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砂漠にズラリ日本車 中東最大の中古車市場@ドバイを歩く ランクルから消防車まで 取引額は?

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砂漠にズラリ日本車 中東最大の中古車市場@ドバイを歩く ランクルから消防車まで 取引額は?

観光都市ドバイの郊外にあるクルマの一大集積地

 中東にあるアラブ首長国連邦(UAE)というと、観光地として有名な都市ドバイのイメージが大きいでしょう。世界一高い人口構造物である超高層ビル「ブルジュ・ハリファ」や、宇宙からも見える人工島のリゾート施設「パーム・アイランド」などは観光スポットとしてよく知られています。

【画像ギャラリー】DAZで販売されている日本車の数々

 しかし、彼の地には、そんな観光とは無縁ともいえる中東最大の中古車市場があります。ドバイ中心部から郊外に向かってクルマで30分ほど行った所にある「ドバイ・オート・ゾーン」(以下DAZ)がそれです。

 ここには400社以上の販売会社と、約1万台の中古車が販売用としてストックされています。そして、その多くは日本から輸出された国産車であり、トヨタの「ハイエース」や「ランドクルーザー」といったお馴染みの車から、幼稚園や学校の名前が入ったスクールバス、さらには病院名や消防本部の名前が残されたままの救急車や消防車まで売られています。

 日本で見慣れたクルマが中東の地でズラリと大量に並んでいるのは、日本人の目から見ると少し異様な光景とも思えるほどです。

 そもそもドバイになぜ中古車販売業者が集まったのでしょうか。

 その理由は、UAE政府が海外企業を誘致するために「フリーゾーン」と呼ばれる経済特区を整備したからです。UAE政府は中東諸国特有ともいえる原油依存の経済から脱却することを目的に、海外企業の誘致を積極的に推進しており、国内には40か所以上のフリーゾーン(経済特区)を設けています。そこでは、100%外国資本による起業が認められており、関税・法人税の免除といった優遇措置も受けることができます。

日本車ばかりでも雰囲気は中東ならでは

 DAZは中古車販売に特化したフリーゾーンに位置付けられており、ここで取り扱われる車はUAE国内で販売禁止の輸出専用という扱いではあるものの、政府の免税措置と付近にある中東最大の貿易ハブ港であるジュベル・アリを活用することで国際的な中古車マーケットの中継地となっているのです。

 DAZの中は、約100坪程度の区画に細かく分かれており、そこにプレハブのオフィスが設けられている以外は、すし詰めのような形で中古車が所狭しと並べられています。店の入り口付近には店番をするスタッフが居るものの、クルマで作業している真面目な店員から、車輪付きのオフィスチェアーとパラソルを出してスマートフォン片手にくつろぐ自由奔放な人まで様々な人間がいました。

 なお、UAE政府が公認する経済特区とはいえ、行政指導がガチガチに行われているわけでもなく、市場の雰囲気はどこか牧歌的な感じでした。

 各販売業者は各々独自のルートで中古車を仕入れて売っており、取り扱っているラインナップも会社ごとに専門化しています。市場を歩いていると、向こうから声を掛けてきたパキスタン人の販売会社は、ハイエースの姉妹車であるレジアスエースを専門に販売していました。

 彼の店の敷地に並んでいたのは、ちょっと古めかしい初代モデルばかりでしたが、日本車は古いモデルでも丈夫で安いために人気が高いとのこと。特に仕事で使う商業車はその傾向が強いそうです。

ハンドルの左右付け替えにも対応

 日本車のバスやトラックを専門にあつかう販売会社でも、やはり1世代以上前のモデルを中心に取り扱っており、最大の輸出先はアフリカ諸国だといいます。店番をしていた責任者は写真撮影と値段の提示を断固拒否しましたが、後から社名をネットで調べると公式ホームページがあり、そこには写真付きで値段も提示されていました。こうした、ちぐはぐな対応も中東特有のビジネスっぽさを感じます。

 ホームページによれば、2トン車のトラックで1万ドル(日本円で約135万円)、平ボディの4トン車トラックで約2万ドル(同約270万円)。50人乗りの大型バスだと3万ドル(同約405万円)になり、輸送費の関係から大きさに比例して高くなるようです。

 旧車の場合はメンテナンスに関わる部分が気になるところですが、多くの販売会社がパーツ類も同時に輸入しているそうです。また、DAZ周辺には多くの整備工場があり、ここでは整備や修理作業のほかに、輸出する国に合わせてハンドルを左右に付け替える改造まで行っているとのこと。クルマ単体の販売だけでなく、アフターサポートまでできるマーケットが独自に形成されているのは驚かされます。

 なお、日本から輸入された商業車はボディに所属会社名などがそのまま残っていますが、これは「日本から仕入れた生粋の日本車」という、中古車としての価値を高めるステータスシンボルになっているようです。

 個人所有であろう旧車トラックを見ていたら、ボディには日本国内で使われていたときに貼ったと思われる「ビックリマン」シールがそのまま残っており、中東の地で偶然見かけた日本車に、予期せぬ日本の面影を見つけることができて、少し笑顔になりました。

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