2021年8月、11代目となるホンダシビックが発表になった。それと同時にホットモデルであるタイプRも2022年に発売するとの発表もあった。
華麗なるタイプRの歴史を振り返ると、VTECを採用した超高回転NAエンジンと共にその伝説とも言える歴史を紡いできた。
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しかし現状のタイプRはターボ化され300psを超える出力こそ得たが、かつての軽快なスポーツ性が失われたという意見もある。いったいタイプRはどこに向かっているのだろうか。
文/岡本幸一郎、写真/HONDA
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■鈴鹿でFF最速を記録した5代目シビックタイプR
鈴鹿サーキットでFF車最速タイムを叩き出した5代目シビックタイプR。足回りはチューンされてはいたが、エンジンには手が加えられず、通常のタイプRと同じK20Cが搭載されていた
ベース車のモデルチェンジを控え、5代目シビックタイプRは7月末日をもって販売終了となったが、8月5日の11代目シビックが日本で発表された際に、新型シビックタイプRが2022年に発売予定であることを明らかにしている。
1年あまり前の2020年7月には、シビック タイプRの Limited Editionが鈴鹿サーキットでFF量産車の世界最速となる2分23秒993のラップタイムを記録したことが報じられた。
その走りを支えた技術として、専用の20インチのBBS製鍛造アルミホイールとミシュラン製ハイグリップタイヤの装着、バネ下重量の軽量化、アダプティブ・ダンパー・システムとEPSの専用セッティングなどが挙げられる。
ただし、エンジンには手が加えられていない。件の車両に搭載されていたのも、通常のシビック タイプRと同じK20Cだ。
■驚きの高性能で登場したターボ版タイプR
シビック タイプRとしては4代目となるFK2からターボエンジンが搭載された。高回転型のNAエンジンのイメージが強いタイプRとしては大胆な変更だった
高回転型の自然吸気エンジンのイメージが強いタイプRにターボエンジンが搭載されたのは、シビック タイプRとしては4代目となる先代のFK2型から。最新のエアロダイナミクスを取り入れて一気に過激になった外観も、いかにパフォーマンスを追求しかを体現していた。
4代目で310ps、5代目では320psを発生するK20Cは、下から上まで驚くほどレスポンシブかつパワフルで、まるで全域がパワーバンドのようなフィーリングに仕上がっていることに感銘を受けたものだ。
しかも、なにか特別な技術が盛り込まれているものと思いきや、過給圧を緻密にコントロールできる電動アクチュエーターを採用するぐらいで、よくあるツインスクロールターボ等は用いていないことにも驚いた。
さらに5代目では、エンジン制御の改良や6速MTのローレシオ化、軽量なシングルマス・フライホイールなどの採用により、感覚としては10psアップではすまいほどパワフルになった。
■自然吸気のスムーズな吹け上がりとサウンドも魅力
NAエンジン搭載タイプRの中で印象深いのはインテグラ タイプR(DC2)だ。特にエンジンを手組みされた95スペックの初期モデルは別物といっていい痛快なエンジンフィールを持っていた
ところが、そんな極めて完成度の高いターボエンジンを積んでもなお、タイプRは自然吸気のほうががよかったという声が根強くある。それほどまでに印象的だったということだ。
自然吸気のタイプRの中でももっとも印象深いのは、シビックよりも一足先にタイプRの先陣を切って登場したDC2型インテグラタイプRの95スペックだ。それ以外のタイプRももちろんよくできているのは周知のとおりだが、同じB18Cでも唯一、手組みされた95スペックの初期モデルだけは別物といってよい。
ポート研磨および面研、フルバランス取りを行なったというだけあって、吹け上がりのスムーズさと美しい音色が際立っていた。その痛快なエンジンフィールが多くのファンを魅了したのはよくわかる。
最高出力200ps/8000rpm、最大トルク18.5kgm/7500rpmというスペックは以降のDC2インテRと同一か同等だが、いずれにしても自然吸気でリッターあたり約111psを実現したというのは相当なことだ。
かたや弟分のシビックタイプRは2年後の97年に初代EK9型が登場した。185psの最高出力を、B18Cよりも200rpm高い8200rpmで発生するB16B型を搭載し、リッターあたり出力も約115psとやや上回っていた。
続く2代目インテグラ タイプR(DC5)ではi-VTECを備えた2.0リッターのK20Aに換装された
続く2代目のDC5インテグラタイプRではi-VTECを備えた2.0リッターのK20Aに換装。220psとなり、このとき初めて6速MTが搭載された。一方で、イギリス生産のEP3型2代目シビックRは排気系の違いにより5ps低い215psとなった。
初であり唯一となるセダンボディの与えられた3代目のFD2型シビックタイプRでは、K20Aは225psとなった。世代としては同時期となるFN2型タイプRユーロには、201psとやや控えめなスペックとなったK20Zが搭載され、その次の世代から前述のとおりターボが搭載されることになる。
■ホンダがターボを選択した理由
2021年8月に発表された新型シビック。2022年に新型タイプR発売も予定されている。ターボでいくのかNAに回帰するのか、はたまたHVか……どのようなパフォーマンスを見せてくれるか楽しみだ
あれほどVTECの高回転型の自然吸気エンジンでならしたホンダが、なぜターボを選択したのか、それはいずれにしても「極める」ためだ。
自然吸気だろうとターボだろうと、とにかくホンダがこだわっているのは、とにかく動力性能においてライバルを圧倒的に上回り、マウントを取ることだ。そのためのVTECであり、さらにはVTEC+ターボである。
近年はターボなしでの高性能エンジンというのは考えられない。時代に即したモノの進化のあり方としては、ごく自然の成り行きといえる。限られたリソースの中で、ニュルブルクリンクや鈴鹿など特定のコースをいかに速く走れるかを目指すとなった場合に、ターボの力をフルに活用しようと考えるのは当然だ。
2022年に登場する次期シビックタイプRも、おそらく相当なパフォーマンスを発揮するに違いない。ただし、与えたインパクトの大きさでは、上でも述べたとおりの、タイプR伝説を生み出した張本人といえるDC2型インテグラタイプRの95スペックの初期型を超えるのは相当に難しいことと思う。
そもそも超えたところでホンダ自身にもあまりメリットはないように思うが、車種整理が報じられ、明るいニュースの乏しいいまのホンダにとって、イメージリーダー的な役目をはたすタイプRには、乗り手の心に強く訴えかける、ホンダらしいものを我々としては期待せずにいられない。
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みんなのコメント
「96スペック」だよ。
NAのフィーリングが欲しいなら大型のバイクにのった方が気持ちいい。
フィットの最低スパルタンモデルにB16AかB16Bを積めたらなぁ
無理だよなぁ
20年前に免許取れたてで乗ってたEF9は最高だったのになぁ。
弄るのは自由だけど弄って楽しい車出して欲しいなぁ。