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お調子者営業マンだった私が、Z32専門店を立ち上げるまで[エピソード2]

掲載 3
お調子者営業マンだった私が、Z32専門店を立ち上げるまで[エピソード2]

運営元:旧車王
著者 :小村英樹

日本アルミ弁当箱協会会長「アルミ弁当箱図鑑 厳選50 」出版への道

今から25年前の1997年、平成9年に中古車販売店の営業の仕事をスタートした筆者。

当時、新人セールスの筆者でも月に10台は売れた時代でした。

しかし、その販売スタイルを一新すべく、強行突破で始めたのが70スープラ専門店。

これは大当たり!だったのですが、トヨタ車は壊れないのでユーザーとの接点が希薄になり、パタリと売れなくなったのです。

そこへ、たまたま下取りで入ってきたのが真っ赤な元年式のフェアレディZ(Z32)。

直観的に「これがおそらくラストチャンスだ!日本一のZ32専門店を作るぞ!」と迷いなく決断し、Z32専門店に転換。

再スタートを切ることとなったのです。

(前回のエピソード)
■お調子者営業マンだった私が、Z32専門店を立ち上げるまで

https://www.qsha-oh.com/historia/article/z32-omura-vol1/

■なぜZ32専門店に急転換できたか?当時、雇われていた会社は、東京と神奈川県に8店舗を展開する創業30年の中堅中古車販売店。

特に神奈川県は他社との競合が激しく、食うか食われるかの激戦区でしたから、早急な店舗作りが求められました。

幸い、その会社は店長会議で報告するだけでお店の方向性を決めることができたのです。

社長は数字には厳しかったですが、若い社員がのびのび働ける環境を提供してくれたのだと思います。

私も、ある一店舗を任せれていたので、そのお陰で思い切った店作りを夢見ることができたのです。

■まず店構えを一新し!Z32を大量仕入れ!派手に宣伝!Z32専門店をやると決めた以上、とにかく店構えが大事です。

それまでのイメージを一新するため、自分で看板をデザインし、一気に交換しました。

これでもう後に引けません。

車種変更もできません。

逃げ道がないよう、自分で自分を追い込んだのです。

同時に、自ら関東・東海の主要オークション会場に出向き、Z32を買いまくって、展示場全体をZ32で埋め尽くしました。

こうしてあれよあれよという間に、Z32専門店のできあがりです。

ショールーム付きで、ピットも併設された立派なお店になりました。

国道16号沿いで立地も最高。

通りかかりの人が、その圧巻の光景に目を奪われたことでしょう。

当時、宣伝に一番お金をかけたのが、雑誌「カーセンサー」でした。

月に2回、カラー見開き2ページで、掲載料は50万円くらいだったと思います。

まだホームページがない頃ですから、とにかく雑誌に派手に露出することが重要だったのです。

さぁ、これで準備万端!ここまでは順調!後は、売るだけです!

■軌道に乗るまでは、記憶に残らないほどの忙しさ!当初は2人しかいませんでしたので、とにかく忙しい!

