現在位置: carview! > ニュース > スポーツ > ル・マンの”ルールにない”性能調整。トヨタWEC代表の小林可夢偉は怒り心頭「これはBoPではないらしい」

ここから本文です

ル・マンの”ルールにない”性能調整。トヨタWEC代表の小林可夢偉は怒り心頭「これはBoPではないらしい」

掲載 11
ル・マンの”ルールにない”性能調整。トヨタWEC代表の小林可夢偉は怒り心頭「これはBoPではないらしい」

 Toyota Gazoo Racing WEC(世界耐久選手権)チームの代表兼7号車のドライバーである小林可夢偉は、ル・マン24時間レースを前にハイパーカークラスにおいて実施された性能調整について「レギュレーションにないことだ」と憤慨している。

 今季のWECハイパーカークラスでは、開幕に先駆けて初戦セブリングから第4戦ル・マンまでのバランス・オブ・パフォーマンス(BoP)が発表。マシンそれぞれに課された車両最低重量と最高出力などはその間、基本的に変更されないこととなっていた。

■ル・マン24時間|予選はフェラーリがワンツー。謎の性能調整背負うトヨタ2台も続き、ハイパーポール進出

 ル・マンの前に変更される可能性があったのは、クラス内のル・マン・ハイパーカー(LMH)とLMDhの勢力均衡を図る”プラットフォームBoP”のみ。しかもその変更が行なわれるタイミングは、第3戦スパの前とされていた。

 しかし、ル・マン24時間のテストデーを前に新たな性能調整が発表され、ハイパーカークラス参戦のLMHとLMDhの車両最低重量が変更された。

 開幕3連勝のトヨタ『GR010ハイブリッド』には、37kg増と最も厳しい調整が加えられた。またライバルのフェラーリ『499P』は24kg、LMDh勢では頭ひとつ抜け出していたキャデラック『Vシリーズ.R』は11kg、それぞれ最低重量が引き上げられることになった。

 一方で、ポルシェのLMDh『963』は3kg増。プジョーのLMH『9X8』をはじめ、ハイブリッド非搭載のLMH勢、グリッケンハウス『007』やヴァンウォール『バンダーベル680』には調整が行なわれなかった。

 レギュレーションを司るFIAとACO(フランス西部自動車クラブ)の意図するところは、100周年を迎えた”重要な”ル・マンを、コース上の熾烈な接近戦で彩りたいということだろう。

 小林はショーとしての勢力均衡という側面を認めつつ、突然の性能調整について驚きと失望を持って受け止めている。

「実際、なぜ変えたのか(主催者側に)訊いてみると『これはBoPではなくて、調整だ』と言うんです」

「この”調整”というのがよく分かりません。明らかに、こういった変更に関するレギュレーションはないと思いますし、僕らは非常に驚き、残念に思っています」

「レースまで、時間は少し残っています。レースには挑戦しますが、明らかにレギュレーションにないことです。彼らはレギュレーションを変更して、互いに接近させたいんだろうなと思います。それは理解できます」

「でも、これだけ重いウェイトをいきなり積ませておきながら、どうやって正確さを保つことができるんですかね?」

「特に、今回は以前は禁止されていたタイヤウォーマーに関して変更がありました。僕らにはデータがないんですよ」

「変更は全て接近戦のためのモノですが、どうなるかはよく分かりません。(マシンの性能差は)近づくでしょうけど、普通ではないとは感じています」

 そして小林は次のように続ける。

「もちろん、とても残念です。これはBoPではないので、BoPに関しては何もコメントできません。ただ、これはレギュレーションにない調整なんです」

「僕らは驚きましたし、かなり失望しています。チームのみんながビッグレースに向けて努力して、勝てると自信を持っていました」

「でも直前になって突然、かなりのウェイトを積むことになりました。正直に言って、かなり厳しい状況になりましたよ」

 本戦を前に、再びBoPが変更される可能性はゼロではない。ただ、低い温度域から作動するタイヤに車重が与える影響は大きいと小林は考えている。

 motorsport.comが今回増やされた37kgをセットアップ面でどう対応していくか、と小林に尋ねると彼は次のように答えた。

「このマシンにこれだけのウェイトを積むのは初めてのことです」

「無論、2023年タイヤへのダメージはかなり大きくなります。タイヤウォーマーが要らない仕様のタイヤ(※ル・マンでは特例としてタイヤウォーマーを使うことができる)なので、作動温度領域は低くなっています。そのため、ウェイトが増えた途端、車重が与える影響は想像以上に大きくなります」

「結果として、これらの変更のために僕らはかなりのことを犠牲にしています。残念ながら、僕らが十分に速くないというのは明確です」

 なおハイパーポールに向けて行なわれた予選1回目では、フェラーリの50号車499Pがハイパーカークラスの最速タイムをマークし、僚機51号車が2番手を記録。トヨタGR010ハイブリッドの2台がそれに続いた。

