TVRの量産モデルとしては最強
text:Felix Page(フェリックス・ペイジ)
【画像】TVRサガリスとタスカン 復活なるか グリフィス・プロトタイプ 全56枚
translation:Kenji Nakajima(中嶋健治)
英国のクルマ好きをもどかしい思いにさせる、TVRの復活戦略。現時点で最後のモデルとなっているサガリスを振り返れば、後継モデルのハードルの高さを理解できる。とても素晴らしい味わいのTVRだった。
TVRの再起は、簡単なことではない。次世代グリフィスのプロトタイプが販売されない限り、スピードシックス・エンジンを載せたサガリスは、最後で最新のロードゴーイングTVRであり続けることになるだろう。
そんな理由で、サガリスを手に入れようとすると、かなりの資金が必要になる。状態が良く、長めの走行距離を刻んだサガリスは稀。英国でも6万5000ポンド(975万円)前後は用意しておかないと難しい。
その価格に納得でき、同等の予算で購入できる新車のポルシェ718ケイマン GTSに食指が動かないのなら、サガリスはきっと素晴らしい体験を与えてくれる。
フロントに搭載するのは、4.0Lの自然吸気直列6気筒エンジン。最高出力411psで、TVRの量産モデルとしては最強のユニットだ。加えて車重は1tを少し超える程度。0-100km/h加速を3.8秒でこなし、最高速度は299km/hに達する。
この数字は現代でも明確に速いといえ、洗練性や安全性より興奮度と動的性能を優先させたような、英国のスポーツカーとしては珍しい存在でもある。スタイリングも相当にアグレッシブだ。
ドライバーへの訴求力にあふれる性格を生んでいるのが、軽量なボディの採用と、複雑な電子制御システムの不採用。しかし、限界領域での挙動は予想が難しい。必要以上の深追いはしない方が良い。
70%位の領域までがとても楽しい
サガリスは、70%位の領域までがとても楽しい。サーキットの走行会に申し込めば、並外れた動的性能の片鱗を模索することは可能だ。
新車当時の試乗レポートでは、その頃のTVRのオーナーを務めていたニコライ・スモレンスキーが主導した多くのアップデートを高く評価していた。「これまでで最も完成度の高い、最高のTVR」だとまとめている。
実際、サスペンションは引き締められ、安定した操舵性と、ロングレシオのトランスミッションを獲得していた。興味が湧いてきた読者もいるのではないだろうか。
もしガレージに収めたいのなら、早く行動に移した方が賢明。台数は多くはない。取引価格はここ数年で急激に上昇しており、今後も下がることはなさそうだ。
TVRサガリスが生産されたのは、2005年から2006年にかけて。約200台が販売されているが、現在も英国の公道を走っているのは100台程度だという。
筆者が記事をまとめている段階では、9万3300kmの走行距離で4オーナーのサガリスから、2万900kmで2オーナーという例まで、選択肢は複数見つかった。
実はサガリスには、2007年にアップデートの計画があった。AUTOCARではプロトタイプへの試乗もしているが、悲しいことに量産へこぎつけることは叶わなかった。
その2007年式サガリスのプロトタイプはナンバープレートを受け、TVRの最後に販売された。最近、10万ポンド(1500万円)の値段が付いているのを目撃している。
オーナーの意見を聞いてみる
アレックス・グレイ:TVRカークラブ代表
「私のサガリスは、とても要求の高い初代オーナーによって仕立てられています。底値だった次期に購入できたことは、とてもラッキーでしたね」
「サガリスの問題は、エンジンの維持に手間がかかることと、トランスミッションの不具合。新しいMEBと呼ばれるエンジン制御ユニットが利用できるため、ECUをアップデートする人は少なくありません」
「クルマはとてもダイレクトでレスポンシブ。しかし、トラクション・コントロールだけでなくABSもないので、運転には充分な配慮が必要です」
不具合を起こしやすいポイント
エンジン
TVR社製のスピードシックス・ユニットは、もともと信頼性が高くなかった。だが4.0Lに排気量が増やされサガリスへ搭載されるまでに、主要な問題は解決されている。とはいえ、多くのユニットがリビルドを受けているはず。
排気量が4.3Lや4.5Lに拡大されている例もある。もし内部に手を加えるなら、作業内容の保証は不可欠だ。
オイルの消費が多い場合、フロントのクランクシールのほかに、サンプワッシャーが原因のこともある。マウント付近からの異音にも耳を澄ませたい。
トランスミッション
クラッチは、プレッシャープレートの摩耗前に駄目になるケースが少なくない。走行距離が短くても、一度交換しておいた方が良いだろう。OEMとなるAP社製の部品を用いても、英国では800ポンド(12万円)ほどは必要だ。
4速から5速へ入りにくい場合は、変速を補助するシンクロメッシュが壊れている可能性を疑う。珍しい不具合ではない。リバースにはシンクロがなく、バックする際は一度1速へ入れて回転速度を合わせるのがベスト。
ボディとシャシー
フロントとリアのスプリッターは割れやすく、修理も安くはできない。歩道に乗り上げたり、速度抑止用のスピードバンプを通過する場合は、丁寧に行いたい。
シャシーは錆びる可能性があるものの、多くのクルマは乾燥した環境で維持されている。雨の日は運転しない方が賢明だが、定期的に状態を確認し、保護塗装を施していれば大丈夫だろう。
電気系統
ABSやエアバック、トラクション・コントロールなどは付いていない。基本的に電装系は、パワーウインドウやライト、ダッシュボードのハーネス関係の不具合に限定される。
ECUに不具合がある場合、水温が正しく表示されないことがある。ヘッドガスケットが吹き飛ぶ前に、一度検査した方が良いだろう。
知っておくべきこと
2020年12月まで、オリジナル部品やリビルドされた中古部品は、英国のTVRパーツ社から購入することができた。しかしライセンス契約が終了し、現在はレーシング・グリーン社として取引している。
約25万点の部品を扱い、同じサプライヤーから供給を受け品質は保たれている。TVR乗りにとっては強い味方になるだろう。
ほかにも、英国のパワーズ・パフォーマンス社は消耗品やアップデートされた部品を扱っている。オックスフォードシャーには、TVRの車両販売とメンテナンスを専門とするガレージもある。
英国ではいくら払うべき?
6万5000ポンド(975万円)~6万7499ポンド(1011万円)
この辺りが英国での最安値。それでも、かなり状態はよく見える。
6万7500ポンド(1012万円)~6万9999ポンド(1049万円)
走行距離3万2000km以下のサガリスが英国では出てくる。専門ショップによる整備記録が整っている例が多い。
7万ポンド(1050万円)~7万2499ポンド(1089万円)
大切にガレージで保管されてきたサガリス。多くの場合、ボディのダメージも修復済み。
7万2500ポンド(1088万円)以上
高級ディーラーが扱う例や、完全な環境で保管されてきたサガリスが英国では出てくる。
英国で掘り出し物を発見
TVRサガリス 4.0 登録:2005年 走行:4万9800km 価格:7万ポンド(1050万円)
タマムシのように色味を変える、カメレオン・オレンジやアステカ・ゴールドが、サガリスでイメージするボディ色かもしれない。しかしストレート6の快音と、好戦的なスタイリングはとにかく目立つ。
そこで、控えめなスペクトラフレア・シルバーに塗られたサガリスに筆者は強く惹かれる。これまで車検は取得され続け、走行距離は2014年から1万1200kmしか増えていないという。
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