キャンピングカーのテレワークは誰にでもオススメできない
以前から「テレワーク」とか「ワーケーション」という言葉はありましたが、進んでいるというか、好き者? というか、ごく一部の人がやっていて、話題になってもその割に「笛吹けど踊らず」で一般まではなかなか普及しないイメージでした。
ワーケーションとは何? いま環境省が推す「仕事+休暇」スタイルをキャンプ場や提唱施設で実体験
が、新型コロナウイルスでやれ自粛だ、在宅勤務だ、緊急事態宣言だと、環境が一変! 「やらざるを得ない」状況になったら、にわかに脚光を浴びる様になりました。「NO密で走る閉鎖空間」であるキャンピングカーが、ここ数年のキャンプブームと相まって、注目されるのも当然と言えば当然の事かもしれません。そこで、実際にそのテレワークやワーケーションをやっている方、3人の実例をご紹介しましょう。
1)エンタメ業界の方の場合
この方は、大手ゲームメーカーにお勤めの方です。通常だったら、通勤して業務を行っていたのが、今は在宅勤務状態です。が、家では息が詰まるとの事で、大自然の中のRVパークにキャンピングトレーラーを持ち込んでのテレワーク生活を送っています。キャンピングトレーラーなので、いわば「置きっぱなしの別荘」状態で、切り離したヘッド車で買い物に行ったり、週末は、近くの駅まで奥さんを迎えに行ってご夫婦で過ごされるとか。
正にワーケーションですが、実は、会社には内緒で自宅で仕事している事になっているので、「隠密テレワーク」だそうです。この点、まだまだ日本では「テレワーク=在宅」のイメージが強く、状況に合わせて好きな時に好きな所でというような「ノマドワーカー」はまだまだ認知されていません。まあ、エンタメ系のお仕事ですから、家の中に雪隠詰めされていては、クリエイティブなアウトプットは期待できませんから、森の中での活動の方が良いのは明白ですね。
2)地方創生プロデューサーの方の場合
こちらの方は、地方や都会の企業ともやり取りをする必要があるので、これまでも、キャンピングカーで飛び回っていたのですが、その移動途中での業務は当然の事ながら、テレワークになってしまう訳です。つまり、いちいち自宅に帰ってから仕事をするなんて事はやってられないのです。
ですから、キャンピングカーの中でも、通常はオフィスでするようなWeb会議もやっています。その点、幹線道路沿いにあり、電源もあるRVパークなどは、本当に重宝しているようです。この方の場合は、コロナになっていなくても、もともと「移動オフィス」状態だった訳ですが、コロナのお陰でそれがより一層、加速したという感じでした。
この移動オフィスの良いところは、車内には仕事に必要なものが、手の届く範囲内に全て整っている。例えば、電気もWiFi環境もあって、外部からは隔離されていて集中できる訳です。その一方で、一歩、車外にでると、大自然の中だったり、景観の良い癒し空間だったりと、正に理想的なON/OFFの切り替えができるオフィスでもあります。
3)作家の方の場合
作家の方なので、もともと在宅勤務の様なものです。が、これが意外と問題だったとの事。家にいると奥さんはご主人に家事のお手伝いをお願いしたくもなり、お子さんもコロナで学校が休校中の時は、お父さんに遊んで貰いたくもなります。これでは、仕事に集中できません。そこで、キャンピングカーを利用した「移動書斎」です。
これなら、家事手伝い強制はなく、子供の相手をしなくても済みます。出先で仕上げた原稿は、そのデータをネット経由で送ってしまえば。問題ありません。さらに、違った環境だと新たな刺激もあり、作家は頭をひねって知恵を出すので、そういった環境の方が、アイデアが出るとの事でした。何よりも「お父さんは仕事に行ってくる!」と堂々と出かけられるのが良い、つまり「作家でも出来る出勤」だとの事です。
既にキャンピングカーを持っている方なら、使わないと勿体ない。持っていなくてもレンタルキャンピングカーや、程度の良い中古車もありますから、一度、やってみても損はないと思います。しかも、最近では、RVパークの様に、安心して車中泊できる施設も増えてきていて、その環境も整ってきているとも言えます。良い時代になったものです(これは、コロナのせいにして、キャンピングカーを活用するチャンスかも)。
ただし、キャンピングカーによるテレワークは誰でもオススメできるものではありません。
特にお勤めの方は、ガソリンやパークの利用代などの経費、もし、キャンピングカーで交通事故が発生した時の責任やフォロー体制については、事前に会社に確認しておきましょう。…まあ、今の日本企業では、中々、OKがでないでしょうから、前述の方の様に会社に内緒、自己責任でやるしか方法が無いかもしれませんが……。
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