■0シリーズって何?
ホンダは2026年からホンダ0シリーズをグローバルで展開します。そのコンセプトモデルが2024年1月9日から12日までアメリカはラスベガスで開催されたCES(Consumer Electronic Show)でお披露目されました。
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そのうちの1台は「サルーン」という名称で、次世代セダンと位置付けられています。そしてもう1台は「スペースハブ」といい、こちらは次世代ミニバンだといいます。
まずはスペースハブをもとにホンダ0シリーズの位置づけなどをまとめて見ましょう。
まずはホンダ0シリーズとは何かというところから始めましょう。端的にいってしまうとホンダNシリーズがホンダの軽を指しているのと同じように、ホンダ0シリーズはホンダのBEV(バッテリーEV)を指すブランド名と解釈していいでしょう。
ここで疑問に思うのは、「ホンダe」や「クラリティ」、そしてもうすぐ出る「N-VAN」をベースにした「N-VAN e:」はどうなのかというところです。
本田技研工業電動事業開発本部BEV開発センターBEV完成車統括部BEV商品企画部部長の中野弘二氏によると、新規のBEV専用プラットフォームを使ったものを0シリーズと位置付けるとコメントしていましたので、過去のBEVやN-VANのプラットフォームを流用したN-VAN e:はその範疇に入らないということです。
そして将来は「0シリーズに統合していくことになるでしょう」と述べていました。
つまりコンパクト(あるいは軽も?)からフラッグシップまで、専用プラットフォームを使ったBEVモデルは全て0シリーズとなるようです。
これを裏付けるように、ターゲットユーザーも「全てのお客様に向けて」と中野氏。
「これまでのEVは、ICEに比べると重くて(ボディや床が)分厚くバッテリーをたくさん積むので、全高が高くなってしまいます。そこから逸脱させていきたいのです。
そうすることによって今のモビリティの好きなお客様…それはホンダのお客様だけじゃなくて、全てのお客様に対して提供価値の高いモビリティを提供できると考えているのです。ですから狭い範囲のお客様ではなく思想としては全てのお客様にとなるのです」
なおこの提供価値とは(1)共鳴を呼ぶ芸術的なデザイン、(2)安全・安心のAD/ADAS、(3)IoT・コネクテッドによる新たな空間価値、(4)人車一体の操る喜び、(5)高い電費性能の5つを指すのです。
■スペースハブのデザインに込められた思いとは
そんな視点を含めながらスペースハブを見て見ましょう。
そのデザイン的な特徴を本田技術研究所デザインセンターe-モビリティデザイン開発室プロダクトデザインスタジオチーフエンジニアデザイナーの清水陽祐さんに伺ってみると、「正面から見てわかる通りサイドウインドウが立っていることです」と話します。
通常は空力やダイナミックさ、そしてスタンスの良さを表現したいので寝かせ気味(ハの字のように)にしがちです。しかしあえてスペースハブでは立てています。
その理由は室内空間の確保にありました。寝かせてしまうと左右方向の広さが限られてきてしまうので、それを避けたかったわけです。
そうすることで実際に座ってみると肩回りの広さだけでなく、隣の人との距離感が十分に確保されていました。
一方で、このまま仕上げてしまうとただの“箱”になってしまいます。そこでスペースハブではボディ側の特にドア周りなどを少し絞り気味(内側に入れ込む)にしています。
そうするとタイヤ周りが外に出ているように見え、しっかりと地面に足がついているスタンスの良さが強調されるのです。
その結果として貧弱さやそっけなさは感じなくなっています。こういったデザインはサルーンだけでなく0シリーズ共通のものだとのことでした。
室内に目を向けると、まさに0シリーズに込められた思いが感じられます。
それはホンダの歴史であり原点、出発点です。「M・M思想(Man-Maximum、Mecha-Minimum)」と「操る喜び」、そして「自由な移動の喜び」といったものをホンダは大切にし、今後も変わることのないホンダの原点です。それが特に室内で見て取れます。
2列目と3列目は対面式になっており、そのシートを楕円で包み込むようなレイアウトを取ることによって囲まれ感を演出。2列目から後方を見ると大型のスクリーンに映し出された様々な映像を見ることも出来ます。
これを仕込むためにリアのオーバーハングが長くなっているのでしょう。
そしてその床面は決して高くはなく、現在のミニバンに近いものです。これもホンダ0シリーズの特徴のひとつ、低床化が実現できているからです。
専用プラットフォームですからバッテリーレイアウトも十分に考慮され、LGとの共同開発のリチウムイオン電池を搭載。「電池そのものを乗せるIPUといわれるパックの技術と、フロアサイドフレームといったプラットフォームとの組み合わせでこの低床化を実現した」(中野氏)とのことです。
この室内レイアウトは自動運転を意識したものですから、2026年時点でこのまま実現することはないでしょう。
しかし、低床化はほぼこのままで行けそうですので、これだけでもBEVのボディバリエーションは広がります。
ホンダは2030年までにグローバルでEVの年間生産200万台超を計画していますので、セダンとミニバンだけでなく、クロスオーバーやコンパクトをはじめ様々なボディタイプが控えています。その全てがこのプラットフォームをベースに作られていきます。
そこでまずは、「このプラットフォームの薄く、軽く、賢いという開発の方向性と、全く新しいデザインというホンダ0シリーズのコンセプトを最も表現された2台をお披露目したのです。スペースハブでは薄いプラットフォームをベースにこれだけ新しい空間価値を提供できるという表現です」と中野氏。
ホンダは、我々のBEVはこういう特徴があるのですよと様々なボディタイプを使い訴求していくでしょうから、これからもこういったコンセプトモデルが出てくるでしょう。
そのいずれもがホンダの理念、それはパッケージだけでなく走りも忘れずに登場してくるはずですから、今から楽しみにしたいものです。
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ホンダらしい内燃エンジン作り頑張れよ。