「子どもアイディアコンテスト」とは?
「子どもアイディアコンテスト」は、創業以来「夢」を原動力に歩んできたホンダが「未来を創る子どもたち」の『夢』と『創造力』を育みたいという想いで2002年から始まったイベントだ。
子どもならではアイディアを、自らの言葉や絵、立体作品として表現しわかりやすく伝えることで、夢をもつことや挑戦すること、創造することの大切さと楽しさ体験して成長していく力にしてもらいたいという意図が込められている。
【国産車初!】ホンダ「シビック e:HEV/ TYPE R」が、2022-2023「日本カー・オブ・ザ・イヤー」にて「パフォーマンス・カー・オブ・ザ・イヤー」を受賞!
入賞作品「うみのふかさをはかるメガネ」をプレゼンする島田莉仁くん(埼玉県/1年生)このコンテストでは、教育関連の有識者からも将来が見通せない困難な時代に必要な思考力・判断力・表現力などの総合的な力を身につけることが期待されており、文部科学省や一部の小学校と協力した試験的な取り組みも行われている。
2021年は1万2000件、2022年は8000件以上の応募があり、2002年のスタートから累計応募数は8万件を超える。2005年からはタイで、2008年からはベトナムでも開催されており、グローバルでは430万件以上のアイディアが生まれているのだ。
2022年のテーマは「未来」
入賞作品「鳥さんが網でゴミ取りする その名も超アミーゴ!」をプレゼンする荒木伶王くん(兵庫県/5年生)2022年6月から9月の期間内に応募された「未来に”あったらいいな”と思うアイディア」は全国の小学1~3年生の低学年の部、4~6年生の高学年の部あわせて8000件以上!
アイディアのイメージ画による一次選考を経て、2022年12月10日のホンダ・ウェルカムプラザ青山で開催された最終選考会ではそのイメージ画を基に作られた立体造形物の製作と審査員の前で行なうプレゼンにより受賞者が決定する。
この最終選考に進んだファイナリストは低学年の部10組10名、高学年の部10組12名の計20作品。その中から低学年の部と高学年の部それぞれ最優秀賞1組、優秀賞2組、審査員特別賞1組、キッズ大賞1組ずつが選ばれることになる。
審査基準はアイディア、そのアイディアを思った通りに形にできたか、そのための工夫、アイディアと作品を見ている人に伝えるプレゼンなどがポイントとなっている。
審査員長の茂木健一郎氏。審査はゲスト審査員2名と主催者側審査員3名の計5名。
ゲスト審査員は審査員長も努める脳科学者・茂木健一郎氏とカーライフ・ジャーナリストのまるも亜希子氏。
主催者側(ホンダ)審査員は本田技研工業取締役会長・倉石誠司氏と本田技術研究所から福島のぞみ氏と住岡忠使氏の計3名。
福島氏は藻からクリーンエネルギーを取り出す研究をしており、住岡氏はロボットなどの研究に従事するなど、まさにホンダの夢・創造・アイディアの最先端にいる研究者だ。
ファイナリストが選ぶキッズ大賞
「キッズ大賞」はファイナリストとして最終審査会に進んだ参加者自身がプレゼンを見た上で投票する形となっており、低学年の部と高学年の部それぞれ1組ずつを選考。
応援団長である石倉会長より記念品が贈呈された。
キッズ大賞(低学年の部)キッズ大賞(高学年の部)■低学年の部「公園に本の自どうはんばいき」(後藤しいな/千葉県/2年)
移動図書館に着想を得て、読まなくなった本を回収し新たに本を購入できる本の自動販売機。本はタイトルでセレクトするのでなく、「あったか~い」や「つめた~い」「おもしろ~い」「こわ~い」といった読みたい気分やジャンルをセレクトすると言う。中には「シークレット」も設定されている遊び心も。
また、夜間照明となるネコミミは実際に点灯するなど工夫が凝らされていた。
低学年の部キッズ大賞を受賞した後藤しいなさん(千葉県/2年)の「公園に本の自どうはんばいき」■高学年の部「夢みる バクラ」(菊池 怜/福岡県/6年)
「夢の中で好きな人とやりたいことができる」マクラ。しかも夢は対象と共有でき、五感もある。距離と時間を超越して夢の中で会うだけでなく、夢の中の出来事をリアルに感じられる、まさに夢のようなマシンだ。
アイディアだけでなく、「バク」と「マクラ」を掛けたネーミングや、イラストだけでパッとわかる五感や気持ちの表現力も受賞の要因となったようだ。
高学年の部キッズ大賞を受賞した菊池 怜さん(福岡県/6年)の「夢みる バクラ」審査員特別賞
