活発な発進と都市部で快適な乗り心地
text:Matt Saunders(マット・ソーンダース)
translation:Kenji Nakajima(中嶋健治)
PHEV版のジープ・レネゲード4xe。こまめに繰り返されるエンジンの始動と停止を、気にするドライバーもいるだろう。少し落ち着きがなく感じられてしまう。
そんな場合は、スポーツ・モードを選ぶと良い。ガソリンエンジンは基本的に回転を止めず、深くアクセルペダルを踏み込まずとも、充分な活力をひと呼吸なく与えてくれる。
スポーツ・モードなら、レネゲード4xeは活発に走る。しかし、モデルレンジの最上位だと実感できるほど、たくましさを感じられるわけでもない。発進時はエネルギッシュに感じられるものの、走り出してしまえば、目立つほどのパフォーマンスはない。
トランスミッションからは、変速時にわずかな振動と噛み合うメカノイズが聞こえてくる場面があった。乗り心地は、マッド&スノータイヤを考えれば、充分許容範囲。しなやかに衝撃の吸収をしてくれる。都市部などの道でも、快適に移動できる。
パワーステアリングは過剰に軽く、やや正確性に欠ける。クルマの操縦性を楽しめるタイプではない。路面の起伏を通過した時やコーナリングでは、姿勢制御にもう少し締りがあっても良い。
ブレーキペダルも、ステアリングホイールと同様にアシストが強すぎる印象。ギクシャクするところがあり、停止時にカックンと同乗者を揺らしてしまいそうだ。
ジープとしてのオフロード性能
オンロードでは、そこそこの動的性能ではあるものの、レネゲード4xeはジープ。オフロードでの走りが、それを補う。
ドライブトレインの制御には、マッドとスノー、サンド、ロック・クローリングという地形に合わせたモードを用意。4WDロックと4WDローという四輪駆動モードも備え、前後間でトルク配分を制御し、スロットル感度を調整することで、過酷な路面にも対応する。
今回、筆者はワダチの深いぬかるんだ森の中でも試乗した。201mmという最低地上高をもってしても障害になる場面が1度あったが、それ以外はいとも簡単に走破してくれた。
トルクを掛けながら、低速を保って走ることも容易。ブレーキングしながらの漸進的な制御も、素晴らしかった。
ジープ・レネゲードを欲する多くのドライバーにとって、PHEV版の登場は歓迎できるものだと思う。短距離ながら、EVモードでの走行も可能。個性的な都市部用クロスオーバーとしても、乗ることができる。
リアタイヤを動かすモーターは、60psという控えめな最高出力以上に、50km/hくらいまでなら強力にレネゲードを押し出してくれる。今回の試乗では、カタログ値43kmという純EVモードでの航続距離が、非現実的ではないことを確認できた。
コンパクトでタフなレネゲード
ジープ・レネゲード4xeは、急速に増えつつあるプラグイン・ハイブリッドのコンパクトSUVとして、好感の持てる選択肢だと思う。優れたオフロード性能と、市街地での運転のしやすさを併せ持った、ジープ初のPHEVだ。
ライバルモデルと比べると、確かに不満はなくもない。しかしジープらしい四輪駆動の実力に注目するなら、それ以外の弱みは小さなものに感じられるはず。
コンパクトなボディながら、驚くほどタフなPHEVのジープ・レネゲード4xe。英国での価格は、もっと手頃でも良いとは思う。
車内空間のゆとりや、インテリアの素材感は、少々残念。しかし、日常的な使い勝手を害するほどではない。
ジープ・レネゲード4xeの惹きつける力は、PHEV版のライバル・クロスオーバー以上にあると感じる人も、多いのではないだろうか。
ジープ・レネゲード4xe トレイルホーク(英国仕様)のスペック
価格:3万6500ポンド(489万円)
全長:4236mm
全幅:1805mm
全高:1697mm
最高速度:199km/h
0-100km/h加速:7.1秒
燃費:43.5-45.5km/L
CO2排出量:51-53g/km
パワートレイン:直列4気筒1332ccターボチャージャー+電気モーター2基
使用燃料:ガソリン
バッテリー:11.4kWh
最高出力:240ps(システム総合)
ギアボックス:6速オートマティック
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