軽いボディに活発なエンジンとバンバンつながるクロスミッションで、ゴキゲンな走りを見せるアルトワークスだが、ひとつだけ我慢ならないポイントがある。なにはなくとも、コレだけはやりたい!アルトワークス最大の欠点「高過ぎるシートポジション」を是正する!!
高過ぎポジションはドラポジも見た目も悪くなる
150万円で実現する庶民のスポーツカーライフ「アルトワークスでぶっとばせ!」 第1回
正しいドライビングポジション(ドラポジ)があってこそ正しい運転操作ができる、というのが運転の基本だが、その点で見てもアルトワークスのシートポジションはいただけない。
座面高調整機能がない上に、小柄な女性でも前がよく見渡せるようにだろうが、圧倒的に座面が高いからハンドルやペダルを繊細にコントロールできるような、理想的な手足の角度が取りにくい。
さらに、スポーツ走行をする場合は視線を遠くに置くのが基本だが、着座位置が高い=アイポイントが高いと遠くを見渡せそうだが、逆にメーターを確認する際などは視線に角度がついて視線が近くなるので視線移動量が多くなったりと、ある程度の身長があるドライバーにとってアルトワークスの高いアイポイントにメリットはない。
逆に先を見通して安全運転につなげる予測運転がしにくい、とも言える。(ちょっと難癖かしら?)
と、御託もいろいろあるが、何しろドライバーの頭の位置が、外からの見た目が“カッコ悪い”(写真参照)ので、コレはアルトワークスのオーナーとなってスポーツカーライフを標榜するからには、何は無くとも真っ先に手を入れるべき部分だと筆者は力強く提案したい。
問題解決の画期的アイテム登場
で、実は同じように感じる人は多かったようで、この「シート高過ぎる問題」を簡単に解決できる画期的なアイテムが、もうすでに市販されている。
アルトワークスのレカロシートは、シートを前後させるシートレールとシート本体の間にある十数センチのスペーサーで高さを稼いでいる。このスペーサーを低くすれば、すなわち着座位置が下げられる。
ということで、いくつかのチューニングショップから「ローポジションマウント」とか「ローポジションアダプター」といった名称で、30mm~60mm程度シート高を下げるためのパーツが一脚分1万5000円程度で販売されている。このパーツを装着すれば、ハイおしまい。
最大のウイークポイント「シート高過ぎる問題」は解決となる。
「アルトワークスでぶっとばす」ためのさらなる一手
当コラムの趣旨である「スポーツカーライフ」や「アルトワークスでぶっとばす!」というコンセプトとしては、さらにもう一歩攻めた対策も推奨したい。
純正シートはレカロ製だけあって、スポーティな走りにも十分対応できるが、「スポーツカー度」を高めたいとか、サーキット走行も視野に入れているならいわゆる「フルバケット(フルバケ)シート」の導入を検討してほしい。
フルバケのメリットとしては身体をガッチリ保持するホールド性が高いので、Gが掛かるコーナリング時などでも正確なハンドル&ペダル操作ができる上、クルマの挙動をダイレクトに掴むことができること。そして軽量化だ。軽さを武器とするアルトワークスだけに、さらなる軽量化は重要なポイントとなる。
ただ、前述のローダウンメニューは、パーツ装着にかかる費用以外は、ほぼ失うものがないものだったが、ここから先はチューニングの領域となるので、乗り心地や利便性などに関してはデメリットもあるので注意願いたい。
筆者の場合、何しろアルトワークスのスポーツ性能を上げることを優先していたので、シート交換時に考えたのは目一杯シート高を低くすることと、軽いシートを選ぶことだった。
とはいえ、アルトワークスは室内が狭いので普通車ほどシート種類がラインナップされてはいない。ただ、BRIDE社で唯一アルトワークス用に設定されているEXASIIIは軽いし、同社のラインナップ中で一番安いので自動的に採用決定。
シート高を左右するシートレールは数種類用意されていたが、筆者の場合は極限まで低くしたかったので、設定されていたシートレールの中から、一番下げられるタイプを選択してノーマル状態から10cm程度シート高を下げることにした。
軽量化に関しては純正シートが17.8kgに対し、バケットシートが11.06kgだったので、二脚合計で13kg強の軽量化が実現した。
何事もやり過ぎは失敗の元!
しかしこれだけ大幅にシート高を低くすると、ハンドルの高さや、アクセル/ブレキー/クラッチの各ペダルとの位置(角度)関係の変化により、操作の感覚も変わってしまうので注意が必要だ。
実際に装着してみるとシート高を目一杯(10cm)下げた状態では、足首の角度がどうもしっくりこなかったので、フロアマットの下にお風呂マットをカットしたものを挟んだりといった工夫をして対応した。
(フロアマットがめくれないようにするなど安全面に配慮が必要なので、単純にマネしないでね!)
ハンドルの高さもチルト調整では足りなかったので、こちらも市販の「ハンドルスペーサー」というパーツを取り付けてハンドル位置を下げて対応した。
コレだけ下げると「二階から一階に降りた」感じで、ようやくスポーツカーらしくなって大満足となった。
が、実はうまくいった話だけでなく、恥ずかしながら失敗談も告白しておかねばならない。
気合が入り過ぎた失敗をご紹介しておきたいのだが、筆者の身長で10cmのローダウンは“やり過ぎ”感があったのも否めない。
「一階に降りて」ご機嫌になったのは良いのだが、アイポイントが下がるということは、相対的に自車の直近周辺の死角も増えるということ。
街中ではさほど問題を感じなかったのだが、いざサーキットを走ってみると「コーナーのクリッピングポイントが見えないじゃん!」と、なんとも本末転倒な事態となり、バケットシート取り付けボルトの調整範囲で上に数cm上に戻すこととなった。
ドラポジは安全性も考慮して、ベストなポジションを構築したい
筆者はコレらの試行錯誤の結果、自分としては満足のいくドラポジの確保と、外から見られても恥ずかしくない頭の位置を獲得したのだった。
ビシッと決まったドラポジは運転操作が想い通りになり、走るのがさらに楽しくなるほどの効果があった。
アルトワークスのオーナー(別車種でも同様の不満がある)なら、是非とも対策して欲しい。
ただし経験者のアドバイスとして、シート高ダウン=死角が増えることに関しては、こどもの巻き込みの危険性や、幅寄せが難しくなるようなシチュエーションが増えることも考えられるので、身長が180cm以上の方であれば10cmダウンで問題ないと思うが、それ以下の身長の方で、これから愛車のドラポジを是正しようと思われる方は、慎重に検討してから実行していただきたい。
(まあ目安としては概ね3~5cmダウンというのがリーズナブルな数値だと思います。)
次回はカスタムの定番というか、王道のタイヤ&ホイールの交換についてレポートしようと思います。次回もおつきあいのほど、お願いします。
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