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石巻の梱包会社社長の地元愛によって生まれたダンボール製スーパーカー「ダンボルギーニ」

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石巻の梱包会社社長の地元愛によって生まれたダンボール製スーパーカー「ダンボルギーニ」

「強化ダンボール」というものがある。見た目は厚めのダンボールだが、板材なみの強度があり、ふつうのカッターやハサミではまず切断できない。木箱の代わりとして活用され始め、今では様々なところで見かけるようになっている。

強化ダンボールで造られたランボルギーニ車

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この強化ダンボールだけを用いてランボルギーニ・アヴェンタドールを製作して話題を呼んだのが、今野梱包株式会社(宮城県石巻市)の代表取締役社長の今野英樹さんだ。

強化ダンボール製の実寸大ランボルギーニ・アヴェンタドール

このランボルギーニ車、名前は「ダンボルギーニ」という。1/1サイズで造られており、エンジンなどは搭載していないので「実寸模型」と呼ぶべきだろう。しかし、折り曲げはできない素材で「よくぞここまで……」と見た者を驚嘆させる作り込みで、模型とひとくくりにするのは恐れ多い。

本車は、宮城県女川(おながわ)町の商業施設「シーパルピア女川」にて展示されており、2016年の天皇皇后両陛下(現上皇后ご夫妻)が復興地域行幸の際に立ち寄り、今野さん自らがご案内するほどの注目を浴びた。

しかも、今野さんは、この後にも強化ダンボール製の様々な造形を送り出している。その顛末は、新刊著書の『走れ!ダンボルギーニ!! 宮城県石巻“おもしろい復興”をめざすおだづもっこ<お調子者>たち』(方丈社)に詳しい。

小さな昆虫から巨大野球盤までも!

本書に紹介されているほかの例では、映画「ローグ・ワン/スターウォーズ・ストーリー」公開を記念して製作された「AT-ACT」がある。

こちらは、誰にと頼まれるわけでなく自発的に作った「ダンボルギーニ」と違い、外部からの依頼。高さ5メートルもある完成作品は、映画の公開に合わせて日本テレビのホールに展示された。

一方で、小ささに挑戦した作品もある。以下の「オニヤンマ」は、実際の昆虫とほぼ同サイズで、子どもが集まるイベント向けに開発した組み立て用キット。ほかにアゲハチョウやカメムシなどもある。

観葉植物にも載せられるほど小さいが、これも強化ダンボール製

そして、大きさと実用性の両立のはざまで、難航したプロジェクトも取り上げられている。それが、両翼が約6メートルもある巨大な野球盤「ユニバーサル野球盤」だ。

多人数で実際に遊ぶことができる巨大な野球盤

これは障がい者支援事業社からの依頼によるもので、障がい者も健常者も一緒になって楽しめ、分解すればバンに積載でき、組み立ては1人が30分で行えるという厳しい仕様要求があった。

納期まで1か月に差し掛かったところで、今野さんだけでなく「スタッフや社員も寝ている以外の時間、頭の中にあったのはこの仕事のことばかり」であったというが、遅れることなく納入。新聞社主催の体験会は、大いに盛り上がり、絶賛の嵐であったという。

被災地となった地元の活性化への想いが原動力

さて、「ダンボルギーニ」の話に戻るが、これは、ランボルギーニ社や「シーパルピア女川」の発注を受けて作ったわけでないという。

1つには、東北の震災の影響で主要取引先からの仕事が激減して、手持ち無沙汰な時間ができてしまったというのがあった。もう1つは、地元に将来の展望を抱けず、東京へ流出してゆく若者たちを見て、「だったらこの地元で、夢見てもらえるようなことをしてやる! 夢描いてきたこと見せてやる! 地域発信で勝負してやる! そんな俺らを見てくれ!!」という心情の発露があった。しかも、苦しんでやるのでなく、楽しく面白く。

今野さんのそんな志に従業員も意を同じくし、1/16サイズの試作に始まって試行錯誤を繰り返し、「ダンボルギーニ」は1年後に完成。SNSで写真画像が拡散して、全国から大勢の人が常設展示されている「シーパルピア女川」を訪問し、震災復興の象徴ともなった。

今野さんの、地域を元気にしようとする取り組みは止まらない。今も複数の新たなプロジェクトに参画しており、「ダンボールではないけど、梱包に使う材料で、梱包ではないものを作ります。っていうか作りました」と語る。果たして、次はどんな創作物がお披露目されるのだろうか? 大いに期待したくなる。

・今野梱包公式サイト:http://www.k-konpo.co.jp/
・ダンボルギーニ特設サイト:http://damborghini.com/

文/鈴木拓也(フリーライター兼ボードゲーム制作者)

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