軌道に乗るまでの3年間は、ほぼ不眠不休でした。

人間、意外と頑丈ですね。

当時はまだ30代前半でしたので、気力だけで頑張れました。

ただ、何度とか神経痛になりましたが・・・。

その忙しさといえば、仕入れたクルマをその日のうちに磨き、ピッカピカに仕上げて次の朝には並べる。

フロントガラスには、そのクルマの装備や特長を書いてカラフルなイルミネーションを貼る。

週末の前日は、何時になろうと全車綺麗に洗車する。

カーセンサーの原稿は、30台分を手書きで作る。

売れたクルマは、自分で陸運局まで出向いて登録し、納車準備をする。

時には、遠方へ納車も・・・。

頭を使わず、体を使った仕事が多かったように思います。

不思議なのは、その頃の記憶が殆どないんですよね。

■売ればクレームの嵐!整備の重要性を痛感!努力の甲斐あって、売れはじめるのは早かったです。

ところが、ろくすっぽ整備もせずに納車していましたので、いきなりクレームの嵐。

70スープラのときとは大違いです。

70スープラは、ご納車後故障もなく、何の不安もなく売っていましたので。

特に多かったのが、「エンジンが止まる!」「エンジンがかからない!」という致命的なものでした。

「厄介なクルマを始めてしまったなぁ」と、後悔先に立たず。

Z32のウィークポイントも知らずに、いいことだけいって売っていましたので、いきなりしっぺ返しがきました。

どうやら、パワートランジスタという部品がダメらしい。

3万円(今は5万円)と高価でしたが、これだけは事前に交換して納車することにしました。

整備の重要性を感じた瞬間です。

これが、整備にも力を入れるきっかけになったわけです。

その後、専属のメカニックを置くようにして、少しずつ整備体制も整えて行くようになったのです。

■専門店は目立ったもの勝ち!有名になって有頂天に!しかし、当時はまだカスタムやドレスアップが流行っていた頃。

各メーカーから多種多少の魅力的なパーツがラインナップされていました。

優先すべきは、いかに派手するか、格好良くするかです。

メンテナンスは二の次です。

広告塔のデモカーはどこよりも目を引くように仕上げました。

さらに、
・雑誌には一番目立つ広告を!
・オリジナルパーツも豊富に用意!
・イベントにも出まくる!
・メンテナンスはどこよりも安く!
・極めつけは、エンジンオイル交換永久無料!

集客率を上げるために、思いつくことはすべてやったのです。

ネットの普及に伴って、ホームページでリアルタイムな情報を提供することも徹底していました。

専門店は目立ったもの勝ち!

他社の追従を許さず、ライバルが現れても、どこ吹く風。

飛ぶ鳥を落とす勢いで、快進撃は続きます。

有名になって完全に有頂天になってしまうのです。

■転落した専門店を救った東京オートサロンの出展!ところが、私の独りよがりでお店を作ってきたので、他のスタッフが付いてこれるわけがありません。

私以外、Z32好きというわけではありませんでしたので、熱量の差が違いすぎます。

接客も整備もクレームが増えて、ネットで悪評が広がり、それまでの勢いに陰りが出はじめたのです。

いつの間にか、ポツンと裸の王様。名ばかりの専門店になっていました。

さて、どう立て直すか?

起死回生を狙ったのが、東京オートサロンの出展です。

ショップならどこでも憧れるクルマの祭典です。

今までの集大成ともいうべき究極のデモカーを作って出てみようと決意したのです。

これでもかというほどお金をかけました・・・。

結果、大反響をいただき「普通の中古車屋さんが、ついにここまで来たか!」と、成功した実感を味わったのを思い出します。

■10年間やってきた専門店がいきなり消滅!まさかの独立へ!しかし、その達成感は、燃え尽き症候群の引き金となり、一気に気力が失せたのです。

何とか勢いでここまで来ましたが、その先のビジョンが見えなくなりました。

売上目標や月販30台のノルマや数字のプレッシャーにも潰され、精神的に追い込まれていたので、しだいに辞めたいと思うようになっていたのです。

元々、営業が性に合っていませんでしたし。

そんな中、追い打ちをかける人生最大の転機が訪れました。

雇われていた会社が計画倒産したのです。

今まで築き上げてきたものが、一瞬にして崩れ落ち無職に。

すぐに頭によぎったのは「今までのお客様をないがしろにして逃げるなんてことはできない」という想いでした。

辞めたいと思っていたのがまるでウソのようでした。

解放感と使命感と不安感がブレンドされた今までに味わったことのない独特な気分の中、まさかの事態に戸惑っている暇もなく独立を決意することに。

こうして、10年やってきたZ32専門店は幕を閉じ、新たなステージへと進むことになるのです。

[つづく]

[ライター・撮影/小村英樹(Zone代表)]

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みんなのコメント

3件
  • 店員が好きでもない車種の専門店とか行かないな。
    俺の車の専門店が千葉の方にあるが、板金塗装以外は全部直せるいいところだ。
  • なんで専門店語りだすと扱ってる車の値段バカ高くなるのだろう
    そういう店いっぱいあるけどなんか凄いの? 
    その車種にただ慣れてるだけでしょ
    勝手にプレミア付けて買う方も買う方・・・
    でも狭いところの商売成り立つのが凄い


※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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