「審査員特別賞」はゲスト審査員イチオシの作品が低学年の部と高学年の部それぞれ1組ずつ選ばれた。
ゲスト審査員のまるも亜希子さんが低学年の部、審査員長の茂木さんが高学年の部のトロフィーを手渡した。
審査員特別賞(低学年の部)審査員特別賞(高学年の部)■低学年の部「ほしマンション」(岡田伊勢/広島県/1年)
星の世界に対する憧れから生まれた作品。宇宙まで届く高層マンションで雲海すら下に見える最高の展望があるだけでなく、マンション内には遊園地やホテル、レストランも備えるハイクラスなリゾート。それでいてこの誰でも利用でき、中には宇宙人もやってきてコミュニケーションも楽しめる。
元の状態から次々で施設や解説が積み重なっていく様子はとても楽しげな作品だった。また、古くからSF作品に登場する産業構造まで内包した巨大居住建築物「アーコロジー」を思い起こさせた。
低学年の部審査員特別賞を受賞した岡田伊勢さん(広島県/1年)の「ほしマンション」■高学年の部「自然の力でモコモコ泡建築」(柴田日晴/千葉県/6年)
カマキリやモリアオガエルの卵に着想を得て、現代の空き家問題にも踏み込んだ意欲的な作品。
再生可能な自然由来素材で作られた泡状の建築物で、泡ならではの形状の自由度と生成スピードで好みの家を素早く作ることができるだけでなく、自然の力でカエルので解体も容易。
災害時や緊急時の臨時住宅はもちろん、取り壊しが難しい空き家の問題も解決する優れたアイディアだ。
しかも、試行錯誤した作品の泡にはマシュマロを使っており、プレゼンで泡を食べるパフォーマンスが会場を驚かせた。
高学年の部審査員特別賞を受賞した柴田日晴さん(千葉県/6年)の「自然の力でモコモコ泡建築」人の気持ちに寄りそう優秀賞
「優秀賞」に選ばれたのは低学年の部と高学年の部それぞれ2組ずつの全4作品。
受賞作品の傾向としては人の気持ちや心にまつわるアイディアが注目されたように思われる。
優秀賞はプレゼンも秀逸で、芸人やテレビショッピングも斯くやの内容で、審査員も舌を巻くほど。低学年の部は福島さんが、高学年の部は住岡さんが総評し、トロフィーと記念品を手渡した。
優秀賞(低学年の部)優秀賞(低学年の部)優秀賞(高学年の部)優秀賞(高学年の部)■低学年の部「気持ちをつたえる つたえロウ」(遠田花夏/東京都/3年)
人の気持ちを察して、伝えにくいことも相手を嫌な気持ちにさせずやんわりと、それでいて確かに伝えてくれるロボット。それが「つたえロウ」。
何よりその造形力が素晴らしく、詳細に作り込まれた「つたえロウ」の内部構造は可動ギミックまで仕込まれた驚きのレベルだ。
低学年の部優秀賞を受賞した遠田花夏さん(東京都/3年)の「気持ちをつたえる つたえロウ」■低学年の部「ボクだけをほめてくれるロボット」(石井蓮人/兵庫県/2年)
日頃、お母さんに怒られてばかりと言う石井くんのアイディアは「ボクだけをほめてくれるロボット」。
他の人に怒られるようなことでも、このロボットは良いところを見つけてほめてくれ、時には激励してくれる。「自己肯定感」にまで踏み込んだ内容に、審査員はもちろん来場者、取材者からも「これはウチにも欲しい」との声が上がった。
低学年の部優秀賞を受賞した石井蓮人くん(兵庫県/2年)の「ボクだけをほめてくれるロボット」■高学年の部「おとどけ ヤジロベー」(永井秀弥/千葉県/4年)
高齢化社会や運送業界の人出不足、災害といった社会問題を解決し、安心安全な未来を築くアイディア。
ヤジロベー型のロボットは送電線上を移動することで日本全国、電線のつながっているところであればどこにでも行き荷物を届けることができ、過疎化で近くに買い物をできるところがない地域や、なかなか外出できないお年寄りの買い物をサポートするだけでなく、電線上を移動するため道路状況に左右されることもない優れたデリバリーシステムだ。自律行動に加え人間による操作も可能で、人が立ち入れなくなってしまった災害エリアから被害者を救助することも視野に入れている。
しかも、太陽光発電や水素発電による電気駆動で、環境にも配慮されているという。
高学年の部優秀賞を受賞した永井秀弥くん(千葉県/4年)の「おとどけ ヤジロベー」何よりそのプレゼンはテレビショッピングか街頭販売かのノリの良さ。次々と衣装を変えて説明していく様はテンポも良く審査員も釘付けになっていた。
