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ロールス・ロイスがコーチビルドで製造した「ボート・テイル」の新作を公開

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ロールス・ロイスがコーチビルドで製造した「ボート・テイル」の新作を公開

20世紀初頭のレーシング・ヨットに着想を得たアウトラインが特徴的

ロールス・ロイス・モーター・カーズは、過去に3台しか製造されたことがなく、今後も製造されることのないであろう「ボート・テイル」について発表した。

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ロールス・ロイス・コーチビルドの真髄は、ひとつひとつの依頼がオーナー自身の歴史や好み、感性を反映し、完全にユニークで個人的な物語を伝えることにある。これを念頭に置き、イタリア北部のコモ湖畔で開催される「コンコルソ・デレガンツェ・ヴィラ・デステ」にて公開された「ボート・テイル」は、洗練、優雅さ、細部へのこだわりが詰まった傑作となった。

「ボート・テイル」は、すべて手づくりで、ボディ・パネルは大きなアルミニウムの一枚板から作られ、20世紀初頭のレーシング・ヨットに着想を得た特徴的なアウトラインを持たせている。すべての点において、この非凡な自動車は完全にユニークな存在となっている。

依頼者が父親と一族の歴史に敬意をあらわす意味で製作

この作品は、もともと家業として真珠産業を始め、発展させた父親を持つ上得意からの依頼で製作された。世界中を旅し、国際的な教育を受け、国際的な嗜好や影響を受けてきたこのオーナーは、アートの後援者としても定評があり、さらにかなりの数のクラシック・カーや現代のクルマのコレクションを所有しており、それらを専用のプライベート・ミュージアムに収蔵している。

この憧れの芸術作品には、ラグジュアリーを知り尽くしたオーナーの洗練されたセンスがはっきりと表れている。全体的なデザインは控えめでありながら、慎重に検討された素材や細部の正確さにより、オーナーの父への敬意が込められた、極めて個人的で感動を呼び起こす作品となっている。

注文プロセスの最初の段階で、オーナーはロールス・ロイス・コーチビルドのデザイナーに、独特で複雑な色合いを持つ真珠貝のコレクションのなかから自身で厳選した4つの貝を選んで提供した。この真珠貝から、ロールス・ロイスがこれまでに製作したビスポーク仕上げのなかで最も複雑なエクステリア・カラーの着想を得ている。

基本色のオイスターとソフト・ローズにホワイトとブロンズの大きなマイカ・フレークを加えており、光の加減で微妙に変化するパール調の質感を実現している。対照的な コニャック・カラーのボンネットは、この「ボート・テイル」のために特別に作られたもので、上質な銅色と金色のアルミニウム・マイカ・フレーク層にクリスタルおよびアイス・マット・クリア・コートを重ね、エクステリアに暖かみと深みをもたらしている。「ボート・テイル」のテクニカル・ファイバー製ロワー・シルには、ローズ・ゴールドの糸が織り込まれている。

「ボート・テイル」独自の「バタフライ・デザイン」のホスティング・スイートが装備されているリヤ・デッキはロイヤル・ウォールナット製ベニアで覆われており、ローズ・ゴールド・メッキにサテン・ブラシ仕上げが施されたピン・ストライプがはめ込まれ、繊細かつ洗練されたエクステリアを演出。時間の経過による熟成が美しく、色調がコニャック・カラーへと徐々に変化していく素材であるロイヤル・ウォールナットはオーナーによるえりすぐりの素材。

上から見ると、アイスドフィニッシュが施されたボンネットおよび手触りの良いウッド製リヤ・デッキと、光沢のあるフロントおよびサイドの視覚的なコントラストによって、調和のとれたバランスを見て取ることができる。フロント・エンドでは、無垢のアルミニウム材から削り出されたパンテオン・グリルにローズ・ゴールドをまとったスピリット・オブ・エクスタシーがあしらわれている。

クルマとオーナー、さらに一族の伝統を強く結びつけるインテリア

インテリアでは、完璧にマッチしたコニャックおよびオイスター・カラーのレザーとロイヤル・ウォールナットのベニアが美しく調和し、随所にローズ・ゴールドとマザー・オブ・パールのアクセントがあしらわれている。そして、真珠光沢仕上げのレザーは、「ボート・テイル」のシートとインテリア・デザインのサーフェスおよびフォルムを際立たせている。

また、トランスミッション・トンネルにはローズ・ゴールドのピン・ストライプ入りロイヤル・ウォールナット・ベニアを使用して、視覚的にリヤ・デッキをイメージさせるとともに、「ボート・テイル」のインテリアに温かみのある輝きを添えている。

さらに、ダッシュボード中央には、オーナー自身が保有するコレクションから選んだ、マザー・オブ・パールを使った時計が備わっている。この時計の文字盤は、貴重な素材を損なわないよう、ピュアでミニマルな外観に仕上げられている。操作スイッチやメーター・ダイヤルにも同じくこの貴重な素材が使われており、視覚的にも素材的にも、クルマとオーナー、さらに一族の伝統を強く結びつけている。

コーチビルド・デザイン責任者のアレックス・イネス氏は、次のように述べている。

「ボート・テイルは、創意工夫と創造の自由における改革です。手作業で自動車を作ることは、新たな領域を開拓し、新しい可能性を提供します。通常の工業化された手法では不可能なことを成し遂げ、課題を解決することができるのです。これは、現代的なデザインの自動車を、歴史に裏打ちされた技術と伝統工芸によって実現したものであり、2つの世界の物語となっています。このクルマは、まさに他に類を見ない存在です」

ロールス・ロイス・モーター・カーズ最高経営責任者のトルステン・ミュラー・エトヴェシュ氏は以下のように語った。

「コーチビルドは、高級車製造業者としてのロールス・ロイスの仕事を新たなステージへと昇華させるものであり、わたくしたちの業界におけるオートクチュールといえます。依頼されるお客様に対しては、究極の個性や自己表現を実現し、また特別なサービスを提供します。コーチビルドは単に美しいクルマというだけでなく、ひとりひとりのお客様にとって、極めて個人的で感情に訴える何かを具現化したレガシーともなります。当社のデザイナーにとってもコーチビルドは比類ない創造の自由をもたらし、デザイン、素材、エンジニアリング、クラフトマンシップを最高レベルにまで引き上げる機会を与えてくれます。ロールス・ロイスというブランドにとって、コーチビルドはそのルーツへの回帰であると同時に、従来の自動車製造では不可能だったものを見事に実現させる『現代の革命』でもあるのです」

関連情報:https://www.rolls-roycemotorcars.com/

構成/土屋嘉久(ADVOX株式会社 代表)

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