昭和は遠くなりにけり・・・。以前に連載した「昭和の名車」では、紹介しきれなかったクルマはまだ数多くある。そこで、1960年代以降の隠れた名車を順次紹介していこう。今回は「マツダ ファミリア ターボ」だ。
マツダ ファミリア ターボ(BD型):昭和58年(1983年)6月発売
1980年(昭和55年)にフルモデルチェンジしたBD系の初代FFファミリアは、それまで日本にはなかったFF方式の3ドアハッチバック乗用車として人気を博することになる。ファッショナブルなエクステリア、FFによる室内の広さと使い勝手の良さ、そしてパワフルとはいえなかったが優れた操縦性を持ち、走りという面でも高い評価を得ていた。
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1983年1月にはマイナーチェンジを行い、エンジンの燃料供給にEGIを採用し排出ガス対策もより現代的なものとした。そして同年6月には、走りをさらに重視したEGIターボエンジンを搭載したファミリアターボを発売した。エクステリアの基本はノンターボと変わらないが、サイドプロテクターに赤のTURBOマークを採用するなどスポーティさを演出して差異化を図ってきた。
注目すべきポイントは、E5型EGIターボエンジンが搭載されたこと。このエンジンは絶対的なパワーを求めるというよりも、当時のターボエンジンにはつきものといえたターボラグを極力減少し、中低速での扱いやすさを重視したものだ。具体的な対策としては、ターボチャージャーの回転抵抗の軽減やタービンブレード及びコンプレッサーブレード形状の最適化を行い、独立ポート型エキゾーストマニホールドを採用することにより、低回転からでもタービンホイールをスムーズに回転させるようにした。
EGIによる燃料噴射もマルチポイントインジェクションタイプとすることで、より緻密な噴射を行い高出力と低燃費の両立を図っている。このあたりはキャブレターでは不可能だった部分だ。E5型エンジンは渦流によって混合気を効率的に作ることができるマツダ安定燃焼方式を採用したこともあり、過給を上げた場合のノッキングの問題も起きづらく、ターボ向きという判断もあったようだ。高出力エンジンへの対応を図るため、容量の大きいトランスアクスルも採用し、ファイナルギア比をハイギアード化し、高速での加速性能と低燃費化を図っている。
ハイパワー化にともないサスペンションはブレーキ系も強化している。高速コーナリングに対処すべく、前後のスタビライザーを大径化した。これによって高速コーナーでもロールはかなり少ないものになった。リアタイヤのアライメントはマイナスキャンバーとしトレッドもフロントより広げることでも踏ん張りを確保している。制動性能では、8インチのマスターバックの採用やマスターシリンダーのサイズ拡大、フロントブレーキパッドの材質も変更し、スポーティな走りを支えるものとしている。タイヤはこのクラスのクルマとしてはかなり奢ったともいえる60偏平だったが、パワーや固められた足回りとを考えると妥当なものだったのかもしれない。
室内の大ぶりなセミバケットシートは、当時スポーティカーにありがちだったランバーサポートやサイドサポートをことさら主張するものではなく、自然なホールド性と長距離走行での疲労感を軽減させるものだったのも好感が持てた。チルトシートやチルトステアリングも装備しており、このあたりも先進的さが目立つところ。ターボを採用するにしても、いたずらにハイパワー化に走らず、欧州車的な洗練を目指したファミリアターボXG-Rは、マツダらしいこだわりが光る一台といえる。
マツダ ファミリア 3ドアHB ターボXG-R 主要諸元
●全長×全幅×全高:3955×1630×1375mm
●ホイールベース:2365mm
●重量:865kg
●エンジン型式・種類:E5型・直4 SOHCターボ
●排気量:1490cc
●最高出力:115ps/5800rpm
●最大トルク:16.5kgm/3500rpm
●トランスミッション:5速MT
●タイヤサイズ:185/60R14
●価格:132万4000円
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