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なぜ小型ミニバンの人気急上昇!? トヨタ「シエンタ」がアクアを抑えて新たな定番車種になった理由

■トヨタ「シエンタ」が「アクア」より売れている!?

 クルマの売れ方は車種によって異なりますが、時系列で見ると、新型車として発売された直後がもっとも多く売れ、その後、段階的に売れ行きを下げていきます。

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 マイナーチェンジやグレード追加で売れ行きを伸ばすこともありますが、多くても前年の同じ時期と比べて10%程度の増加です。

 ところが、トヨタのコンパクトカー「シエンタ」は、発売から4年を経過しながら、売れ行きを大きく伸ばしました。

 日本自動車販売協会連合会が発表する2019年上半期(4月から9月)のランキングでは、シエンタが3位にランクイン。さらに、2019年8月と9月はランキング1位に躍り出ました。なぜシエンタは販売が好調なのでしょうか。

 コンパクトミニバンのシエンタの現行型は、2015年7月に発売されました。先代モデルはトヨタカローラ店で販売されていましたが、現行モデルはトヨタディーラー全店が扱うようになり、販売網が3倍以上に拡大しています。

 3列シートを備えたコンパクトミニバンは売れ筋のカテゴリですが、実質的にシエンタとホンダ「フリード」しかありません。

 販売店網の増加もあってシエンタは有利になり、発売の翌年となる2016年には1か月平均で約1万500台を登録しました。その後、2017年の1か月平均は8000台、2018年の1か月平均は7800台と、徐々に減少しています。

 それが2019年1月から6月の1か月平均は、8500台に回復しました。シエンタは2018年9月にマイナーチェンジを受けて、フロントグリルのデザイン変更に加え、2列シートの「ファンベース」を加えています。2列シートの追加が売れ行きを押し上げたことは確かですが、ほかにも理由はあるはずです。

 なぜなら、2019年7月の対前年比は157%、8月は158%、9月は185%と大きく増加したからです。消費増税前の駆け込み需要が多少あったとしても、前年の1.5倍から1.9倍ほどの増加率は際立って高いといえます。

 とくに2019年8月と9月は、前述のように、国内で販売された小型/普通車の登録台数でシエンタが1位になりました。9月の登録台数は1万3000台を超えています。

 シエンタが好調に売れる理由について、トヨタの販売店は次のように説明します。

「シエンタは、『ヴォクシー』のようなミドルサイズミニバンからダウンサイジングするお客さまに人気が高いです。外観のデザインが適度に個性的で趣味性も感じられるためか、『ハリアー』のような上級SUVからの乗り替えもあります。好調に売れているので、シエンタの納期は2か月から3か月に伸びています」

※ ※ ※

 シエンタが好調に売れる一方で、同じトヨタ車では「アクア」の売れ行きが対前年比で17%前後下がっています。「クラウン」は50%を超える大幅な減少です。トヨタ系ディーラーの販売力が、シエンタに移っている面もあるでしょう。

 シエンタのような実用指向の車種は、街中で多く見かけるようになると、親しみを感じて売れ行きが伸びるものです。

 スズキ「ワゴンR」やホンダ「N-BOX」の初代モデルも、発売から時間を経過するに従って販売台数を伸ばしました。

市場で定番車種として認知されると、継続的に安定して売れ続けます。N-BOXはその典型だといえます。

■背の高いコンパクトカー「ルーミー」が人気の理由とは?

 トヨタでシエンタとともに販売好調なのが、「ルーミー」です。ルーミーは背の高いコンパクトカーで、全長は3700mmと短いですが、全高は1700mmを上まわり、広い室内空間を備えています。

 後席側のドアはミニバンのようなスライド式なので、乗り降りもしやすいです。

 2019年4月から9月のルーミーの登録台数を見ると、1か月平均が約8200台で、前年に比べて11%増えました。姉妹車の「タンク」も1か月平均で6600台登録され、前年比で7%ほど増加しています。両車を合計すると1万4800台ですから、シエンタなどを超える売れ行きです。

 なお、ルーミーとタンクはダイハツからOEM提供を受けており、ダイハツでは「トール」、スバルでは「ジャスティ」として販売されています。

 ルーミーとタンクの発売は2016年11月で、現時点で改良は受けていません。それなのに1か月平均の登録推移は、ルーミーで見ると2017年が約6500台、2018年は7200台、さらに2019年4月から9月の月平均は8200台という具合に、発売から時間を経過するほどに伸びています。

 ルーミーやタンクが人気を高めた理由について、販売店スタッフは次のように話します。

「以前は、トヨタ車から軽自動車に乗り替えるお客さまが多かったのですが、いまはルーミーがあるので、こちらを購入されています。また、『パッソ』の需要が少し下がり、ルーミーが増えた面もあります」

 ルーミーは軽自動車にダウンサイジングする需要を受け止めて、トヨタ車のユーザーが流出するのを防いでいます。

 トヨタ「ポルテ/スペイド」の販売低迷も影響しているでしょう。この2車種も背の高いコンパクトカーですが、1か月の登録台数は200台から300台にとどまります。ルーミー/タンクはポルテ/スペイドに比べると設計が新しく、価格も割安なので需要が移りました。

※ ※ ※

 シエンタとルーミーは、複数の理由で売れ行きを伸ばしました。とくに注目されるのは、「街中で見慣れることによって一層好調に売れる」という、実用指向の車種に見られる傾向が影響しているという点です。

 多くのユーザーに使われているということが、優れた商品の証になり、相乗効果として販売台数を押し上げました。

 定番の人気車種への仲間入りができると、その後の安定的な売れ行きも約束されるといえます。逆に街中で見かける頻度が少ないと、売れ行きも伸び悩みます。

 いかに好調に売れる波に乗れるかが、明暗を分けるのです。