 LMDh勢ではポルシェワークスの2台が5~6番手、キャデラック勢が残りの2枠のハイパーポール進出権を掴んだ。

こんな記事も読まれています

やっぱたまらんなV型エンジン!! [スカイラインNISMO]とレクサス[IS500]の[パンチ力]にひれ伏した件
やっぱたまらんなV型エンジン!! [スカイラインNISMO]とレクサス[IS500]の[パンチ力]にひれ伏した件
ベストカーWeb
【角田裕毅F1第22戦展望】ファクトリーと現場の連携で活きたレッドブル製リヤサスペンション。改善の継続が7番手に繋がる
【角田裕毅F1第22戦展望】ファクトリーと現場の連携で活きたレッドブル製リヤサスペンション。改善の継続が7番手に繋がる
AUTOSPORT web
エバンスとの実質的な一騎打ちもタナクはトップ譲らず。ヌービルは7番手に挽回【ラリージャパン デイ3】
エバンスとの実質的な一騎打ちもタナクはトップ譲らず。ヌービルは7番手に挽回【ラリージャパン デイ3】
AUTOSPORT web
メルセデス・ベンツCLE 詳細データテスト 快適で上質な走りが身上 動力性能と燃費効率はほどほど
メルセデス・ベンツCLE 詳細データテスト 快適で上質な走りが身上 動力性能と燃費効率はほどほど
AUTOCAR JAPAN
WRCラリージャパンSS12恵那での車両進入事案について実行委員会が声明。被害届を提出へ
WRCラリージャパンSS12恵那での車両進入事案について実行委員会が声明。被害届を提出へ
AUTOSPORT web
2024年も記録保持中!? カローラ ロードスター…… ギネスブックに登録された「日本のクルマの世界一」【10年前の再録記事プレイバック】
2024年も記録保持中!? カローラ ロードスター…… ギネスブックに登録された「日本のクルマの世界一」【10年前の再録記事プレイバック】
ベストカーWeb
80年代バブル期に日本で人気だったMG「ミジェット」に試乗! 英国ライトウェイトスポーツの代表格はいまもビギナーにオススメです【旧車ソムリエ】
80年代バブル期に日本で人気だったMG「ミジェット」に試乗! 英国ライトウェイトスポーツの代表格はいまもビギナーにオススメです【旧車ソムリエ】
Auto Messe Web
【正式結果】2024年F1第22戦ラスベガスGP予選
【正式結果】2024年F1第22戦ラスベガスGP予選
AUTOSPORT web
角田裕毅が予選7番手「大満足。アップグレードへの理解が改善につながった」努力が報われたとチームも喜ぶ/F1第22戦
角田裕毅が予選7番手「大満足。アップグレードへの理解が改善につながった」努力が報われたとチームも喜ぶ/F1第22戦
AUTOSPORT web
勝田貴元、木にスピンヒットも間一髪「メンタル的に難しい一日。明日はタイトル獲得を最優先」/ラリージャパン デイ3
勝田貴元、木にスピンヒットも間一髪「メンタル的に難しい一日。明日はタイトル獲得を最優先」/ラリージャパン デイ3
AUTOSPORT web
クラッシュで50Gを超える衝撃を受けたコラピント。決勝レースの出場可否は再検査後に判断へ/F1第22戦
クラッシュで50Gを超える衝撃を受けたコラピント。決勝レースの出場可否は再検査後に判断へ/F1第22戦
AUTOSPORT web
胸を打つ「上質な走り」 アウディQ6 e-トロン・クワトロへ試乗 優秀なシャシーを味わえる388ps!
胸を打つ「上質な走り」 アウディQ6 e-トロン・クワトロへ試乗 優秀なシャシーを味わえる388ps!
AUTOCAR JAPAN
オーテック&ニスモ車が大集合!「AOG湘南里帰りミーティング2024」で見た「超レア車5台」と「中古車で狙いたいクルマ5台」を紹介します
オーテック&ニスモ車が大集合!「AOG湘南里帰りミーティング2024」で見た「超レア車5台」と「中古車で狙いたいクルマ5台」を紹介します
Auto Messe Web
なぜ潰れた? 名車と振り返る「消滅した自動車メーカー」 32選 後編
なぜ潰れた? 名車と振り返る「消滅した自動車メーカー」 32選 後編
AUTOCAR JAPAN
ラリージャパン3日目、SS12がキャンセル…一般車両が検問を突破しコース内へ進入、実行委員会は理解呼びかけると共に被害届を提出予定
ラリージャパン3日目、SS12がキャンセル…一般車両が検問を突破しコース内へ進入、実行委員会は理解呼びかけると共に被害届を提出予定
レスポンス
【F1第22戦予選の要点】苦戦予想を覆すアタック。ラッセルとガスリーが見せた2つのサプライズ
【F1第22戦予選の要点】苦戦予想を覆すアタック。ラッセルとガスリーが見せた2つのサプライズ
AUTOSPORT web
なぜ潰れた? 名車と振り返る「消滅した自動車メーカー」 32選 前編
なぜ潰れた? 名車と振り返る「消滅した自動車メーカー」 32選 前編
AUTOCAR JAPAN
NASCARの2024シーズン終了! 日本からスポット参戦した「Hattori Racing Enterprises」の今季の結果は…?
NASCARの2024シーズン終了! 日本からスポット参戦した「Hattori Racing Enterprises」の今季の結果は…?
Auto Messe Web

みんなのコメント

11件
  • ヨーロッパ中心主義。
    出る釘は打たれると言うお決まりのやり方。

  • 余所者の参加を制限しておきながらワールドタイトルなどと名乗るな!
    欧米タイトルならEECとでも言ってろ!
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

査定を依頼する

メーカー
モデル
年式
走行距離

おすすめのニュース

愛車管理はマイカーページで!

登録してお得なクーポンを獲得しよう

マイカー登録をする

おすすめのニュース

おすすめをもっと見る

あなたにおすすめのサービス

メーカー
モデル
年式
走行距離

新車見積りサービス

店舗に行かずにお家でカンタン新車見積り。まずはネットで地域や希望車種を入力!

新車見積りサービス
都道府県
市区町村