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俳優・大野拓朗の「あの“絶版旧車”に乗りたい!」──Vol.2 カワサキ900スーパー4(Z1)

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俳優・大野拓朗の「あの“絶版旧車”に乗りたい!」──Vol.2 カワサキ900スーパー4(Z1)

1970年~1980年代に発売された国産旧車が、“絶版旧車”と呼ばれ人気だ。当時憧れていた世代はもちろんのこと、今どきのヤングライダーたちも“カッコいい!”と、注目する絶版旧車の魅力を、バイク好きの俳優・大野拓朗と元バイク雑誌編集長・カワニシが語り合う。今回は1972年にデビューしたカワサキ「900スーパー4」に試乗!

カワサキ「Z」シリーズの始まり、Z1

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【前話:Vol.1 ホンダCBX400F】

河西啓介(以下、カワニシ):絶版旧車の中でもとくに人気なのがカワサキのバイクです。なかでも1972年にデビューした通称“Z1”ことカワサキ900スーパー4は横綱級の人気モデル。拓朗くんもカワサキの“ゼット”といえば聞いたことがあるでしょ?

大野拓朗(以下、大野):もちろんです。マンガの『GTO』や『湘南純愛組!』にもゼッツーが出てくるし、そんなマンガの影響もあって「バイクはカワサキ」ってイメージがありました。といっても実車に触れるのは今日が初めてです。ワクワクするなあ。

カワニシ:Z1は1967年生まれの僕にとっても旧いバイクだから、1980年代後半生まれの拓朗くんが触れる機会がなかったのも当然ですね。話は60年代後半に遡るけれど、当時、カワサキは密かに4ストローク4気筒の大型バイク開発を進めていた。その頃、カワサキのスポーツバイクといえば2ストロークがメインだったのだけど、時代は4ストロークに移行しつつあり、4ストのモデル開発が急務だったんです。

大野:その頃のカワサキ車で有名な「マッハIII(スリー)」も2ストロークですよね。

カワニシ:そうそう。2ストロークのほうが構造的にシンプルでパワーも出しやすいから、かつては主流だったんです。しかし1969年にホンダが4気筒4ストロークエンジンを積んだ「CB750FOUR」を発表してしまった。おなじナナハンクラスのマシンを開発していたカワサキは先を越されてしまったんです。そこでカワサキは「ホンダを超えるモデルを出そう」と、エンジンや車体デザインを全面的に見直し、1972年に満を持してCB750より大きな903cc4気筒エンジンを積んだZ1を発表した。車名はアルファベットの最後の文字であり究極を表す“Z”と世界一を目指し“1”を組み合わせたもの。排気量が大きいだけじゃなく、バルブ駆動方式はDOHC、パワーは82psという高性能ぶりでCB750を凌駕したんですね。

大野:ライバルに先を越されたことをバネにして、「もっとすごいモノをつくってやろう」というエンジニアの意気込みから生まれたんですね。そのストーリーがカッコいい。“漢(オトコ)カワサキ”って言われるゆえんですね。

50年前の設計とは思えない豪快な走りカワニシ:拓朗くん、絶版旧車界のレジェンド、Z1に試乗した感想はどうでしたか?

大野:正直に言って、意外でした。豪快で手強いバイクだと思って恐る恐る乗ったんですけど、じっさいはすごく扱いやすかった。乗り始めは「ちょっとアクセル重いな」と思ったけど、すぐ慣れました。車体の大きさも僕にはちょうどよかったし、今どきのバイクから乗り換えても、そんなに違和感なく乗れると思いました。

カワニシ:このZ1は程度がいいし、ちゃんと整備されているからすごく乗りやすいですね。緻密に制御された現代の4気筒バイクのスムーズさとは違うけど、吹け上がりの鋭さや重厚な回転感覚はZ1のほうが上だと思う。もちろんブレーキの効きや乗り心地なんかは時代相応にユルいけど、それも50年前に設計されたバイクだと思えば感心するぐらい。フロントホイールが19インチと大きいからハンドリングはダルいかなと思いきや、現代のマシンと比べても遜色ないほど軽快でニュートラルですね。

大野:4気筒エンジンってスムーズにシューンとまわるイメージだけど、Z1の4発はスムーズさの中に鼓動感がありますね。エンジンの中でガソリンが爆発している!というのが感じられて、「走らせている」って実感が濃い。でも扱いにくさはぜんぜんないから、これなら普段からフツウに乗れそうだなあと思いました。

カワニシ:僕のまわりにもZ1乗りが何人かいるけど、街乗りからツーリングまで普通に乗ってる人が多いんです。アフターパーツもたくさんあって、新しいものを上手に組み込めば走りが見違えるようにリファインされたりもする。だからずっと乗り続けられるんです。

輸出仕様のZ1、国内仕様のZ2大野:あらためて見ると、本当に美しいバイクですねよ。4本出しのマフラーの造形なんて惚れ惚れします。オレンジとブラウンの「火の玉カラー」もイカしてるし、つい欲しくなってしまいますね。価格はいくらぐらいするんですか?

カワニシ:Z1が発売された1970年代当時、日本国内で販売できる二輪車は750ccまでというメーカー自主規制があり、903ccのZ1は輸出モデルとして海外で販売されていました。価格は日本円に換算すると55~60万円ほどだった。それが今ではなんと、純正ノーマル車なら600万円以上の値段が付くものもある。ざっと10倍! 国内仕様として登場した750ccの「Z2」は希少ゆえにさらに高値になっているとか。

大野:えー、排気量の小さいゼッツーのほうが高値なんですか? 不思議な気がします。

カワニシ:Z2の総生産台数は約1万6000台で、Z1はその5倍ほど作られたと言われている。さらに海外から逆輸入されるZ1に比べて、日本国内で使用され保存されているZ2は総じて程度がいい個体が多い、というのも高値の理由ですね。しかしもともと903ccエンジンをベースに設計されていることを考えると、トータルバランスはZ1のほうがいいのでは、と考えることもできる。

大野:ボクは“歴史を感じさせるもの”が好きで、たとえば海外に行くと、築何百年の建物と最新のビルが隣り合っていたりする街並みにすごく魅せられちゃうんです。だからZ1もいろいろなストーリーを知ると、単なるバイクではなくて日本車の歴史を物語るヘリテイジなんだなって思いますね。

大野拓朗(おおのたくろう)1988年、東京都出身。2009年に第25回ミスター立教に選出。10年に俳優デビュー。NHK連続テレビ小説や大河ドラマをはじめ、数多くのドラマ、映画、ミュージカル、舞台作品に出演。2023年12月4日からは舞台の本番である英国のミュージカル『Pacific Overtures (太平洋序曲)』に、リードロールとして出演。ガーディアン紙をはじめとした劇評で「大野拓朗素晴らしい」と高評価をされている。

【過去連載】
Vol.1 ホンダCBX400F

文・河西啓介 写真・安井宏充(Weekend.) スタイリスト・堀直樹 ヘア&メイク・Ryo 編集・稲垣邦康(GQ) 取材協力・UEMATSU

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