正式名称ではなく、世間一般で通じる呼び名のことを「通称・俗称」と言いますが、自転車の通称である「チャリンコ」や「チャリ」は、日本全国どこでも通じる、最も浸透した呼び名かもしれません。
自転車が「チャリンコ」と呼ばれるようになった由来については諸説あります。自転車ベルの「チャリンチャリン」という音から誕生したとする説と、韓国語で自転車を意味する「チャジョンゴ」がなまって生まれたとする説が有力とされています。
もともとは東京の下町などで使われていた地域限定の方言で、1970年ごろから一気に広まり、日本各地で使われるようになったと言われています。
また、名古屋を中心とする東海エリアでは、地面を何度か蹴って自転車にまたがる姿から「ケッタ」や「ケッタマシーン」という独自の呼び名も生まれています。
なお、「自転車」という言葉自体は、竹内寅次郎という人物が1872年に東京府(現・東京都)に提出した自転車製造・販売の許可願書で最初に使われ、それ以降広まっていったそうです。
日本での自転車製造・販売からおよそ100年が経過し、高度経済成長を経て自転車の普及率が高まったあたりで「チャリンコ」の俗称が浸透したと考えると、どれだけ自転車が庶民の生活に馴染む存在だったのかと感慨深いものもあります。
しかしながら、この「チャリンコ」や「チャリ」という俗称は、あまり自転車屋には好かれていないかもしれません。実際、筆者(ちかし@自転車屋)も含め自転車屋や関連メーカーの人間で、この呼び名を使う人はほとんどいません。
「響きがチープ」「チャリ屋と呼ばれたくない」など、個人的な意見もありますが、その根底には自転車があまり大事に扱われていなかった時代に対する苦い思いが反映されているのかもしれません。「チャリンコ」と呼ばれると、どうしても軽く見られている気がしてしまうのです。
もちろん、自転車を貶める意味で使っている人はほとんどいないと思いますが、自転車屋と話をするときは「チャリンコ」とは呼ばない方が良いかもしれません。
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みんなのコメント
少なくとも「チャリンコ」と呼ばれるようになった頃、あちらの言葉はほとんど誰も知らなかった。