まるでアシモのような温かみ
ホンダ初の量産EV専用車、ホンダeは本邦初公開。初めて目の当たりにする実車は画像で見るよりマッシブだ。それと同時に、ホンダのアシモやソニーのアイボなどが放つのと同じ、「ハイテクなのに温かい」印象を受ける。主戦場となる欧州では一部市場で先行予約が始まっており、2020年中に導入予定の日本仕様もスペックは同じだ。
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ボディは3900mmを切る全長に3ナンバーの全幅で、フィットよりショート&ワイド。約2500mmのホイールベースもフィットより若干短い。コンパクトクラスで世界初採用のサイドカメラシステムは、側方視界向上だけでなく、空力向上や燃費低減にも貢献する。ドアハンドルも突起のない格納式だ。
プラットフォームはもちろんEV専用で、リチウムイオンバッテリーを床一面に配置。フロントにインバーターや車載充電器、リヤにモーターを搭載し、前後重量配分は50:50と理想的だ。しかも後輪駆動! 4輪独立サスペンションと相まって、コンパクトEVの概念を打ち破るハンドリングを楽しませてくれるに違いない。前輪の大きな切れ角によって、驚くほどの小回り性も実現。
3Lガソリン超のトルクを発揮するモーターには、スタンダードとハイパワーの2タイプを設定。後者は特にスポーティなチューニングが施されているとか。一充電航続可能距離はWLTCモードで200km以上とされており、基本的には高効率なシティコンパクトというキャラクターが与えられている。30分で約80%の充電が可能な急速充電にも対応する。
先進感あふれるコックピットも見どころだ。サイドカメラ用を含め5画面の高精細ワイドディスプレイが連続するインパネは、メルセデス・ベンツAクラスも顔負け。さらに、AI搭載の新世代インフォテインメントシステム、ホンダ・パーソナル・アシスタントを採用。「OK,ホンダ」の発話で日常会話に近い音声操作が可能で、実力はAクラスなどのMBUXに負けていないというから、これも楽しみだ。
補助金を考慮した日本での実質的な価格は、自治体によっても異なるが、だいたい350万円あたり。EVとしての性能だけを見れば、日産リーフよりも割高だ。しかし、「10年先のコンパクトカー」を目指した手抜かりのない先進技術や装備、また車両としての基本性能の追求は、おおいに魅力的。
「とにかく面白い。走って楽しい。乞ご期待です」(開発担当者)
〈文=戸田治宏 写真=岡 拓〉
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