインともども、デザインへのこだわりを感じた。
また窓の上には白抜きでELEC CITY TOWN、アクセントラインと同じブルーでZERO EMISSION BUSと記してあった。このあたりのグラフィックは、導入されるバス事業者によって変わってくるだろうが、展示会ではヒョンデの電気バスであることがわかりやすかった。
信頼性を重視し、センターモーターを採用
後ろ姿も印象的で、日本製の路線バスと比べると丸みを帯びており、縦に4つ並んだランプ、クロームメッキのロゴなど、華やかな感じを受けた。リアウインドウの内側には行先表示板があるので、後方確認はカメラで行うようだ。乗降中であることを示す縦長の電光表示など、日本向けの仕様になっていることにも気づいた。
車内も右ハンドルの運転席、その横の運賃箱、中扉の脇の整理券発行機など、日本仕様の仕立てだった。乗用車にも装備が進んでいるドライバー異常時対応システムも追加してあり、運転席や車内に赤いボタンが備わっていた。
フロアはフル低床ではなく、リアドアから後ろは少しずつ高くなっていて、日本製のディーゼルエンジンバスと同じ。電気バスの中には、左右後輪を別々のモーターにすることでフル低床とした車種もあるが、エレクシティ・タウンは信頼性を重視してセンターモーターにしたと、カタログには記されていた。
降車ボタンは、ポールにあるのは丸い韓国用、壁にあるのは四角い日本用で、最終的には後者に統一されるはずだが、隣の国なのに形が違うことが興味深かった。
中扉には反転式スロープを内蔵し、奥の座席は折り畳み式で、床には固定用フックが備わるなど、車いす対応ももちろん備わっている。
操作性の良さを感じさせる運転席
ヒョンデらしいと思ったのは運転席で、メーターはフルデジタル、センターには12.3インチのマルチインフォメーションディスプレイを装備。乗降扉の近くにカメラを備え、その映像をメーターで確認できるなど、先進的安全装備も実現している。
加えてドライバーを囲むようなインパネ形状なのでスイッチが操作しやすそうであり、ドライブセレクターをレバーではなくインパネ中央のボタンとしたのは、慣れが必要かもしれないが、車いす対応などのために運転席から離れることが多いことを考えれば、出入りしやすいこの配置のほうが良いのではないかと思った。
担当者に聞いたところ、車内装備はバス会社の意向によって変わるとのこと。これは日本製バスも同じであるが、外国車とはいえ隣国生まれなので、スピーディーな対応を期待したいところだ。
駆動用バッテリーは屋根の上に搭載する。こちらは多くの電気バスが採用する方式だ。バッテリー容量は145kWhで、満充電での航続距離は233km、最高速度は80km/hとなっている。いずれも路線バスとして使うなら十分なスペックだろう。もちろん充電は日本の急速充電規格(チャデモ)対応になっている。
日本製のバスが、日本での使用を前提に開発されたのに対し、ヒョンデは乗用車もそうだが、国内市場に限りがあるので、輸出を前提としたバスづくりを進めてきた。僕もフィンランドなどで、欧州製に混じって普通に使われているヒョンデのバスを見たことがある。それが隣国でありながらひと味違うと思わせる理由かもしれない。
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みんなのコメント
此処が良いらしいよ