フランスのスポーツカーメーカー・ブガッティのクルマといえば、まずは「超高級」で知られる。たとえば昨年発表された新型「ディーヴォ」は約6.6億円。
それからすれば比較的安価に思えてしまう「シロン」でさえ3億円。庶民にとってはもちろん超高額。なのにその「ディーヴォ」や「シロン」をはるかに超える21億円という超破格のブガッティがジュネーブショーで発表された。
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世界でたった4人だけ制作工房を尋ねることを許されたうちの1人、モータリングライターの木村好宏氏にその様子を伝えてもらう。
※本稿は2019年3月のものです
文:木村好宏/写真:木村好宏、NewsPress、ベストカー編集部
初出:『ベストカー』 2019年4月26日号
■世界に1台だけ。ブガッティの110周年記念モデル「La Voiture Noire」
創立110周年を記念してブガッティは今年のジュネーブ・ショーに僅か1台だけ生産販売するモデルを発表した。
エクステリア・デザインの特徴はミドシップでありながらロングノーズなシルエットを与え、車体の中央にクロームのラインを入れ、アトランティックの持つ伸びやかさを具体化している点だ
ジュネーブの会場でアンベールされたのはインテリアのないエクステリア・デザインだけのモックアップ。ホンモノはオーナーの好みに合わせて現在製作中とのこと
クルマの名前は「La Voiture Noire」。カタカナ表記では「ラ・ヴォワチューレ・ノワァール」直訳すると「黒いクルマ」である。
これはブガッティで1936年から1938年にかけてわずか4台が生産されたタイプ57の1台でSCアトランティック・クーペのオマージュである。
これがかつて作られていたタイプ57・SCアトランティック・クーペ。あのラルフ・ローレンも1台所有している
当時すでに最高速度220km/hに達する性能を持っていたこのクルマにはミステリアスなストーリーがあって、設計者のジャン・ブガッティは完成後に別のレーシングカーをテスト中に交通事故死、父のエットーレの手によって残された彼自身の「黒いアトランティック」は戦火を避けるために貨物車で南フランスのボルドーへ送られたが、ボルドー駅には到着しなかった。
おそらくドイツ軍の検閲にあって貴重なアルミ原料として解体されたのだろうと推測されている。
昨年、ランボルギーニからブガッティへ移籍してきたシュテファン・ヴィンケルマン社長が、こうした神秘的な背景を持ったクルマをワンオフのオマージュに選んだのは当然の成りゆきだった。
彼は就任後、即刻、このアイデアを実行に移させたのである。
■エンジンはW型16気筒。「アート」として制作された1台
ブガッティと最初のヴェイロンから縁のある私は、幸運なことにこのクルマの完成前のシークレット工房を訪ねることを許されたわずか4名のジャーナリストのひとりに選ばれた。
この工房はフランスではなく、ドイツにある親会社VWの開発センターの奥深くにあった。そこで製作中のクルマを前にデザイナーとの取材が許されたのである。
チーフデザイナーのエティエンヌ・サローメにとって、それは天命ともいえる任務だった。
彼は「私は、このクルマをアートと考えて、デザインをスタートしました。心臓になるW16気筒エンジンは時計でいえばトゥールビヨンです。それを包むボディは工芸品でなければなりません」
フルカーボンボディにミドシップマウントされた8LのW16気筒クアッドターボエンジンは最高出力1500ps、1600Nm(約163kgm)、0-100km/h2.4秒、最高速420km/h
「もちろんクルマはホモロゲーションを得て公道を走らなければなりませんから、エンジニアとの折衝は大変でした。しかし、その思いは具体化されたと確信しています」と一気に思いを語ってくれた。
こうして完成された黒いブガッティの価格は約21億円、だが公式デビューを待たずにすでにオーナーが決まってしまった。世の中に1台とあればそんな金額をポンと支払うことのできるエンスー富豪は間違いなく存在するだろう。
「こんな贅沢で無駄な話はない!」と思われる人もいるかも知れないが、こうした「余剰」が文化、そして後世への歴史を作っているのだ。
取材の記念にデザイナーが用意してくれた名前入りの記念スケッチ、もちろん世界で4個しか存在しない
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