■高学年の部「もう転校しなくてOK!! 悲しいからHAPPYへ!! 気分転向カメラ」(原 英汰・原 光汰/奈良県/4年・2年)
親の仕事で転校が多く、転校のたびにせっかく仲良くなった友達と別れなければならない悲し気持ちをHAPPYに転向するアイディア。
カメラを通じて転校前の学校を映すことで、転校先にいながら転校前の学校での生活を続けることができる。転校による悲しい気持ちだけでなく、書類や手続きを不要にし、教科書やノートも変更せずにそのまま使える、制服や体操着も買い替え不要になるという実用面についても言及されていた。
息の合った兄弟によるプレゼンも軽快で、本人も転校の経験があるという審査員の住岡さんもとても共感していた。
高学年の部優秀賞を受賞した原 英汰・光汰くん兄弟(奈良県/4年・2年)の「もう転校しなくてOK!! 悲しいからHAPPYへ!! 気分転向カメラ」20周年・節目の最優秀賞
低学年の部と高学年の部それぞれ1組ずつ選ばれた最優秀賞は、方や宇宙レベルの壮大なアイディア。方や身近な問題を解決するためのアイディア。いずれも独創性があり、工作やプレゼンの説得力も抜群であった。
審査員長の茂木さんが総評を行ない、トロフィーと副賞が手渡された。
最優秀賞(低学年の部)最優秀賞(高学年の部)■低学年の部「うちゅうみみず スペースワームくん」(南 遥紀/長崎県/1年)
廃棄された人工衛星や使用済みロケットの部品など、今、地球の衛星軌道上には「スペースデブリ」と呼ばれる宇宙ゴミが大量に飛行しており、宇宙開発の大きな問題となっている。
この問題の解決に、落ち葉を食べて栄養豊富な土を作るミミズに着想を得た、スペースデブリ清掃マシンが「うちゅうみみず スペースワームくん」だ。
問題提起においては具体的な数字と、回転ギミックによる工作が説得力を高める一方で、ミミズから着想を得ているだけに、スペースデブリを回収するだけでなく、その回収したデブリから新たな人工衛星や宇宙ステーションを生成することができることも受賞の大きな理由となった。
低学年の部最優秀賞を受賞した南 遥紀くん(長崎県/1年)の「うちゅうみみず スペースワームくん」■高学年の部「話がつたわりマスク」(黒田怜生/千葉県/6年)
耳が遠くなってしまったおじいちゃんとスムーズなコミュニケーションを取りたいという想いが発想の原点で、補聴器も聞こえ方が悪いことがあり、テレビの字幕のように文字表示で補足する音声認識と文字表示を兼ねるマスクで実現しようというもの。
素材や表示方法、機能、仕様に至るまで詳細に設定されており、マスクの表示部を可動させるための工夫も凝らされており、おじいちゃんとのやりとりを再現したプレゼンと合わせて高く評価された。
高学年の部最優秀賞を受賞した黒田怜生くん(千葉県/6年)の「話がつたわりマスク」ファイナリスト全員が入賞者
全員による記念撮影。審査員に加え、審査会中に実施されたライディングアシストによる倒れないバイクの特別授業講師を勤めたホンダ・先進技術研究所の辻村拓弥氏と小柳拓郎氏も加わった。気持ちやコミュニケーションといった身近なものから、環境問題やSDGs、社会問題まで、さまざまな視点から”未来にあったらないいな”のアイディアを、自分なりに突き詰め形にした「子供アイディアコンテスト」。
受賞者のみならずファイナリスト全員のその自由な発想と大人顔負けのプレゼンは優劣つけ難く、審査員を大いに悩ませる結果となった。惜しくも受賞を逃した参加者にも、二次審査まで残った全員が入賞者であるということでメダルが贈呈された。
■子供アイディアコンテスト最終審査入賞・低学年の部「食品ロスさくげんロボ」黒木郁雅(東京都/3年)「思い出いろどりペン」宮下由珠那(埼玉県/3年)「気持ちがいい風のブランコ」村松舞香(東京都/3年)「しゅわ通訳ロボット」伊住祥一(京都府/1年)「うみのふかさが わかるメガネ」島田莉仁(埼玉県/1年)・高学年の部「鳥さんが網でゴミ取りする その名も超アミーゴ!」荒木伶王(兵庫県/5年)「人の気持ちの力でつく電球・気持ち読み取り機」齋藤仁那・齋藤瑠那(神奈川県/5年・4年)「反論ロボット AMANOJAKU」星澤美冬(千葉県/5年)「ハーモニーを奏でる発電楽器 ~目指せ街を音楽でいっぱいに!~」加藤虹花(愛知県/6年)「おすそわけ列車」吉田康太郎(福島県/6年)
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