アップデートを受けたばかりのRS6 アバント
果たして、下剋上は成し遂げられるのか。AUTOCARでは、歴代初の四輪駆動となったBMW M3のサルーンを、ひと回り小さいアウディRS3と比較した過去がある。
【画像】超高性能ワゴンの頂点 アウディRS6 アバント BMW M3 ツーリング RS4とM5も 全120枚
新モデルを評価する場合、直接的なライバルとの差異を確認するより、視野を広げて好敵手になりそうなモデルと比べた方が、新たな発見を得られることが少なくない。クルマ好きは、必ずしもセグメント内で最も有能な1台を選ぶわけではないからだ。
往々にして、なにかの理由で好きになったクルマを選ぶ傾向がある。特に新しいクルマの場合は、一目惚れしたら欲しい気持ちが膨らんでいく。
その比較では、乗る前からBMW M3が筆者のお気に入りだった。案の定、アウディRS3を凌駕する、壮観な動的能力を披露してみせた。しかし、今回は形勢が異なる。2023年の超高性能ステーションワゴンの雄、アウディRS6 アバントが相手だからだ。
このRS6 アバントも、パフォーマンス仕様としてアップデートを受けたばかり。BMW M3 xドライブ・ツーリングがコンペティション仕様だとしても、手強い相手といえる。
渋いナルド・グレーの塗装を、カーボンファイバー製トリムが飾る。大きな荷室を背負うが、最高出力は630psもある。英国価格は11万2285ポンド(約2032万円)もする。
最新M3の走りは間違いないとはいえ、RS2から続く高性能ワゴンの伝統を有し、一目置かれる存在といっていい。ミュンヘンの技術者を持ってしても、象徴的なモデルを打ち負かすことは簡単ではないだろう。
1990年代後半のM5より長く重くなったM3
アウディ・スポーツとBMW Mは、異なるアプローチで走りを磨いたモデルの提供をしている。だが、RS6 アバント・パフォーマンスの内容は、BMW Mの領域に接近しているように思う。
大きなボディを支えるのは、ローズゴールドに染められた、鍛造の22インチ・アルミホイール。タイヤは、ハイグリップなコンチネンタルが組まれる。
4.0L V8ツインターボエンジンにも手が加えられ、増強されただけでなく、パワーデリバリーも改善。刺激的な味わいも追加されている。BMW M5の「CS」が意識されているのではないだろうか。
とはいえ、RS6 アバントはボディが大きく重い。全長はM3 ツーリングより200mmほど長く、車重は235kgも違う。同時に、そのM3 ツーリングも1990年代後半のM5より長く重くなってはいるが。
M3 ツーリングのフロントには2気筒と1.0L少ない、3.0L直列6気筒ツインターボエンジンが載る。最高出力も510psと、120psほど劣る。しかし、パワーウエイトレシオでは肉薄する。0-100km/h加速は3.6秒でこなし、0.2秒だけ遅れるに過ぎない。
現行型のRS6 アバントは、モデルチェンジを控えている。BMWのニューフェイスが、このカテゴリーの新たなチャンピオンへ躍り出る時が来たのだろうか。
キャンプ場まで荷物を積んで短時間に目指せる
確かにG80型のM3は大きい。サルーンよりツーリングは7mm長い。その事実へ応えるように、BMWはコンパクトなスポーツモデルとしてM2をリリースした。
M3のように、大量販売が期待できない高コストなモデルを何世代も進化させるには、ある程度の犠牲が伴うことは仕方ない。とはいえ、われわれが抱くM3の特長には、一定のコンパクトさも含まれていると思う。
道幅のあるアウトバーンだけでなく、狭いワインディングにも適合する必要がある。一般的な1車線の幅員に、余裕を持って収まることが求められる。
その大きさであれば、鋭い操縦性と、落ち着きのある乗り心地が伴うだろう。ある程度の経済性も付いてくるし、車重が過度に増えることはない。
新しいM3 ツーリングは、これらをすべて叶えた「妥当なサイズ」といっていい。コンパクトだとは呼べない。しかし、現代のモデルとして適切な車内空間を与えつつ、納得できる大きさに留めたと表現できる。
G20型へ新しくなった3シリーズが歴代と異なる点は、身長の高い大人2名が快適に過ごせる、リアシートの空間を得たこと。ベースを共にするM3 ツーリングでも、190cmある筆者が快適に座れる。長距離移動も問題なくこなせるはず。
荷室が広大なわけではない。家電を問題なく飲み込むほどのゆとりはないが、家族4名での週末旅行に不満ない容量はある。山奥のキャンプ場まで、荷物を満載して短時間に目指せそうだ。
円熟した落ち着きを漂わせる見た目
他方のRS6 アバントは、快適性を追求するがあまり、必要以上に成長した印象を受けてしまう。そのかわり、リアシートへ大人が3名並んで座っても、圧迫感は少ない。肩をすぼめなくてもいい。
荷室の広さは歴然。カタログ値の容量はM3 ツーリングの500Lに対し565Lと、1割ほど大きいだけだが、テールゲートを開くとそれ以上大きいように感じる。
ホイールアーチの膨らみもなく、形状はスクエア。週末旅行なら、5名分以上の荷物を積めるだろう。もっとも、ボディが大きいのだから車内が広いのは当然。新たな発見とはいえない。
2台を並べて感心したのが、RS6 アバントが円熟した落ち着きのような雰囲気を漂わせること。比べると派手さやアグレッシブさが控えめで、ジェントルな印象すら受ける。
普段使いが前提となるステーションワゴンにとって、これは重要なポイントといえる。M3の巨大なキドニーグリルや、パンプアップされたようなボディライン、少し華やかなインテリアなどは、好き嫌いが分かれるのではないだろうか。
スタイリングの印象は、見る人の主観で大きく違う。穏やかなナルド・グレーと、鮮やかなアイル・オブ・マン・グリーンが生む効果もあるだろう。それでも、違うボディカラーだとしても、目立たない存在とはいえない。
RS6 アバントのインテリアは適度にスポーティで、豪華な素材がふんだんに用いられている。必要なら、スポーツエグゾーストが放つノイズを、社交的なボリュームに抑えることもできる。大人な選択だと思わせる。
この続きは、超高性能ワゴンの頂点(2)にて。
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みんなのコメント
クアットロの時代は一目でアウディだったのに
トヨタ車と似てきた