FIA F2第10戦ソチのレース1では、ミック・シューマッハー(プレマ)がポールポジションスタートの角田裕毅(カーリン)を逆転して優勝。今季2勝目を挙げてドライバーズ選手権のリードを大きく広げた。しかしながらこのリザルトを不服として、いくつかのチームが抗議を検討しているという。
レース序盤、プレマのメカニック達はロバート・シュバルツマンをピットに迎え入れるために待機していた。しかしそんなメカニックに対し、プレマのチーム代表であるルネ・ロジンが、シュバルツマンとシューマッハーが同じ周にピットインしてくることを必死に伝えている様子が映し出されていた。
F2において、マシンの作業に携わる12人のオペレーションスタッフは、その12人に登録されていないチームメンバーとコミュニケーションを取ることが禁止されている。ロジンはこの件で審議対象となったが、明確にルールに違反しているとは認められなかった。
スチュワードの声明には次のように記されている。
「当該チーム代表の行為は、チームや車両、ピットストップの運用に影響を与えるものではなかったため、2020年F2競技規則の第21.5条には違反していない」
しかしながらスチュワードは「彼のとった行動は、適切な映像やカメラアングルを見られない人たちに、作戦の指示をしていると誤解される可能性があり、競技に悪影響を与える行為だった」と結論付け、ロジンに1万ユーロ(約122万円)の罰金を科すことを決定した。
motorsport.comの調べによると、今回の件に競技上のペナルティが科されず罰金のみとなったことについて、ARTグランプリ、カーリン、DAMS、ユニ-ヴィルトゥオーシの4チームが控訴することを検討しているという。彼らには裁定が下されてから4日間(96時間)の控訴期間が設けられている。
また、シューマッハーは“代替バージョンのDRSクランク”を使用していたとして、こちらも審議となっていたが、お咎め無しとなった。
調査の対象となったのは、DRSの故障を防止するために昨年のバクー戦から義務化されたリヤウイングのエレメント。プレマはシューマッハーがモンツァ戦の予選でクラッシュした後に代替のDRSクランクを装着したが、これが規則違反ではないかとの疑いがあがっていたのだ。
この件についてスチュワードは、このような声明を出した。
「スチュワードは(シューマッハー車の)代替パーツと正しい参照パーツを精査した」
「それらは極めて近似している。重ねて見ると違いは一目瞭然だが、肉眼で個別に見た場合、極めて経験豊富な者でないと見分けることはできない」
「このパーツは明らかにマシンのパフォーマンスを向上させるものではないので、チームはこのパーツを使用しても競技上の優位性を得ることはない」
シューマッハーは現在2020年のF2選手権をリードしており、2番手のカラム・アイロットに対して18ポイントの差をつけている。
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